モータリゼーションの夜明け間近のベトナムのモーターショー
2016.11.01 画像・写真2016年10月26日から30日までの5日間、ベトナム南部のホーチミン市において「ベトナム・インターナショナル・モーターショー2016(VIMS 2016)」が開催された。ベトナムには2つのモーターショーがあり、VIMS 2016はインポーターによる輸入車ショーであり、もうひとつが国内生産メーカーによる「ベトナム・モーターショー(VAMA)」だ。今年で2回目の開催となるVIMS 2016には17のブランドから150台以上が出展された。ブランドはアウディ、ベントレー、BMW、BMWモタード(オートバイ)、インフィニティ、ランボルギーニ、マセラティ、メルセデス・ベンツ、MINI、日産、ポルシェ、スバル、スズキ、UDトラック、フォルクスワーゲン、プジョー(オートバイ)だ。ベトナムでは輸入車に非常に高い関税がかけられるため、スズキの「スイフト」でさえ日本円換算で300万円相当になる。1人当たりの名目国内総生産(GDP)が2052ドル(2014年)のベトナムの一般市民からすれば、まさに高嶺(たかね)の華。そのイメージ通りの華やかにショーアップされたショーであった。(文と写真=鈴木ケンイチ)
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1/30会場となったのは、市内の南にある「サイゴン・エキシビション&コンベンション・センター」で通称「SECC」と呼ばれる場所。再開発地区のようで、周囲では大きなショッピングモールや大きなマンションが建設中であった。
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2/30ショーは朝9時少し前のオープニングセレモニーからスタートした。参加インポーターの代表が並び、台に手形を押すというパフォーマンスが行われた。また、オープニングセレモニーは一般来場の始まる午後にも行われた。
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3/30オープニングセレモニーには地元の記者が数多く参加していた。テレビクルーやネット系媒体から新聞など、数多くの媒体が取材に駆けつけた。ただし、海外からの取材はわれわれ日本人数人だけのようであった。
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4/30オープニングセレモニーの終了後は、そのまま記者が一団となってショー会場へ移動。最初にプレスカンファレンスを行うマセラティのブースへ。記者会見は10分ほどで終了し、そのまま隣のブースで行われる記者会見へ移動する。
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5/30マセラティの記者会見はベトナムで販売されるモデルを1台ずつ紹介する格好で行われた。「グランツーリスモ」「ギブリ」「レヴァンテ」と順に紹介され、最後に「クアトロポルテ」がアンベールされた。
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6/30アウディがアンベールで紹介したのは「Q2」。一段高いメインステージには、そのQ2と「TT」が飾られた。また、ブースの一画にはアウディ スポーツのスペースが用意され、そこには「R8」が置かれていた。
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7/30BMWがアンベールしたのは、「3シリーズ グランツーリスモ」。メインステージには「M3」とGT3のレーシングカー。またVR(バーチャルリアリティー)を使って、100周年記念のコンセプトカーと一緒に写真を撮れる展示も行っていた。
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8/30BMWの記者会見で行われたダンスパフォーマンス。電飾で飾られたドローンを中心に、SFチックな衣装のダンサーが登場。また、一緒に登場した女性モデルたちの衣装は非常にモダンなものであった。
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9/30BMWの記者会見の最後に登場した美女は、なんとベトナム代表としてインターナショナル大会に参戦したファムさんであった。美女ぞろいのショーコンパニオンの中でも、際立った存在感を放っていた。
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10/30BMWモタードの記者会見では、ロックバンドによる生演奏をバックに、コンパニオンがファッションショーのようにブース内を歩き回るという演出。バンドは、ほとんどハードロックという激しいものであった。
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11/30MINIがアンベールしたのは、「MINI 5ドア」。ステージの奥には「コンバーチブル」や「クラブマン」などが並ぶ。ちなみに3ドアの「クーパーS」でも、現地での販売価格は700万~800万円相当となっている。
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12/30インフィニティのメインステージに飾られたのはスポーティーセダンの「Q60」。ちなみにブースには、「QX60」「QX70」「QX80」というSUVが並ぶ。QX80の現地価格は日本円で約3500万円であった。
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13/30インフィニティの記者会見でのパフォーマンスはあっと驚くアクロバチックなものであった。登場した男女2人のダンサーが、天井から垂れ下がるヒモにつるされ、そのまま空中でダンスを披露したのだ。
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14/30日産が記者会見で主に紹介したのは「エクストレイル」。現地価格は500万円ほどになる。他にはセダンの「ティアナ」、小型セダンの「サニー」、ピックアップトラックの「ナバラ」などが展示されていた。
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15/30スバルブースの主役は「WRX STI」。2017年モデルとして、この日に発売となった。価格は日本円に換算すると約900万円。ハイパフォーマンスな高級車という存在となっている。
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16/30スバルは「WRX STI」の他に「レヴォーグ」「フォレスター」「XV」「アウトバック」を並べた。価格は700万~900万円といったところ。もちろんアイサイトは装着されていない。アウトバックのカットモデルも展示され、注目されていた。
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17/30会場の中央には主催者による特別展示スペースが設けられていた。飾られていたのは欧州のクラシックカーたちであった。アウトウニオンやフィアットなどの量産モデルから古いレーシングカーまでが並んだ。
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18/30ポルシェの目玉的存在は、新型の「パナメーラ」だ。アジアパシフィック地域のモーターショーとしては、今年に新型になったばかりのパナメーラが展示されるのは、このベトナムが最初となった。
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19/30ベントレーとして初めてのSUVである「ベンテイガ」もベトナム初登場。12気筒エンジンを搭載するラグジュアリーSUVの現地価格は、日本円にすると、なんと1億円になるという。
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20/30ベントレーと同じブースに並んだランボルギーニ。こちらは「ウラカンLP580-2」が主役だ。こちらの現地価格も「ベンテイガ」と同じく1億円だという。文字通りに億万長者のためのクルマだ。
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21/30メルセデス・ベンツのメインステージに並んだのは新型「Eクラス」と「Sクラス」の「カブリオレ」だ。他にも「AMG SLC」と「AMG CLA」がアンベールされていた。素の「CLA200」は現地価格で800万円弱となっている。
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22/30メルセデス・ベンツのプレスカンファレンスに登場した美女もミスベトナムだという。ベトナムショーのコンパニオンは、ややクラシカルなロングドレス姿がメインであったが美貌のレベルは非常に高いものがあった。
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23/30ルノーのプレスカンファレンスのショーはフランス色の強いものであった。最初にボールを使ったパフォーマンスを行い、その次にフレンチカンカン! エッフェル塔を置くなどブース全体の演出がフランスだったのだ。
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24/30ルノーがプレスカンファレンスで紹介したのが大型セダンの「タリスマン」。他の展示はSUVの「コレオス」など大型モデルが中心。コンパクトカー需要の少ないベトナムの事情に合わせた展示なのだろう。
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25/30フォルクスワーゲンのアンベールは「ザ・ビートル デューン」。ベトナム市場への初導入となる。価格は日本円で約750万円。「シロッコGTS」と同等の価格設定となっている。
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26/30乗用車ブランドのプレスカンファレンスのラストバッターとなったのがスズキ。ベトナムでの初披露となる「シアズ」を筆頭に「スイフト」、SUVの「ヴィターラ」、MPVの「エルティガ」をそろえる展示であった。
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27/30コンパクトSUVである「ヴィターラ」は4WDであることをアピールする専用のブースを用意した。価格は日本円で約440万円。輸入SUVとしては、手ごろな価格設定となっている。
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28/30中国などのアジア市場で販売されるコンパクトセダンの「シアズ」。プレスカンファレンスではスズキの日本人社員が英語のスピーチで丁寧に内容を説明していた。現地の販売価格は日本円換算で約290万円。輸入車としては相当に安価だ。
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29/30ベトナム市場への本格参入を考えるプジョーからは、ワールドプレミアとなる「スピードファイト125cc」の最新モデルが登場した。屋外に設置された専用の建物が展示ブースとなっていた。
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30/30街を走るクルマはタクシーとバスと高級車。地下鉄のないホーチミンの一般の市民の足はもっぱらオートバイだ。ただしホーチミン市に限れば年間GDPは5000ドルに近い。堅調に年間6%の成長率を続けることを考えると、モータリゼーションの到来は間近だ。