クラシックカーイベント「ガソリン自動車遠乗会112周年記念 大遠乗会」の会場から
2020.12.17 画像・写真2020年12月13日、東京都国立市に本拠を置く自動車クラブ「オートモビルクラブジャパン」が、「ガソリン自動車遠乗会112周年記念 大遠乗会」を実施した。
今から112年をさかのぼる1908(明治41)年に、国産初のガソリン自動車「タクリー号」をつくらせたほどのクルマ好きで、「自動車の宮さま」と呼ばれた有栖川宮威仁親王が、3台のタクリー号を含む11台による日本初のガソリン自動車による遠乗会(とおのりかい=ドライブ)を主催した。日比谷公園を出発した一行の目的地が国立市にある谷保天満宮で、到着後に行われた食事会の席で、わが国初の自動車クラブとなるオートモビルクラブジャパンが設立されたのだという。
それから103年を経た2011年に国立市周辺在住のクルマ好きが集い、故事にちなんでオートモビルクラブジャパンを復活させた。以来「谷保天満宮旧車祭」や「熱海ヒストリカG.P.」などのクラシックカーイベントを主催してきた。例年なら12月には谷保天満宮旧車祭が開催されるが、今年は新型コロナ禍から中止を余儀なくされたため、その代わりとしてクラブ員を対象とした、ガソリン自動車遠乗会112周年記念 大遠乗会が実施されたのである。
当日は112年前の遠乗会をなぞるべく、日比谷公園に近い東京都港区芝公園にある東京プリンスホテルの駐車場に112台の参加車両が集合。そこをスタートした参加車両は、日比谷公園 霞門交差点でトリップメーターをゼロに戻し、祝田橋~桜田門~三宅坂を経て、半蔵門から新宿通り/甲州街道(旧道)を西進して谷保天満宮に至る往時のルートをトレース。そこからJR国立駅を経てゴールとなる谷保第三公園に至る、全行程約32km、時間にして2時間弱のドライブを楽しんだ。その大遠乗会から、参加車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/30東京プリンスホテルの駐車場に集まった参加車両。今回はクラブメンバー限定のイベントであることから、高年式の車両での参加も許された。
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2/30反対側から見た駐車場の光景。
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3/30午前9時15分、東京プリンスホテルをスタート。参加車両にはゼッケンが貼られているが、ナンバーは会員番号で、スタートは順不同。このカットで先頭にいるのは1952年「ダットサン・スポーツDC3」。日本で初めて車名に「スポーツ」を冠したモデルだが、設計は戦前のダットサンをほぼ踏襲。運転席足元の操作ペダルは、一部の戦前車に見られるアクセルが中央、ブレーキが右側という配置である。
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4/30東京プリンスホテルの構内を走る「トライアンフ・イタリア2000」。「トライアンフTR3A」のシャシーに、ミケロッティがデザインし、ヴィニャーレが仕立てたボディーを載せたモデル。1959年から62年までに330台がつくられたという希少車。
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5/301950年代のいわゆるオーバルウィンドウ時代のモデルと思われる「フォルクスワーゲン・カブリオレ」。リアホイールアーチにスパッツを装着している。
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6/30「デイムラー2.5リッターV8」。1962年に登場した、「ジャガーMk2」のボディーにデイムラー製2.5リッターV8 OHVエンジンを積んだ高級中型サルーン。
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7/30バンパーレスの「モーガン4/4」。1936年にデビューし、今春に生産終了となった世界最長寿モデル。この個体はライセンスナンバーから1977年式であろう。
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8/30東京プリンスホテルの敷地を出た直後の1972年「フォード・グラン トリノ」。クリント・イーストウッドが監督、プロデューサーおよび主演を務めた映画『グラン・トリノ』で広く知られるようになった、フォードのインターミディエート(中間サイズ)のモデル。中間サイズとはいえ全長5.2m前後、全幅2m以上。
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9/30鮮やかなイエローの「ディーノ246GT」。5ナンバー規格に収まるコンパクトなボディーに、後に「ランチア・ストラトス」にも使われた2.4リッターV6 DOHCエンジンをミドシップする。
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10/30ベージュに白いトップというシックな装いの「シトロエンID19」。ハイドロニューマチックサスペンションは備わるが、変速機をMT、ブレーキを通常のタイプとし、エンジンをデチューンした「DS」の普及版。
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11/30東京プリンスホテルから祝田橋交差点に向かう道(正式名称は「都道301号白山祝田田町線」とのこと)を行く「日産パルサーGTI-R」。1990年に登場した4代目パルサーに2リッター直4 DOHCターボエンジンとフルタイム4WDを搭載。「ラリーの日産」の復権を賭けたWRC参戦用のホモロゲーションモデル。
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12/301975年「ホンダ・シビック1200RS」。ホンダで「RS(ロードセーリング)」の名を最初に冠した、初代シビックのスポーティーグレード。北米仕様のフロントウインカーとサイドマーカーランプを装着、アウトサイドミラーもドアミラーに交換している。
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13/30都道301号白山祝田田町線に面した日比谷公園 霞門の交差点を通過する「BMW 2002ターボ」。同じBMWの「M635CSi(M6)」、さらにもう一台の2002ターボが続く。参加車両は横断歩道手前の停止線でトリップメーターをゼロに戻すよう指示された。
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14/30霞門交差点を通過する1941年「キャデラック・フリートウッド60スペシャル」。全長5.5m超、全幅2m超、全高1.6m超のボディーに、米軍の軽戦車にも使われた5.7リッターV8フラットヘッド(サイドバルブ)ユニットを積む。
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15/30JR国立駅から谷保駅に向かう通称大学通りの、ゴールまで1km前後を残す地点を通過する先導車両の“ジープ”は、1951年「ウイリスM38」。先頭を切るにふさわしいライセンスナンバーだが、4ケタ数字にハイフンが入らないナンバープレートは1962年4月までのもの。
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16/30同じく大学通りにて。1971年に出た3代目「メルセデス・ベンツSL」(R107)に、その前の世代の「280SL」(W113)が2台続いている。
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17/30イギリスのGTディペロップメント社による「フォードGT40」のレプリカである「GTD40」。オリジナルに準じたデザインで本革張りの内装など魅力的な成り立ちだった。
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18/30ゴールまであとわずかの地点を走る「スバッロBMW 328」。スイスのコーチビルダーであるスバッロが1970年代につくった、「BMW 2002tii」のエンジンを搭載した往年の名車「BMW328」のレプリカ。
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19/30日本ロールス・ロイス&ベントレー・オーナーズクラブ会長の和田篤泰氏がドライブする1910年「ロールス・ロイス・シルバーゴースト」。日本初のガソリン自動車遠乗会の実施から2年後につくられた車齢110歳のこのクルマで、和田氏はイベントの開催地がどこであろうと、神奈川県のご自宅から自走で参加する。続くのは「MGミジェット」。
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20/30ゴールである谷保第三公園への入場を待つ参加車両。手前から「アウトビアンキ・ビアンキーナ カブリオレ」「トライアンフTR3」「トヨタ・スポーツ800」など。
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21/30谷保第三公園の入り口でチェッカードフラッグが振られ、ゴールインする通称“ビッグヒーレー”こと「オースチン・ヒーレー100」。
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22/30ゴールした車両はレッドカーペット上でスタッフから完走証明書を渡される。これは1953年「メルセデス・ベンツ170S」。戦前の1936年にデビューし、改良を加えながら55年までつくられた、今日の「Eクラス」のルーツ的なモデル。
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23/301987年「シボレー・カプリース」のポリスカー。一部を除き特殊装備もそのままで払い下げられたホンモノである。
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24/30メタリックにしろソリッドにしろ、ブルーのボディーカラーが大半を占めるなか、オレンジが新鮮に感じられる「アルピーヌA110」。
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25/30「ダットサン・ブルーバード1600SSS」(P510)の、1970年サファリラリー総合優勝車のレプリカ。
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26/30フィニッシュ後、谷保第三公園に並んだ参加車両。最前列右端は「フェラーリF512M」。1994年に登場した、「テスタロッサ」系の最終発展型。
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27/30閉会式終了後、三々五々に会場を後にする参加車両。「品川3」のシングルナンバーを付けた1968年「メルセデス・ベンツ280SL」は、フルオリジナルのワンオーナー車。
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28/30「ジャガーXK150FHC」。1957年にデビューした「XK120」に始まる、XKシリーズの最終発展型。
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29/30「ダットサン240Z」。初代「フェアレディZ」の北米仕様だが、オリジナルのドアミラーから国内仕様のフェンダーミラーに換えてある。
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30/30美しく仕上げられた、非常に珍しい「シトロエン・アミ8ブレーク」。メカニズムは「2CV」がベースで、エンジンは602ccの空冷フラットツイン。