バットモービルも走った! 恒例の旧車イベント「東京ノスタルジックカーショー」開催
2012.05.22 画像・写真2012年5月19日、20日、東京江東区青海の青海西臨時駐車場特設会場で、「BP vervis 東京ノスタルジックカーショー2012 in お台場」が開かれた。このイベントは10年以上前から毎年恒例となっている、ショップ主体の旧車の展示即売会だが、今回は会場を昨年までの東京ビッグサイトから屋外に移した。会場には特別展示として映画『バットマン』や『バットマン・リターンズ』の撮影で実際に使われた「バットモービル」なども並べられ、さらに屋外会場ならではの目玉企画として、それらのデモランも行われた。梅雨前の開催であるのに、過去このイベントはなぜか雨にたたられることが多かった。会場がアウトドアとなったことで、それだけが気掛かりだったが、幸い両日とも好天に恵まれ盛況に終わった。出展車両の中から、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

会場のほぼ中央に設けられた特別展示。4月に開かれた「富士ジャンボリー」にも出走した、1968年の第5回日本グランプリで長谷見昌弘がドライブした「ローラT70マークIII」を中央に、右は同レースで北野元が駆り優勝した「日産R381」、左は91年のルマン24時間で総合優勝した「マツダ787B」。このうち「ローラT70マークIII」はデモランも披露した。
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会場のほぼ中央に設けられた特別展示。4月に開かれた「富士ジャンボリー」にも出走した、1968年の第5回日本グランプリで長谷見昌弘がドライブした「ローラT70マークIII」を中央に、右は同レースで北野元が駆り優勝した「日産R381」、左は91年のルマン24時間で総合優勝した「マツダ787B」。このうち「ローラT70マークIII」はデモランも披露した。
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1959年「トヨペット・クラウン・スタンダード」。観音開きドアを持つ初代クラウンの中期型、それも珍しいスタンダード仕様で、さらに単に「5」から始まる新車時からの東京ナンバーというトリプル役満のような希少車。型式名「RS20」で、エンジンは当時5ナンバーの上限だった1.5リッター直4。アンバーのウインカーレンズはノン・オリジナルだ。
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前出の「RS20クラウン」をベースにした4ナンバーのライトバンである1960年「トヨペット・マスターライン」(右)と、そのライバルだった「日産セドリック・バン」(左)。初代クラウンと初代セドリックの初期型ライトバン同士という、これまた超希少なツーショットである。ちなみにこの「マスターライン」には、トヨタ初の自動変速機(厳密には半自動)となる「トヨグライド」がクラウン・セダンに先駆けてオプション設定されていた。
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1984年「トヨタ・コロナ・ハードトップ1800EXサルーン」。3代目ジェームズ・ボンドを演じたロジャー・ムーアがイメージキャラクターを務めていた7代目のコロナのハードトップ。コロナはこの代からプラットフォームを「カリーナ」「セリカ」と共用するようになったが、3車種ともに最後の後輪駆動モデルとなった。直線基調のスタイリングがいかにも80年代だ。
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1982年「トヨタ・セリカXX 2800GT」。先の「コロナ」と同時代の、さらにウエッジシェイプを強調した2代目セリカXXのトップグレードで、初代「ソアラ」に積まれてデビューした2.8リッター直6DOHCエンジンを搭載する。北米では車名の「XX」(ダブルエックス)が成人映画のレーティング用語だったため、初代から「スープラ」の名を冠していたが、日本でもこれの後継モデルから同様にスープラを名乗るようになった。
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キレイに仕上げられた初代「フォード・マスタング」群。手前の3台のコンバーチブルは、デビュー翌年の1965年式。フォードのタイアップによる、マスタングの極上のプロモーション・フィルムともいえる映画『男と女』で、ジャン=ルイ・トランティニャン演じる「男」が、足グルマとして乗っていたのと同じモデルだ。
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まるで新車のように美しく仕上げられた、真っ赤な1965年「フォード・マスタング・コンバーチブル」のインテリア。ステアリングコラムの両脇に付いた回転計と時計は、GTパッケージのオプション。
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マスタングはマスタングでも、つい先日89歳で逝去したアメリカのレーシングレジェンド、キャロル・シェルビーが仕立てたハイパフォーマンスモデルの1966年「シェルビー・マスタングGT350」。4.7リッターV8エンジンやサスペンションはもちろん、後席が取り払われるなど内外装にも手が入れられている。
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「シェルビー・コブラ・デイトナ・クーペ」。1965年にフェラーリを破ってマニュファクチャラーズ選手権GTクラスのチャンピオンを獲得したオリジナルの生産台数は、わずか6台と伝えられているが、これは最近になって復活したモデル。グラマラスな後ろ姿がたまらなく魅力的だ。
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1970年「フォード・マスタングBOSS429」。NASCARに使用する、ヘミヘッドの429立方インチ(7リッター)V8エンジンのホモロゲーション取得用として、およそ1年間に1500台に満たない数が限定生産された希少なホットモデル。
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1970年「プリムス・クーダ」。この年にフルモデルチェンジされた、「フォード・マスタング」や「シボレー・カマロ」のライバルとなるスペシャルティーカーである「プリムス・バラクーダ」の高性能版が「クーダ」。この個体はシリーズ最大の7.2リッターV8を積んでいる。
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どことなく「ハコスカ」のアニキといった雰囲気の1970年「プリムス・サテライト」。クライスラーの大衆ブランドであるプリムスのインターミディエート(中間サイズ)だが、当時は中間サイズといえども全長は5m超。エンジンは5.2リッターV8。
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1956年「シボレー・ベルエア」。フィフティーズこと50年代のアメリカ車のなかでもタマ数およびパーツが豊富で、国産旧車でいうなら「ハコスカ」的な人気モデルが55年から57年のシボレー。この個体はブレーキやホイールなどをアップデートしている。美しく仕上げられたエンジンルームはコード類などが極力隠されており、まるでプラモデルのよう。
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なんだコレは!? 答えは1940年代の「ダッジ」のトラックのキャビン部分と超ショートの荷台を合体したカスタムトラッキン。エンジンはインジェクション仕様のシボレー製5.7リッターV8を積んでいるという。よって高速走行も問題ないが、塗り壁のような見た目のとおり、空気抵抗は相当なものだとか。
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1962年「アポロ3500GT」。フェラーリやアストン・マーティンなど欧州製の高級GTへの対抗馬として、カリフォルニアの小メーカーによって62年から65年までに90台弱が作られたという超レアなモデル。日本に1台と思われるこの個体の存在はうわさには聞いていたが、実車を見たのは筆者も初めて。まさかこの会場で拝めるとは思っていなかった。一部アルミ製のボディーはイタリアで作られ、組み立ておよび仕上げはカリフォルニアという。
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「アポロ3500GT」のリアビューは「ジャガーEタイプ2+2」と「アルファ・ロメオ・スパイダー・デュエット」を掛け合わせたよう。バンパーはオリジナルではなく、Eタイプ用という。エンジンはビュイックのアルミ製3.5リッターV8。後に生産設備ごと英ローバーに売却され、レンジローバーなどに長らく使われたユニットだ。シリアルナンバーは「1006」だから、6番目に作られた個体なのだろう。なお、「アポロGT」にはビュイック製5リッターV8を積んだ「5000GT」やコンバーチブルも存在する。
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1974年のデビューから40年近くを経た今なお、元スーパーカー少年から熱い視線を送られる「ランチア・ストラトス」。同様に彼らにとって永遠のアイドルである「ランボルギーニ・カウンタック」と同じく、マルチェロ・ガンディーニがデザインを手がけた傑作である。
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場内に設けられた200mほどの直線路で、デモランを披露する「ランボルギーニ・ミウラ」。
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同じくデモランする「ランボルギーニ・カウンタック5000クアトロバルボーレ」。
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映画『バットマン』(1989)および『バットマン・リターンズ』(1992)の撮影用に4台作られたうちの1台という「バットモービル」も走った。全長6.6m、ノーズが長くステアリングの切れ角が小さいため、場内を曲がる際は何度も切り返ししていた。