テスラの自動運転「FSD」がついに日本に上陸! 国内公道テストの全貌と今後の展開

テスラの自動運転「FSD」がついに日本に上陸! 国内公道テストの全貌と今後の展開<br />

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こんにちは、じんべいです!

先日、日本のテスラファン、そして投資家の皆さんにとって待望のビッグニュースが飛び込んできました。いやー、ついにこの時がきたか、という感じですが、なんとテスラがこの2025年夏から、日本国内で市販車をベースにした車両による自動運転の公道テスト走行を開始したと発表しました。

テスラは日本の一般道で人工知能(AI)を使った自動運転車の走行を始め、社員がテスト運転で性能を確認し、早期の実用化を目指すとのことです。これはつまり、北米などで既に導入されている「監視付きFSD(FSD Supervised)」の日本市場での展開に向けて、テスラジャパンが本格的に準備を始めたということでしょう。

もちろん、これはまだ試験段階です。運転席には必ずドライバーが座り、万が一に備えて運転を監視するという態勢がとられます。実際のアクセルやブレーキ、ハンドルの操作はクルマ自体、つまりFSDが行っている状態です。

そのため、現時点では「完全」自動運転とは呼べず、あくまでドライバーの監視を必要とする運転支援システムという位置づけになります。自動運転で目的地まで送り届けてくれるものの、不測の事態が起きたときには、いつでもドライバーが運転を代われるよう備えておく必要があります。

テスラとしても、日本の安全基準やガイドラインをクリアしたうえで、できるだけ早く私たち顧客にこの素晴らしい機能を提供したいと考えているそうです。しかも、これから販売される新車だけでなく、すでに日本国内を走っているテスラ車にも、ソフトウエアのアップデートで対応できる見込みです。既存のテスラオーナーにとって、これは本当にうれしいニュースに違いありません。

なぜ今? 日本でのテスト開始の背景と詳細

では、なぜ今になってテスラは日本でのFSD導入準備を開始したのでしょうか? 多くの方が気になっている点だと思います。

テスラ広報によると、背景には「世界的に右ハンドル・左側通行の地域でFSD Supervisedのテストを加速させている」ことがあるとのこと。今回日本で始まった公道テストもその一環で、国土交通省などとの調整のうえで開始されたということです。日本の公道での実証が、どのような成果を生むのか注目されますね。

公道テストで使われているのは、最新のAIハードウエアである「HW4(Hardware 4)」を搭載した「モデル3」とのことです。おそらくソフトウエアは北米で展開されている最新のv13系統が使われていると考えられます。

テスラの次世代自動運転を支える高性能コンピュータ「HW4」のチップの写真(出典:imgur.com)
テスラの次世代自動運転を支える高性能コンピュータ「HW4」。(出典:imgur.com)

テスラによると、今回の実証では都市部の入り組んだ道路環境や高速道路での安全性を確認していくとのことです。テスト地域は公表されていませんが、テスラがX(旧Twitter)に投稿したFSDテスト映像を見ると、場所はどうやら横浜市内のようです。みなとみらいの観覧車や赤レンガ倉庫といったランドマークも映っていました。

映像では、FSDで走行するテスラが路肩の停車車両を滑らかに避けたり、横断歩道の歩行者を待ってから発進したりと、日本の交通環境下でもスムーズな運転をみせています。車両の外観からはテスト車両かどうかの判別はできないようで、一般のテスラ車に紛れるかたちで静かにテストは進められているもようです。

テスラFSD自動運転テスト走行の車内映像テスラ車の運転席から撮影された映像で、ドライバーの両手がハンドルから離されており、自動運転中であることを示しています。右側にはテスラ特有の大型タッチスクリーンディスプレイが設置されており、画面には車両周辺の状況を示すグラフィカルな表示が映っています。フロントガラス越しには日本の都市部の街並みが見え、街路樹が並ぶ道路、他の車両、建物などが確認できます。車内のインテリアはテスラらしいミニマルなデザインで、黒を基調とした内装となっています。画面下部には日本語で以下のテロップが表示されています:「本動画は、FSD(Supervised)開発テストに係る動画です。走行は試作車両で行っています。FSD(Supervised)は、ドライバーが適切な注意力を払い、周辺を常時監視し、必要な場合にはいつでも運転を引き継ぐ必要があります。FSD(Supervised)の日本市場でのリリース時期は、今後の許可申請状況及び規制当局の許可可に依存します。」この映像は、テスラが日本でのFSD技術の実証実験を行っていることを示すものです。
監視付きFSDは、日本の狭い道路もスムーズに走行。(出典:X @teslajapan)

気になる導入時期は? 日本の認可に向けたハードル

日本のテスラオーナーがこの監視付きFSDを実際に利用できるようになるのはいつ頃なのでしょうか? 残念ながら、それはまだ全くの未定です。

テスラの監視付きFSDは、特定の条件下ではハンドルから手を離すハンズオフも可能な「自動運転レベル2」に相当します。これは2020年の道路交通法改正によって、すでに日本でも利用が認められているレベルです。したがって、法的にはFSDの導入に大きな障壁はありません。

この画像は、日本の国土交通省による自動運転のレベル分けについて説明した図表です。以下が代替テキストです:自動運転のレベル分けについて(国土交通省)縦軸に「システムによる監視」から「ドライバーによる監視」、横軸に自動化の進展度を示したグラフで、5つのレベルが定義されています。レベル1(運転支援) - ドライバーによる監視例:自動で止まる(自動ブレーキ)、前のクルマに付いて走る(ACC)、車線からはみ出さない(LKAS)レベル2(特定条件下での自動運転機能) - ドライバーによる監視レベル1の組み合わせ例:車線を維持しながら前のクルマに付いて走る(LKAS+ACC)レベル3(条件付自動運転) - システムによる監視システムが全ての運転タスクを実施するが、システムの介入要求等に対してドライバーが適切に対応することが必要高速道路等一定条件下での自動運転(限定地域での無人自動運転移動サービス:2020年まで)レベル4(特定条件下における完全自動運転) - システムによる監視特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施限定地域での無人自動運転移動サービス(2020年まで)レベル5(完全自動運転) - システムによる監視常にシステムが全ての運転タスクを実施高速道路での完全自動運転(2025年目途)各レベルには実際の車両や技術の写真も含まれており、出典として官民ITS構想・ロードマップ2017等を基に作成されたことが記載されています。
テスラの監視付きFSDは自動運転レベル2に相当する。(出典:国土交通省)

あとは、国土交通省が定める保安基準やガイドラインをいかに満たすかが条件となります。ここで鍵となるのが、日本と同じ左側通行・右ハンドルの国であるオーストラリアでの動向です。オーストラリアではすでにFSDのテスト走行が行われており、もし同国で認可されれば、それが先行事例となって日本での認可プロセスも加速する可能性があります。

もちろん、海外の事例がそのまま日本に適用されるわけではありません。日本政府が安全性を特に重視し、慎重な姿勢を崩さなければ、導入が1年以上遅れる可能性も考えられます。このあたりは、ぜひ政府にも柔軟な対応を期待したいところです。

世界へ羽ばたくFSD、タイでの展開とテスラの未来

このFSD展開の動きは、日本だけにとどまりません。同じアジアのタイでも、FSD導入に向けた動きがあることがイーロンのXへの投稿で明らかになりました。

X(Twitter)での会話Warren Redlich - Chasing Dreams (@WR4NYGov) のツイートアメリカ国旗とチェックマーク付きアカウント投稿日時:2025年8月17日返信先:@Tesla_AIさんツイート内容:「No FSD in ThailandGet over here ASAP!Could you at least give us the green light chime for now?」(タイの完全自動運転なしすぐにこちらに来て!せめて今は青信号のチャイムだけでも使えるようにしてもらえませんか?)Elon Musk (@elonmusk) の返信チェックマーク付き認証アカウント投稿日時:午前3:53・2025年8月17日返信内容:「Waiting on regulatory approval」(規制当局の承認待ちです)

イーロン・マスク氏がタイのFSD承認状況についてXでコメント。(出典:X @elonmusk)

これは、あるタイのテスラオーナーからの「タイのドライバーはFSDを心待ちにしています」という投稿に返信するかたちで明かされたものです。イーロンによると、タイ市場への導入にはすでに取り組んでおり、現在は「規制当局の承認を待っている」段階だということです。

タイの首都バンコクといえば、世界でも有数の交通渋滞が激しい都市として知られています。そのような非常に複雑でチャレンジングな環境へFSDを投入するということは、テスラの技術に対する相当な自信の表れといえるでしょう。

こうした複雑な環境で得られるデータは、FSDのさらなる性能向上にとってはかり知れない価値を持つはずです。そして、タイのみならず、世界的にみても交通環境が複雑で安全基準も厳しい日本市場で承認を得ることは、他の国々への展開においても大きな実績となります。

FSDは、テスラにとって非常に利益率の高い収益源となります。この機能がグローバルに普及し始めれば、テスラの収益構造は劇的に変わる可能性を秘めているのです。

まとめ

今回は日本とタイにおけるFSD導入の進展についてお伝えしましたが、いやー、本当にワクワクしますね。FSDという、テスラの企業価値の根幹をなすテクノロジーが、いよいよ世界に向けて本格的に羽ばたこうとしています。

文・じんべい

日本企業でサラリーマンをしながら、 米国株式投資や太陽光発電投資で資産形成し、2023年3月にサイドFIRE。 株式投資では、S&P500を積立投資しながら、 個別株はテスラを中心としたEV銘柄に集中投資を実行中。YouTubeチャンネル『じんべい【テスラとNio】について語るチャンネル』登録者数:約3万人。 X(Twitter)フォロワー数:約1万人。平日毎朝、Xにて前日のテスラ株価情報を発信、また毎週末にはYouTubeでテスラ株価ニュースを配信中。

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