選ばれる高性能 「ADVAN Sport V107」だからできること
時代が求めている 2022.03.31 2022 Spring webCGタイヤセレクション<AD> いよいよ全世界で販売がスタートした、ヨコハマタイヤの新製品「ADVAN Sport (アドバンスポーツ)V107」。名だたるプレミアムカーメーカーが新車装着用に指定する“ウルトラハイパフォーマンスタイヤ”とは、どのようなものなのか?重要性は増すばかり
クルマが100年に一度の大転換期を迎えていると言われるようになって久しい。確かに、パワートレインの電動化は進んでいるし、自動運転に関してはハンドルから手を放すことができるハンズオフ機能を備えたモデルも登場している。一方で、大転換期を迎えるにあたって大事な役割を担っているのに、さほど脚光を浴びていない存在がある。それはタイヤだ。
今回の取材は、最新のBEV(バッテリーに蓄えた電気だけで走るピュアな電気自動車)である「BMW iX3」と、同車が新車装着する横浜ゴムの最新モデル、アドバンスポーツV107の組み合わせを試しながら、次の時代のタイヤを考えるというのがねらいだ。
なぜ、BEVでタイヤが大事な役割を担うのか? まず第1に、電動化によってエンジンが発する音と振動が小さくなる、あるいは皆無になると、タイヤに起因する音や振動が際立つようになるからだ。高速巡航時に耳に入るのは、タイヤからの音と風切り音がメインになる。これからのタイヤには、いままで以上に静粛性とスムーズな乗り心地が求められるようになるのだ。今後、自動運転化が進めば、タイヤにはさらに高度な快適性が求められることも間違いないだろう。
また、電動化によって、タイヤに求められるグリップ力や操縦安定性のレベルが高くなる、という理由もある。例えばBMW iX3の電気モーターは、400N・mもの強力なトルクを発生する。特筆すべきは、0-4500rpmの回転域でこの最大トルクを発生するということ。アクセルペダルを踏み込む足に力を入れた瞬間に電気が流れ、バチッとタイヤに大きなトルクが伝達されるのだ。例えば、2リッターの直列4気筒ガソリンターボエンジンを積む「BMW X3 xDrive20i」は最大トルク300N・mを1350-4000rpmで発生する。どちらのタイヤにより大きな負荷がかかるか、一目瞭然だろう。
BMW iX3が装着するアドバンスポーツV107は、「プレミアムハイパフォーマンスカー」「プレミアムハイパフォーマンスSUV」「プレミアムEV」をターゲットに、自動車メーカーとの共同開発やドイツ・ニュルブルクリンクでのテストを通して鍛えられた。すでにBMWの「Mモデル」や、メルセデス・ベンツの「AMGモデル」に採用されている最新鋭だから、高性能車のユーザーが次のタイヤを考えるにあたってはうってつけの題材だろう。ちなみに、BMW iX3の駆動方式は後輪駆動で、タイヤサイズはフロントが245/45R20、リアが275/40R20となる。前置きはここまでにして、試乗を開始しよう。
→「ヨコハマ・アドバンスポーツV107」のさらに詳しい情報はこちら
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ハッとする滑らかさ
BMW iX3のシステムを起動して、シフトセレクターをDレンジにシフト。ここまでの動作は、エンジンを積む「BMW X3」となんら変わらない。けれどもブレーキペダルに載せた足をリリースすると、BEVならではの無音・無振動の静穏な発進加速が始まる。
ここでタイヤがひと転がり、ふた転がりする時に強く心に残るのが、いかにも真円度の高い、真ん丸のタイヤが滑らかに回転しているという感覚だ。
頻繁にBEVに試乗するようになってから、タイヤにこうしたスムーズな回転感覚があるかどうかが、気になるようになっている。ひとつに、BEVの走りが静かで滑らかだから、タイヤにもそれを求めるという理由がある。
また、BEVをドライブしている時には、加速時に電気を使い、減速時に回生ブレーキが運動エネルギーの一部を電気に変換するという仕組みが常に頭の片隅にある。だから、引っかかりを感じながら回転するような、雑みを感じさせるタイヤは避けたい、という心理が働くのだ。かつて、BMWの直列6気筒エンジンの回転フィールは“シルキーシックス”と称された。翻っていま、BEVに装着されるタイヤには、絹のような手触りが求められる。
「タイヤが丸い」と感じさせるなんて、ごくあたりまえのことだ。けれども、あたりまえのことを感心するレベルで達成しているあたりに、このタイヤの完成度の高さを感じる。
タイヤの構造を簡単に説明すると、骨格部分はカーカスと呼ばれ、その上に配置されるベルトがカーカスを締め付けて剛性を確保する。さらにその上が、地面に接するトレッドだ。
アドバンスポーツV107は、カーカスに高剛性のレーヨンを用い、やはり剛性の高さで定評のあるアラミド繊維を用いた「パワークラウンベルト」を独自開発するなど、基本構造から見直している。そうした新しい技術へのチャレンジによって、感心するほど滑らかな回転感覚が生まれたのだろう。
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静かなのにはわけがある
市街地から高速道路に入って巡航を開始すると、静粛性の高さに驚く。
一般に、タイヤが発生するノイズは、ロードノイズとパターンノイズの2つに分かれる。路面の凸凹を通過する時にタイヤが振動して発生する「ゴー」という低い音がロードノイズで、走行中にタイヤの溝に入った空気が圧縮されて、外に出る瞬間に発生する「シャー」とか「ヒュー」という音がパターンノイズだ。アドバンスポーツV107では、ロードノイズ、パターンノイズともによく抑えられている。
特にパターンノイズの低さに関しては、ウエットグリップや高速域での安定性と、静粛性の高さを高次元でバランスさせる非対称のトレッドパターンが貢献している。さらに、タイヤのイン側に刻まれた新形状の「サイレントサイプ」も、従来品以上に騒音を抑制する効果があるという。
こうした工夫によって、ロードノイズとパターンノイズは低く抑えられ、BMW iX3の室内ではharman/kardonのサラウンド・サウンド・システムがクリアな音を鳴らしている。エンジン音のないBEVの時代には、タイヤの静粛性が重要になることを肌で感じた瞬間だった。
ファン・トゥ・ドライブをもたらすタイヤ
高速巡航時だけでなく、ワインディングロードに入って感じるのは、ステアリングホイールを伝わってくるインフォメーションが充実していることだ。タイヤと路面がどんな状態で接しているかという情報量が豊かで、しかも正確なのだ。もちろんBMWの技術力も大きいけれど、アドバンスポーツV107もいい仕事をしている。
このタイヤでは、まず従来製品より接地面積を拡大することで、グリップ性能を高めている。同時に、タイヤにかかる荷重が低い時と高い時の変化幅を抑えることにも取り組んでいる。その効果で、高速道路を真っすぐ走る場面でも、タイトなコーナーでタイヤにトルクを与えながらクリアする場面でも、安定した手応えを伝えてくれるのだ。
トレッド面の断面形状を改めた効果も大きい。どう改めたのかというと、タイヤが地面に接した瞬間に、圧力がトレッドの全面に均等にかかるように工夫したのだ。それが結果として、安定性向上につながっている。
また、前述したコンパウンドには、強度が高いうえに、シリカを均等に散らすことができるポリマーを採用しているという。シリカをバランスよく分散していることも、しっかりとしたグリップ力の確保に貢献しているはずだ。
アクセルペダルを強く踏むと、後輪駆動のBMW iX3はリアタイヤに400N・mの大トルクが伝わる。けれどもアドバンスポーツV107は変形したりねじれたりすることなく、真ん丸の状態でそのトルクを受け止め、しっかりと路面に伝えている感触だ。新開発コンパウンドや非対称トレッドパターン、接地面積を拡大する新プロファイルなど、さまざまな新技術によって、低回転域から発生されるBEVならではの強大なトルクをがっしりと受け止めている。
結果として、高速道路では安心してステアリングホイールを握ることができ、ワインディングロードでは楽しく操舵することができる。BEVになってもBMWは、「駆けぬける歓び」を感じさせるクルマでなければ存在する意味がない。その相棒たるアドバンスポーツV107は、ファン・トゥ・ドライブという視点で見ても、高く評価したくなるタイヤだ。
試乗を終えて、BMW iX3をまじまじと眺める。すると、タイヤサイドに彫られた「ADVAN」のロゴが日の光をはね返して、きらきらと輝いていた。プレミアムを掲げるだけに、デザインにもこだわっている。カーシェアリングなどが台頭する100年に一度の大転換期においては、所有する喜びを感じさせることも大事な性能なのだ。
(文=サトータケシ/写真=郡大二郎)
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車両データ
BMW iX3 Mスポーツ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4740×1890×1670mm
ホイールベース:2865mm
車重:2200kg
駆動方式:RWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:286PS(210kW)/8000rpm
最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/0-4500rpm
タイヤ:(前)245/45R20 103W/(後)275/40R20 106W(ヨコハマ・アドバンスポーツV107)
交流電力消費率:168Wh/km(WLTCモード)
一充電最大走行可能距離:508km(WLTCモード)
価格:862万円