「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2016」の会場から(前編:サーキットバトル編)
2016.12.15 画像・写真2016年12月11日、澄み渡った青空に雪を頂いた富士山が映える、絶好のイベント日和に恵まれた静岡県小山町の富士スピードウェイで、「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2016」が開かれた。これは今回で19回目を迎えた、日産/NISMOのモータースポーツファン感謝イベントである。メインコースにおけるプログラムは、日産/NISMOの栄光の歴史を築いたマシンを走らせる「NISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN」と、最新の現役マシンによる模擬レース「CRAFT SPORTS presents NISMO GP 2016」が2本柱。いずれもここ数年でおなじみとなったものだが、前者は今年富士スピードウェイが開設50周年を迎えたことを記念して、1966年「プリンスR380 (A-1)」、68年「日産R381」、69年「日産R382」という、60年代の日本グランプリを制した3台をはじめ、富士にゆかりのマシン10台をレジェンド・ドライバーが駆った。いっぽう後者では、今季のSUPER GTやスーパー耐久などで活躍したマシン19台が、本番さながらのバトルを繰り広げた。ここでは、それらのプログラムにおけるマシンの雄姿を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)(後編:イベント広場/ピット編はこちら)
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1/28ピットロードに年代順に並んだ後、1966年「プリンスR380(A-1)」を先頭にデモランに向け発進していく「NISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN」の出走マシン。
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2/282リッター直6 DOHC 24バルブエンジンをミドシップした、国産初のプロトタイプスポーツである「プリンスR380(A-1)」。1966年にオープンした富士スピードウェイ初のビッグイベントとなった第3回日本グランプリで、砂子義一のドライブで優勝したマシンそのものである。今回は和田孝夫がステアリングを握った。
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3/281968年の第5回日本グランプリで優勝した「日産R381」は、ウイニングドライバーである北野元がドライブ。自社製エンジンの開発が間に合わなかったため、5.5リッターV8 OHVのシボレー製エンジンを搭載。「エアロスタビライザー」と呼ばれる、リアサスペンションに連動して可動するウイングを備え、「怪鳥」の異名をとった。
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4/281969年日本グランプリで、黒沢元治が駆って優勝した「日産R382」は、星野一義がドライブした。レギュレーションによりウイングが禁止されたため、ウエッジシェイプを強めたボディーに6リッターV12 DOHC 48バルブエンジンをミドシップ。日産そして国産メーカーが送り出した最大のモンスターマシンである。
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5/281969年JAFグランプリのツーリングカーレースで、トップでゴールインした「トヨタ1600GT」に課せられたペナルティーによる辛勝ではあったものの、篠原孝道のドライブでデビューウィンを飾った「日産スカイライン2000GT-R」(レプリカ)。「R380」用をベースに、カムシャフト駆動をギアからチェーンに改めるなどして量産化した、2リッター直6 DOHC 24バルブエンジンを搭載。
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6/281973年日本グランプリのTS-aレースで、北野元が駆り優勝した「ダットサン・サニーエクセレント クーペ」。ベースとなった初代サニーエクセレントは、2代目サニーのボディーのノーズを伸ばして1.4リッター直4 SOHCのL14エンジンを積んだモデルだが、これは1.6リッター直4 DOHC 16バルブのレース用スペシャルユニットであるLZ14を積んでいる。
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7/28日産初のFF車だった初代「チェリー」は、FFのメリットを生かしてウエットレースでは抜群の強さを発揮した。この「チェリー クーペX-1」は、前出の「サニーエクセレント」と同じ1973年日本グランプリのTS-aレースに長谷見昌弘のドライブで出走、クラス3位となったマシン。今回も長谷見がステアリングを握った。
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8/281973年「日産フェアレディ240Z-G」は、ノーマルのターンフローからクロスフローに改めた直6 SOHC 2.9リッターのLY28型エンジンを積んだテストカー。ウエットレースとなった72年富士グランチャンピオンシリーズ第2戦において、フェアレディ240Z-Gでミドシップのレーシングスポーツを抑えて優勝し、「雨の柳田」「Zの柳田」の異名をとった柳田春人がドライブした。
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9/28グループAで争われていた全日本ツーリングカー選手権(JTC)で、デビューした1990年に星野一義/鈴木利男が6戦中5勝を挙げてシリーズチャンピオンを獲得した「カルソニック・スカイライン」。ベースはもちろん「日産スカイラインGT-R(BNR32)」で、同車は90年から93年までのグループA全29戦を完全制覇した。
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10/281992年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)で、星野一義/鈴木利男が6戦中3勝を挙げ、「R91CP」で戦った前年に続いてシリーズ2連覇を果たした「日産R92CP」。3.5リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボエンジンをミドシップする。これに続いて99年のルマン24時間に参戦した「日産R391」も出走する予定だったが、不調なのか走らなかった。
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11/28デモラン終了後、メインストレート上に並んだ「NISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN」の出走マシン。
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12/28「NISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN」でマシンを駆ったドライバーは、ストレート上で順にインタビューを受けた。これは「プリンスR380(A-1)」を駆った和田孝夫。
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13/28ストレート上で談笑する日産ワークス黄金時代のレジェンド・ドライバー。左から北野元、長谷見昌弘、そして星野一義。
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14/28フルコースでは恒例のレーシングカー同乗走行、プロドライバーがドライブするNISMOロードカーに乗るサーキットタクシー、およびバスから走行するマシンを眺めるサーキットサファリも実施された。
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15/28JCCA(日本クラシックカー協会)主催のクラシックカーレースに参戦している日産車によって行われた「NISSANヒストリックカー・エキシビションレース」。フォーメーションラップでペースカーを務めたのは、日産の「名車再生クラブ」でレストアされたばかりの「チェリーF-II クーペGX-T」。実戦に参加することはなかったツーリングカーレース仕様で、北野元がステアリングを握った。
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16/2828台が出走した「NISSANヒストリックカー・エキシビションレース」のスタートシーン。ポールポジションからスタートした右端の「HIROTA東名サニー」。型式名KB110こと2代目「サニー クーペ」をベースにした、「丸善テクニカ・サニー」のレプリカで、影山正美がドライブしている。
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17/28先頭から型式名KB310こと4代目「サニー クーペ」をベースにした「スクーデリアVRKサニー」と「インフィニティー☆ウエタケサニー」、そして先の「HIROTA東名サニー」という、3台のサニーによる激しいトップ争いが展開された。
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18/28終始テール・トゥ・ノーズのバトルを魅せた3台の「サニー」。
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19/28こちらは「GT-Rオーナーズクラブ中部スカイラインGT-R」(KPGC10こと「スカイライン ハードトップ2000GT-R」)と「TRIGGER JAPAN VRKサニー」(KB310「サニー クーペ」)のバトル。
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20/28往年の日産ワークスマシンに多かった、エンジに塗られた「剣自動車+OE510ブルーバード」(KP510こと「ブルーバード クーペ1800 SSS」)。
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21/28ピート・ブロック率いるBRE(ブロック・レーシング・エンタープライズ)風のカラーリングが美しい「サミック&チェックランド&チェック240Z」(HLS30こと北米仕様の「ダットサン240Z」)。
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22/28SUPER GTやスーパー耐久シリーズなどで活躍する現役マシン19台による「CRAFT SPORTS presents NISMO GP 2016」で、トップを争うSUPER GT GT500の「MOTUL AUTECH GT-R」と「CALSONIC IMPUL GT-R」。
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23/28「CRAFT SPORTS presents NISMO GP 2016」のオープニングラップにおける、SUPER GTのGT300やスーパー耐久などを走る「GT-R NISMO GT3」同士の大混戦。
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24/28混戦を抜け出し、上位を走る「GT-R NISMO GT3」。先頭は今季のSUPER GT GT300のランキングで、GT-R勢最上位となる4位となった星野一樹/ヤン・マーデンボローの「B-MAX NDDP GT-R」。3番目を走る「GAINER TANAX GT-R」は、縁石で大きく跳ねている。
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25/28スーパー耐久を走る「フェアレディZ(Z34)」同士のバトル。先頭は第4戦富士に本山 哲が加納政樹/安田裕信と共にスポット参戦し、3位表彰台を獲得した「SKT team motoyama」のマシン。
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26/28今季のスーパー耐久ST-Xクラスのチャンピオンマシンである、KONDO RACINGの「スリーボンド 日産自動車大学校 GT-R」。
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27/282015年のバサースト12時間耐久(オーストラリア)で総合優勝した「GT-R NISMO GT3」。
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28/28史上初のシリーズ3連覇を狙った今季のSUPER GT GT500で、開幕2連勝を飾り大いに期待されたが、最終的にはランキング3位(「GT-R」最上位)に終わった松田次生/ロニー・クインタレッリの「MOTUL AUTECH GT-R」。会場では来季の雪辱を誓っていた。