「ルノースポール・ジャンボリー2011」(後編)
2011.10.21 画像・写真2011年10月16日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「ルノースポール・ジャンボリー2011」が開かれた。今回が3回目となる「ルノースポール・ジャンボリー」は、サーキットを舞台としたルノージャポン主催のファン感謝イベントである。昨年に続いて、1970年代から90年代にかけてルノーを駆ってラリー、レース双方で大活躍し、97年の現役引退後はルノーの「名誉広報部長」を務めるジャン・ラニョッティ、そして「ワールドシリーズ・バイ・ルノー」のショータイムで活躍するドライバー3名をスペシャルゲストに迎え、参加者ともども走り主体のプログラムを楽しむという趣向だ。あいにく当日は、西日本から東海地方にかけての広い地域が低気圧の影響による大荒れの天候で、朝方には富士スピードウェイのある静岡県には大雨警報(注意報ではなく)まで発令される始末。実際、ゲートオープンの午前8時から9時過ぎにかけて、会場はゲリラ豪雨のような猛烈な降りに襲われた。その場にいた誰もが「中止」を覚悟したと思うが、サーキットプログラムが始まる10時前後には小康状態となり、昼前にはほぼ上がった。おかげでプログラムはすべて予定通り消化し、訪れた200台近いルノーのオーナーやファンと、彼らの期待に応えるゲストドライバーの心意気が一体となって、荒天にもかかわらず熱い一日となった。その会場から、印象的なシーンとマシンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
(前編はこちら)

パドックに集まったルノー車の一部。朝方の大雨にもかかわらずおよそ200台が来場したという。
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パドックに集まったルノー車の一部。朝方の大雨にもかかわらずおよそ200台が来場したという。
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「サーキットタクシー」の同乗権やお宝グッズが賞品として用意された、恒例の「ジャンケン大会」。
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ラニョッティの「トークショー」。聞き手は『AUTOCAR JAPAN』編集長の笹本健次氏(左)で、右は通訳を務めたルノー・ジャポンのフレデリック・ブレン氏。
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ジャン・ラニョッティ。現役引退から10年以上が経過し、66歳となった今もルノースポールの車両開発から名誉広報部長としてのルノーのプロモーション活動まで大忙しで、世界中を飛び回っている。今回は風邪気味とかで、前日までは彼にしてはいささか元気がなかったそうだが、ファンを前にした当日はそうしたそぶりは微塵も見せずに、持ち前のサービス精神を発揮していた。プロ中のプロである。
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50台が参加したタイムトライアル「ルノースポールトロフィー」。スタートを前に参加車両が順番にピットロードへと向かっていくところ。
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日本では30台限定の「ルーテシア ゴルディーニRS」。ナンバーを見ると札幌だ。わざわざこのイベントのためにやってきたのだろうか。
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正規ディーラーの「ルノー岡崎」が持ち込んだ、日本未導入の現行「クリオ」(日本名ルーテシア)のカップカー。室内にはロールケージが組まれ、ギアボックスは6段シーケンシャルだった。後方は先代「ルーテシア ルノースポール」。
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巨大なリアウイング、じゃなくてテールゲートを開け放したまま(たぶんなんらかの理由で開いてしまった)走っていた先代(2代目)「クリオ」のカップカー。
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初代「メガーヌ・クーペ16V」のレーシング仕様と2代目「メガーヌR26R」、つまり「メガーヌ1」と「メガーヌ2」のバトル。
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先代「クリオ」の後席を取っ払い、3リッターV6エンジンをミドシップした「クリオ・ルノースポールV6」の、ワンメイクレース用の競技専用車である「クリオ・トロフィー」。
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FF大衆車の初代「ルノー5」をベースに、1.4リッター直4ターボエンジンをミドシップしたラリー用のホモロゲーションモデルが、1978年に登場したのが「5ターボ」。「クリオ・トロフィー」のルーツともいえるモデルだが、一部アルミ製だった「5ターボ」のボディパネルをスチールに替えるなどして生産性を高めたのが、83年に出た「5ターボ2」。これはその「5ターボ2」である。ラニョッティは、これら一連の「5ターボ」が、自ら操ったルノーのなかでもっとも印象深いマシンと語っている。
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マルチェロ・ガンディーニがスタイリングを手がけた「シュペール・サンク」こと2代目「ルノー5」の「GTターボ」。1.4リッター直4ターボエンジンを搭載する。この個体はロールケージが入ったサーキット仕様である。
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ルノーの戦後第1作で、日本でも日野自動車がライセンス生産した「4CV」の後継モデルとして、1956年に登場したリアエンジンの小型セダンが「ドーフィン」。この個体はそれを大幅にスープアップしたマシン。リアサスペンションを「アバルト」(詳細不明)用に替え、オリジナルの845ccの2倍近い1.6リッターエンジンを積んでいる。「オバケのQ太郎」に出てくる「ドロンパ」を思わせる顔つきの、さしずめ「おばけドーフィン」といったところ。
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「アルピーヌA110」は2台が「ルノースポールトロフィー」に参加。ランデブー走行を披露した。
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個性的なリアビュー4態。左上から時計回りに「アルピーヌA110」、「ドーフィン」、「クリオ・トロフィー」、「5ターボ2」。
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4人のゲストドライバーも「ルノースポールトロフィー」に参加。これはラニョッティが駆った「メガーヌ ルノースポール」で、この日のベストタイムに近い2分14秒台を記録。ちなみに完全ドライコンディションだった昨年は、「メガーヌR26R」で2分8秒063を残している。
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「ルノースポールトロフィー」の後に行われた、「サーキットタクシー」の最終回。オイル処理の石灰を浴びて、ボディがだいぶ白くなってしまっている。
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「ルノースポールトロフィー」の上位入賞者は、ステージ上でラニョッティから表彰される栄誉に浴する。ご覧のとおり、みな満面の笑顔である。
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フィナーレはラニョッティを囲んで記念撮影。ラニョッティの右隣のルノージャポンCOO大極 司氏は「大雨注意報どころか警報のなか、誰も来てくれないんじゃないかとさえ思っていたのに、本当によく来てくださいました」。いっぽう左隣のルノースポール・テクノロジー 国際マーケティングマネージャーのジャン・カルカ氏は「天気はよくなかったが、足を運んでくれたルノーファンの熱いエンスー魂で、私の心は晴れた」と来場者に対して感謝の言葉を述べていた。
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もうひとつオマケのグランドフィナーレ。参加者有志が並べてくれた、歴代ルノースポール/アルピーヌとともに記念撮影。真ん中のラニョッティの左右にいるのは、前編でパーカーの胸にサインをもらっていた女の子と彼女のお兄ちゃん。「ラニョッティおじいちゃん」は、たいへんな子供好きでもあるのだ。