「ウルフカウンタック フルレストア完成披露レセプション」の会場から
2015.04.20 画像・写真カナダの実業家、ウォルター・ウルフ氏のためにランボルギーニが製作した「幻のカウンタック」が2015年4月18日、都内のホテルで披露された。その模様を写真で紹介する。
ウルフ氏のために特別に作られたスペシャルカウンタックは3台存在することが知られている。このネイビーブルーの個体は1978年に公にされた3号車で、エンジンだけでなく、足まわり、クラッチ、ブレーキ、ボディーなどにも手が入った「ウルフカウンタックの最終進化形」ともいうべき内容になっている。約10年前に日本に持ち込まれ、2014年に現オーナーの福田愼次郎氏の手にわたったという。
V12エンジンの排気量は、ベースとなった「カウンタックLP400」が3929cc(ボア82.0×ストローク62.0mm)であるのに対し、このウルフカウンタック3号車では4879cc(同86.0×70.0mm)まで拡大されている。これにより、500ps以上のパワーを生み出すといわれる。
このパワーアップに対応するために、5段MTのクラッチはシングルプレートからダブルプレートへ変更されており、またフロントのブレーキキャリパーが4ピストンから8ピストン(リアはノーマルと同じ4ピストンのまま)へ強化されている。
ウルフカウンタック3号車には不明な点が多く、これまで推測の域を出ない情報をもとに語られることが多かった。今回の披露式は「自動車雑誌や玩具などにも、事実と異なる記述や物があまりにも多いため、事実を明らかにすることを目的として開催した」(福田氏)という。式の開催にあたり、福田氏は元オーナーのウルフ氏や、同車のエンジンの開発に携わったジャン・パオロ・ダラーラ氏から数々の証言を得ている。
(webCG)

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ウルフカウンタックの3号車「ネイビーブルースペシャル」。日本では単に「3号車」と呼ばれることもある。
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オーバーフェンダーはウルフカウンタック1号車(赤)、2号車(水色)とは異なり、後の「LP500S」や「5000クアトロバルボーレ」に似た形状の、よりワイドなものに変更された。このデザインはランボルギーニ社内で好評だったため、カタログモデルもこれにならってモデルチェンジすることになった。1978年にデビューした「LP400S」がそれである。
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ショーモデルの「ランボルギーニ・ブラーボ」が履いていた“レボルバータイプ”のホイールが装着される(ウルフカウンタック1、2号車にも同じデザインが採用されている)。写真はフロント。ホイールサイズは8.5JJ×15。タイヤサイズは205/50R15。丸い穴から、APロッキード製の8ピストンキャリパーがのぞく。
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リアホイールのサイズは12JJ×15。タイヤサイズは345/35R15。
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1号車が赤、2号車が水色に塗られたのに対し、3号車はウルフ氏が所有したF1レーシングチーム「ウォルター・ウルフ・レーシング」にちなんで濃紺とされた。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのエンブレム。
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リトラクタブルヘッドランプを上げたところ。(写真提供:福田愼次郎氏)
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メーターはアナログではなくデジタル。メータークラスターからセンターパネルにかけてのデザインも「LP400」シリーズとは異なっている。アクセルペダルが吊り下げ式となるなど、ベースとなったLP400との違いがそこかしこに確認できる。(写真提供:福田愼次郎氏)
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ルーフライナーに注目。「カウンタックLP400」にはあった、ペリスコープ(潜望鏡)とあだ名される後方視認用ののぞき窓が廃止されている。
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ダラーラチューンが施されたワンオフの5リッター(正確には4879cc)V12エンジン。エンジン番号は1120202。このエンジンはもともと、ウルフ氏に1976年夏に納車された2号車(水色。車体番号1120202。エンジンと車体には同番号が与えられる)に搭載されていた。ウルフ氏は2号車のエンジンパワーには満足していたが、足まわりやブレーキに次第に不満を覚えていった。そこで、それらを強化した濃紺の3号車(車体番号1121002)の製作をランボルギーニに依頼。エンジンについては2号車から抜き取り、ダラーラがさらなるチューンを施して移植したという。(写真提供:福田愼次郎氏)
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リアウイングは角度調整式。
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トランクルーム内にはフレームが追加されている。ウイングからのダウンフォースを受け止めるほか、ボディーフレームのリアセクションの剛性アップに貢献したという。(写真提供:福田愼次郎氏)
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会場にはウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」も展示された。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」。
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ウォルター・ウルフ・レーシングのF1マシン「ウルフWR3」。
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ウルフカウンタック ネイビーブルースペシャル(3号車)のオーナーの福田愼次郎氏(右)と、元F1ドライバーのアルトゥーロ・メルツァリオ氏(左)。メルツァリオ氏は1976年のF1日本グランプリでウォルター・ウルフ・カラーの「ウィリアムズFW05」をドライブした。
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フロントのブレーキキャリパーを見る。オリジナルが4ピストンであるのに対し、3号車にはAPロッキードの8ピストンが使用されている。(写真提供:福田愼次郎氏)
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クランクケースと左右バンクのシリンダーブロックの間に19mm厚のアルミプレートを挿入することにより、ストロークアップ(62→70mm)を行っている。(写真提供:福田愼次郎氏)
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シリンダーライナー同士をぎりぎりまで切削して密着させることにより、ボアアップ(82→86mm)を図っているのがわかる。ウオーターギャラリーは手作業で拡張したことがうかがわれる。(写真提供:福田愼次郎氏)
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クランクケースのバンク間に打刻されたエンジンナンバー。1020202という数字が確認できる。水色の2号車の車体番号と同番号。当初は2号車に搭載されていたエンジンであることがうかがわれる。(写真提供:福田愼次郎氏)
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3号車のシャシーナンバー。1121002とある。(写真提供:福田愼次郎氏)
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ウルフカウンタック ネイビーブルースペシャル(3号車)(写真提供:福田愼次郎氏)
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ウルフカウンタック ネイビーブルースペシャル(3号車)(写真提供:福田愼次郎氏)
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ウルフカウンタック ネイビーブルースペシャル(3号車)(写真提供:福田愼次郎氏)