「第60回 SHCC大磯ミーティング」の会場から
2018.11.02 画像・写真2018年10月28日、神奈川県大磯町の大磯ロングビーチで、湘南ヒストリックカークラブ(SHCC)主催の「第60回 SHCC大磯ミーティング」が開かれた。このミーティングは駐車場内の特設コースで行われるタイムトライアル(ジムカーナ)を中心とするもので、初夏と晩秋(今回は通常より1カ月前倒し)に年2回開催されている。1980年代後半に始まった歴史あるイベントだが、今回は記念すべき60回大会ということで、通常の100台前後に対して120台以上が出走した。出場資格は1969年までに生産された車両およびレプリカを含む同型車、そして主催者が認めた車両で、排気量やチューニングの度合いなどによって9つのクラスに分けられる。常連のエントラントも少なくなく、各クラスともハイレベルな戦いが繰り広げられた。加えて今回は、カロッツェリア・ザガートが手がけたモデルの愛好家による「クラブ ザガート ジャポネ」のミーティングも共催され、20台のザガート車も集合。さらに27日、28日に開催された初代「ロータス・エリート」のミーティングの参加車両もツーリングの道中で立ち寄り、会場に並んだ。クラシックカーファンにはたまらない、豪華なラインナップがそろった会場から、ジムカーナの出走車両を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/33好天に恵まれた、会場の大磯ロングビーチ駐車場。
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2/33クラブ ザガート ジャポネ 2018(ザガートミーティング)の参加車両。左から1954年「モレッティ750ザガート」、1961年「オスカ1600GTS」、1962年「アルファ・ロメオSZ2」、そしてデビュー間もない「アストンマーティン・ヴァンキッシュ ザガート ヴォランテ」。
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3/33これもザガートミーティングの参加車両である「アルファ・ロメオ2600SZ」。アルファとしては最後となる直6エンジンを積んだ「2600スプリント」のシャシーに、ザガートとしては珍しくスチール製ボディーを載せたモデルで、1965年から1967年までの間に105台が作られた。
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4/331986年「アストンマーティンV8ヴァンテージ ザガート」。ボンネットのバルジは、4基のダブルチョークウェバーキャブレターをクリアするためのもの。生産台数はクーペが50台、コンバーチブルが25台。
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5/331957年にロータス初のクローズドボディーの量産スポーツカーとして誕生した初代「エリート」が12台もそろった貴重な光景。エリートはマイクロカーの類いを除き、世界初のFRPモノコックボディーを持つモデルでもあった。
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6/33ジムカーナのスタート風景。マシンは1300cc以下のノーマル車両および1000cc以下の改造車両によるBクラスに出走した「コニリオ」。「ホンダS800」のシャシーに工業デザイナーの浜 素紀氏の手になるFRPボディーを載せたレーシングカー。ジムカーナは午前と午後に1本ずつ行われ、ベストタイムで競った。
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7/331000cc以下のノーマル車両および500cc以下の軽自動車によるAクラスに親子でダブルエントリーしている常勝マシンである「スズキ・フロンテクーペ」。今回は息子が優勝、父が2位となった。
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8/33Aクラスにダブルエントリーした「ルノー・ドーフィン」。戦後ルノー初のヒット作であり、日野自動車でもライセンス生産された「4CV」の後継モデル。
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9/33Bクラスの常連の一台である「日野コンテッサ900」。「ルノー4CV」のライセンス生産の経験から生まれた日野初のオリジナル乗用車。前出の「ルノー・ドーフィン」とは、いわば国籍の異なる従姉妹(いとこ)同士? この個体はナローの「ポルシェ911」用ヘッドライトを持つ顔つきをはじめ、各部がモディファイされている。
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10/33リアエンジンの特性を生かしたクイックな走りを披露し、Bクラスで優勝した「ヒルマン・スーパーインプ」。「ミニ」の対抗馬として1963年に登場したインプは、ミニとは正反対のRR大衆車。
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11/33Bクラス4位に入賞した「アルピーヌA110VC改」。Bクラスは出走15台中、リアエンジン車が10台を数えた。
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12/331800cc以下のノーマル車両および1300cc以下の改造車両によるCクラスにチャンピオンマシンとして臨んだ「ジネッタG4」。今回も見事1位で、2017年秋から3連勝を飾った。
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13/33Cクラスの上位入賞の常連である、通称カニ目こと「オースチン・ヒーリー・スプライトMk1」。今回は6位にとどまった。
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14/33Cクラスに出走した、ヤレ具合がいい感じの「ポルシェ356A」。同乗してきた小学生の息子さんいわく「思い切り走らせたらブッ壊れちゃうから……」とのことだった。
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15/33大学の自動車部から30年以上の付き合いという2人でCクラスにダブルエントリーしている「ダットサン・ブルーバード1600SSSクーペ」。毎回、「ジネッタ」や「ロータス・エラン」、「アルピーヌ」といった2座スポーツカーを相手に健闘しているが、今回も2台のジネッタとエランに続いて4位と5位に入った。
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16/331801cc以上のノーマル車両および1301cc以上の改造車両によるDクラスに親子でダブルエントリー、3位(父)と4位(息子)に入った「ロータス・エランS1」。
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17/33Dクラスに出走した2代目「トヨタ・パブリカ」。現役時代はツーリングカーレースやジムカーナで活躍したモデルである。
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18/33Dクラスに出走した「三菱ランサー1600GSR」。2度のサファリラリー制覇をはじめラリーでの活躍で知られる初代ランサー。
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19/33大幅なモディファイが施された型式名SR311こと「ダットサン・フェアレディ2000」。Dクラスで2位に入った。
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20/33Dクラスに初参加、大柄なボディーを振り回してみせた「日産セドリック ハードトップ」。型式名230こと3代目セドリックの2ドアハードトップである。これを含めDクラスはドリフトクラス(?)という感じの派手な走りのクルマが目立った。
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21/33レーシングカーおよび「スーパーセブン」の同類車による最速のRクラスで、数多くの勝利を誇る「SOCJスーパー七」。今回もこの日最速の38秒366を記録して優勝した。
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22/33Rクラスに出走した「ホンダS800ロータリー」。その名のとおりホンダS800の車体に13Bロータリーエンジンを積んだオバケである。
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23/331300cc以下のノーマル「ミニ」および1000cc以下の改造ミニによるミニAクラスの常勝マシンであるローバー・ミニ。今回も優勝で連覇を飾った。
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24/331000cc以上の改造「ミニ」によるミニBクラスで、俗に「長モノ」と呼ばれるロングホイールベース仕様ながら健闘した「ミニ クラブマン エステート」。
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25/33女性ドライバーによるレディースクラスで優勝した「ローバー・ミニ クーパー35thアニバーサリー」。記録した44秒228はミニAクラスで2位、ミニBクラスでも5位に相当する。
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26/339台が出走したザガートクラスで特別賞を受賞した1953年「フィアット・ザガート750GT デリバータMM」。トッポリーノこと初代「フィアット500C」をベースにした愛らしいクーペ。
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27/33ザガートクラスに出走した1958年「フィアット・アバルト750GTザガート」。「フィアット600」をベースにしたアバルト初の量産GTで、ミッレミリアなどでも活躍した。グリーンのボディーカラーは珍しい。
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28/33ザガートクラスで3位に入った1969年「アルファ・ロメオ・ジュニア ザガート1300」。これを含めジュニア ザガートは3台出走した。
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29/331995年「マセラティ・スパイダー ザガート」。ライト類に貼られた飛散防止用テープが実に似合わないが、ザガートクラスで優勝。
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30/33戦前車およびそれに準ずる車両によるKクラスで3位に入った1935年「フィアット508CSバリッラ ベルリネッタ エアロディナミカ」。量産小型車ベースながら、当時としては先端をいく優美な空力ボディーを持つクーペ。
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31/33Kクラスで車齡90年となる1928年「リー・フランシスPタイプ」を駆るのは、往年のマカオグランプリに出場経験もあるSHCC顧問の太田 朗さん。なんとクルマと同じ御年90歳(!)というリビングレジェンドである。
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32/33ジムカーナのインターバルとなるランチタイムには、「MG J2 ミジェット」をはじめとする参加車両に子供を乗せて走る同乗体験を実施。会場では難病と闘う子どもたちの夢をかなえるボランティア団体「メイク・ア・ウィッシュ」による募金活動も行われた。
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33/33会場を後にする1961年「ロータス・エリートSr.2」。当時ロータスの代理店だった芙蓉貿易が入れた正規輸入車で、新車からの「5」で始まる陸運支局名がなかった時代の東京ナンバーを付けた超希少車である。