サーキット走行も見据えたフラッグシップタイヤ「GOODYEAR EAGLE F1 SUPERSPORT」誕生
極上のオンザレール感 2022.03.24 2022 Spring webCGタイヤセレクション<AD> グッドイヤーの新フラッグシップタイヤ「EAGLE F1 SUPERSPORT(イーグルF1スーパースポーツ)」が上陸。最新の内部構造や独自のトレッドパターンなどを採用することで頂点を極めたというその出来栄えを、トータル500kmに及ぶ試走で確かめた。ブランドを代表する最新の高性能タイヤ
かつてはゴム含浸繊維の販売のために航空部門も擁し、多数の飛行船建造も行ったというグッドイヤー。創立以来120年を超える歴史を有し、現在では世界22カ国、48の施設で製品を製造、25の自動車メーカーで新車装着の実績を持つグローバルなタイヤメーカーである。
その老舗のブランドが、新しいフラッグシップタイヤを欧州に続き日本にもローンチした。2022年3月1日に発売された、グッドイヤーがウルトラUHPタイヤと呼ぶイーグルF1スーパースポーツがそれだ。UHPは、ウルトラ・ハイ・パフォーマンスの略。つまり、イーグルF1スーパースポーツは一般的なUHPを超える存在である。
グッドイヤーの数ある乗用車用タイヤのなかにあっても「サーキット走行までを視野に入れながら、グリップ性能のみならずより上質なスポーツ走行を可能とすること」を目指して開発された、最上位の位置づけだ。そのネーミングからも、グッドイヤーの自信がうかがえる。
もちろんフラッグシップタイヤだけに、そこに投入された最新テクノロジーも興味深い内容が満載。採用するコンパウンドやトレッドパターンのみならず、タイヤ全体を構成する基本的なコンストラクションそのものにも、一般的な実用タイヤとは一線を画す、贅(ぜい)を尽くしたアイデアが採り入れられているのである。
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超高速走行に対応するテクノロジー
4つのキーテクノロジーと紹介されるこのタイヤの主たる技術のなかにあって、まず注目したいのは、超高速領域になっても理想的な接地形状をキープするために採用された、強靱(きょうじん)なタイヤの基本構造だ。
高剛性のカーカスをトレッド面の一部にまで巻き上げることでサイドウォール部分を強化するというのは、オーバー300km/hゾーンでの走行までを視野に入れたタイヤの場合にはおなじみともいえる構造。「ハイフォースコンストラクションテクノロジー」と名づけられたこの技術によって走行状況にかかわらず理想的な断面形状を保つことが可能となり、路面からの情報をよりダイレクトにドライバーに伝達することで、リニアなステアリング操作を実現させるとうたわれている。
同時にアラミドとナイロン素材を混紡した「高剛性オーバーレイヤー」を採用することで、超高速走行時の強大な遠心力によるトレッド部分のせり出しを抑制する「パワーラインカバーテクノロジー」も大きな見どころだ。これは、高速回転によってタイヤ径が“成長”し接地幅が狭まってしまうという現象をセーブし、あらゆる速度域で安定した接地幅と形状を維持する技術である。
こうした通常のスポーツタイヤであれば問題とならないような、超高速域にまで配慮した基本構造が採用されている点がウルトラUHPタイヤたるゆえん。また、回転方向性は持たないながらも左右で非対称の構造を採用しているのも、イーグルF1スーパースポーツならではの特徴になる。
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大パワーのスポーツモデルがターゲット
さらに「デュアルプラステクノロジー」と「パワーショルダーテクノロジー」と呼ばれる2つの技術にも注目したい。前者はドライ路面で高いグリップ力を獲得することと、ウエット路面で高いパフォーマンスを発揮することの双方を狙いU字型とされたトレッドコンパウンドの構成技術で、後者はタイヤのアウトサイドに大きな負荷がかかるコーナリング時などで接地面積を最大化するとうたわれるグッドイヤーならではの最新技術である。
特に荷重が高まったシーンになると接地面積が拡大し、それによってグリップ力を増すというのは、プリミティブな考え方ながらいかにも効果を発揮しそう。実際、そのルックスは、太い3本のストレートグルーブが高い排水性を連想させる一方で、可能な限り接地幅を広げるべくスクエアに近くデザインされたショルダー形状やアウターセクションのブロックの大きさが、高いドライグリップ力をイメージさせるものとなっている。
そうしたタイヤのキャラクターを反映するかのように、設定されるサイズのラインナップは18~21インチで偏平率は45%以下と、比較的大パワーのスポーツモデルをターゲットとしていることが明らかだ。
そのなかから今回は、フロント用が245/35ZR19、リア用が285/30ZR19というサイズを、オーバー500PSを発生する強心臓を搭載したアルファ・ロメオのスーパーセダン、「ジュリア クアドリフォリオ」に装着して試走を行った。
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グリップの限界点を探りきれない
前述のように、いかにも高性能タイヤらしいルックスのイーグルF1スーパースポーツと、セダンでありながらアグレッシブなスタイリングのジュリアとのマッチングは、見た目もバランスも非常に優れているという印象だ。イーグルF1スーパースポーツのダイナミックなトレッドパターンやサイドウォール上の意匠は、アルファならではの派手な造形のホイールやスポーク間からのぞくイエローのキャリパーに負けることのない、力強い自己主張を感じさせる。
グリップ力が自慢のスポーツタイヤらしく、走り始めの転がり抵抗感は特に小さいわけではないが、真円度の高さは申し分なく、いかにもフラッグシップタイヤらしい上質感に富んでいる。速度が高まってもパターンノイズはごくわずか。スポーツタイヤであることを考えれば、ロードノイズは納得できるにレベルに収まっているといえそうだ。
テストドライブを行ったのは一般公道。当然ながら、そうしたシチュエーションでは絶対的なグリップ性能に不満を感じるはずもなく、コーナーを少々追い込んだ程度ではグリップの限界点は探りきれないほどに高い。徹頭徹尾、極上のオンザレール感を味わうこととなった。
かくして、秘められたグリップ性能の絶対値を精査するためには、もはやサーキットテストに頼る以外にないという印象だ。また、前述のように高速道やワインディングロード、そして市街地を含む500kmほどの距離を走るなかでも、ステアリング操作に対して特にピーキーな挙動を感じることはなかった。
高性能モデル、ジュリア クアドリフォリオへの装着ということでちょっとナーバスな挙動が現れてしまうかもと予測したが、実際にはレスポンスがシャープで車両が機敏に動く一方で、そこにはいい意味で落ち着いた感触も備わっている。コントロールしやすく、装着車種を選ばない間口の広さも併せ持っているように受け取れた。
幅広い車種に優れたバランスとスポーティーな走りを提供してくれそうな、グッドイヤーの新たなフラッグシップタイヤ、イーグルF1スーパースポーツ。走りにこだわるユーザーの選択肢が、またひとつ増えた。サイズバリエーションの拡大を含め、あらためて今後の展開が楽しみである。
(文=河村康彦/写真=花村英典)
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車両データ
アルファ・ロメオ・ジュリア クアドリフォリオ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4635×1865×1435mm
ホイールベース:2820mm
車重:1710kg
駆動方式:FR
エンジン:2.9リッターV6 DOHC 24バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:510PS(375kW)/6500rpm
最大トルク:600N・m(61.2kgf・m)/2550rpm
タイヤ:(前)245/35ZR19 93Y XL/(後)285/30ZR19 98Y XL(グッドイヤー・イーグルF1スーパースポーツ)
燃費:--km/リッター
価格:1174万円