「オートモデラーの集い in 横浜 2018」出展作品(後編)
2018.02.07 画像・写真2018年2月3日、神奈川県横浜市にある日産自動車 横浜工場ゲストホールで開かれた「オートモデラーの集い in 横浜 2018」。筆者にとって、このイベントの取材は、東京オートサロンとは違った意味でハードである。会場は広めの会議室といった感じなので、面積はオートサロンとは比較にならないほど小さく、よって移動の負担はゼロに近い。だがそこに並ぶ作品は前述したように約850台と、くしくもオートサロンとほぼ同じ。それらの精緻に作り込まれた作品群を、老眼の進んだ目を凝らして眺め撮影していると、午前10時から午後3時までという開場時間はあっと言う間に過ぎていってしまう。そして終了後にはどっと疲れが……となるわけだか、取材前に気が重くなることは不思議とない。それどころか、「今回はどんな作品が見られるだろう?」とわくわくしてくるのだ。そんな思いを抱かせるイベント会場から、後編ではコンペティションマシンのモデルを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/251968年に富士スピードウェイで開かれたワールドチャレンジカップ富士200マイルレース(通称:日本カンナム)で優勝したピーター・レブソンの「マクラーレンM6B」。作者は1960~70年代の国産ワークスカーと日本のレースに出走したマシンを専門に作っているモデラー氏で、ベースは往年の1/20バンダイ製キット。
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2/25型式名S54Bこと「プリンス・スカイライン2000GT-B」のワークスカーが出走した最後のレースである、1968年全日本クラブマンレース。写真の作品は、そこで田村三夫がドライブした仕様という、なんともマニアックな設定のモデルだ。ベースは1960年代にリアルタイムで発売された1/24三共製キット。
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3/25「日産チェリー クーペX-1」のレーシング仕様といえば、若き日の星野一義が駆ったマシンとして知られる。だが、マニアックなモデラー氏が手がけたのは、1972年日本グランプリで都平健二がドライブした仕様。ベースは1/28という半端なスケールのエーダイ製キット。
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4/251968年の第5回日本グランプリに出走し、エアロスタビライザーと呼ばれた可動式ウイングから“怪鳥”の異名をとった「日産R381」。一筋縄ではいかないモデラー氏が選んだのは、優勝した黄色い羽根(ウイング)の北野 元車でも、リタイアした赤い羽根の高橋国光車でもなく、トラブルにより6位に終わった青い羽根の砂子義一車。ベースはタミヤ製1/18キット。
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5/25カンナムのチャンピオンマシンである「マクラーレンM8A」といえば、タミヤ製の1/18キットが有名。だが、これはアキュレイトミニチュアズ製の1/24「マクラーレンM8B」をM8Aにモディファイしたもの。M8AとM8Bの違いは、ウイングなど細部のみかと思っていたら、ボディー幅からして異なるとのこと。もちろんこれはバッチリ修正してある。
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6/25車体後部に、補助エンジンで駆動するファンを取り付け、車体と路面の間の空気を吸い出してダウンフォースを発生させた「シャパラル2J」。世界初のファンカーだった。ホイール/タイヤやエンジンなどをフジミやAMTの1/24キットから流用したほかは、すべてスクラッチビルドされた力作。
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7/25黒板風の展示台にモディファイ箇所を記入した、シンプルながらハイセンスなディスプレイが印象的だった「フェラーリ250GTO 1963LM」。ベースは1/24フジミ製キットで、このほか「ディーノ206P」のモデルも同様の手法で展示していた。
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8/25ルマン用に空力改善を目的としてルーフを延長、独特なボディー形状から“ブレッドバン”(パン屋のバン)の異名をとった「フェラーリ250GT SWB改」。モデルのボディーはカレラ製の1/24スロットカーから型をとり、レジンで複製して改造。シャシーと内装はスクラッチで、フィギュアは自作とのこと。
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9/251993年のドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)のチャンピオンマシンである「アルファ・ロメオ155V6 TI」。タミヤ製1/24キットをベースに、徹底的に作り込まれている。
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10/25アオシマの1/24「日産スカイラインRSターボシルエット」。製作途中のように見えるが、顔つきがノーマルのRS。マット塗装の白いボディーとサフェーサー仕上げのドアを持つテスト車両がモデルらしい。
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11/25もし「日産MID4」がグループB時代のWRCに参戦していたら、という想定で製作されたグラベル用のテスト走行車両。ベースはフジミ製の1/24キット。
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12/25「BREダットサン2000ロードスター1969」。ピート・ブロック率いるブロック・レーシング・エンタープライズ(BRE)からアメリカのレースにエントリーし、1969年のSCCAプロダクションDクラスを制したマシン(左、右は色違いの同型車)。国内名「ダットサン・フェアレディ2000」のレーシング仕様で、ベースはボディーが1/24ニチモ製、シャシーが日東製とのこと。
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13/251/24のアオシマ製「トヨペット・コロナ マークIIハードトップ」とタミヤ製「トヨタ・セリカLBターボ Gr.5」を融合した、実際には存在しない「マークII Gr.5仕様」。
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14/25通称“ブタ目のマークII”こと3代目「トヨペット・コロナ マークII」がなぜか今回は大人気で、これもアオシマ製マークIIハードトップのドアまでを使った架空のミドシップマシン。エンジンはごていねいに直6 SOHCのトヨタM型を搭載。
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15/25先の謎のマークIIミドシップの作者は、「フル開閉にしてディテールアップ」がポリシーらしい。R34の顔を持つ黄色い「R32スカイラインGT-R」と白い「R34スカイライン セダン」は、いずれも実在のドリフトマシンをモデル化したものという。
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16/25フル開閉にこだわった作品をもうひとつ。タミヤ製1/24「トヨタ・スープラ」のフューエルリッドを、コックピットからワイヤー作動で開閉可能としている。
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17/25こちらの作者もフル開閉マニア(?)。エッシー製1/24「BMW M1」の1982年ツールド・コルス仕様の、フロントフードとリトラクタブルライトを開閉(上降)可能にモディファイしてディテールアップ。
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18/25先の「BMW M1」と同じ作者によるニキ・ラウダ仕様の「BMW M1プロカー」は、エンジンが作り込まれていた。パイピングや配線類に使われているのは、0.3mmの銅線という。
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19/251/43の「アルファ・ロメオTZ2」。モデルファクトリーヒロ製のホワイトメタルキットだが、ボディーを0.2mm厚の銅板で作り直している。作者いわく「リアルな感じの薄いボディーが作りたかった」とのことだが、ボディーパネルは全部で8分割(うちボンネットが2分割)してたたき出した後に、ハンダでつなげているそうだ。
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20/25ここからは競技車両のジオラマ。1978年モンテカルロラリーにおける「アルピーヌA310 V6」は、フジミ製1/20キットがベース。けちらしていく雪の表現が見事だ。
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21/25同じく雪のモンテカルロを行くのは、1967年のウィナーである「モーリス・ミニクーパー1275Sラリー」。キットは1/24タミヤ製。
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22/25土ぼこりを巻き上げて疾走する、1978年サンレモラリーの優勝車である「ランチア・ストラトス」。キットはハセガワ製1/24。レンガ塀の向こう側に配置されたブタなど、芸が細かい。
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23/251965年に船橋サーキットで開かれた全日本自動車クラブ選手権(船橋CCCレース)における、生沢 徹の「ホンダS600」と浮谷東次郎の「トヨタ・スポーツ800」の、伝説の雨中のバトルシーンを再現。ベースキットはフジミ製1/24「ホンダS800」とトヨタ・スポーツ800。
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24/25作者いわく、コンペティションマシン以外であっても、ジオラマにしないと仲間から「らしくない」と言われてしまうそうで……。スキーを積んだ「ランチア・デルタHFインテグラーレ」がやってきたのは、斑尾高原のペンションという設定。キットは1/24ハセガワ製である。
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25/25映画『ゴーストバスターズ』の劇用車である1959年「キャデラックECTO-1」。AMT製の1/25キットをベースに、アンビュランス(救急車)特有の青色灯をはじめ、ライト類をフル点滅式にアレンジ。