旧車イベント「第4回 昭和平成クラシックカーフェスティバル in キャッセ羽生」の会場から
2021.11.04 画像・写真2021年10月30日、埼玉県羽生市にある農林公園「キャッセ羽生」で「第4回 昭和平成クラシックカーフェスティバル in キャッセ羽生」が開かれた。このイベント、本来は3月に予定されていたが、新型コロナ禍によって延期されたものである。
地元埼玉の旧車愛好家クラブによって主催されるこのイベントは、参加資格が1946年から2000年までに生産された四輪、三輪、二輪車と、一般的な旧車イベントに比べて門戸が広いのが特徴。今回は360cc規格の軽自動車からフェラーリのスペチアーレまで、バラエティー豊かな約150台が集まった。快晴で風もなく、日中は汗ばむほどの好天に恵まれた会場から、リポーターの印象に残ったモデルを中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/30遠目に見て「ディーノ246GT」と「フェラーリ308GTB」が並んでいると思っていたら、後者は「288GTO」でびっくり! グループBのコンペティションモデルとして企画され、1984~85年にわずか272台のみがつくられたという超希少なスペチアーレである。
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2/30後方から眺めた「フェラーリ288GTO」と「ディーノ246GT」。前者のエンブレムは「GTO」のみだが、なぜなら正式名称は「フェラーリGTO」だから。しかし1960年代の「250GTO」と区別するために、一般的には当初から288GTOと呼ばれていた。背景にコイン精米機が見えるローカルなロケーションとのミスマッチ感も、このイベントならでは。
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3/30機能に徹した「フェラーリ288GTO」のコックピット。
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4/30「フェラーリ288GTO」のエンジン。2.8リッターV8(288の由来)DOHC 32バルブにツインターボを備え、最高出力400PS/7000rpmm、最大トルク50.6kgf・m/3800rpmを発生する。これから発展して「F40」が生まれた。
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5/30右ハンドルなので、これまた珍しい英国仕様の「フェラーリF355」と思いきや、ルーフラインになんとなく違和感が? それもそのはず、2代目「トヨタMR2」ベースのレプリカとのこと。
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6/30「フェラーリF355レプリカ」のリアビュー。跳ね馬とは縁のない筆者は、右ハンドルでなければ注意して見ることもなく、となればおそらくレプリカと気づかず見過ごしていたことだろう。
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7/30先に紹介した「ディーノ246GT」と基本的に同じ2.4リッターV6 DOHCエンジンをフロントに積んだ1972年「フィアット・ディーノ クーペ」。スタイリングを手がけたのはベルトーネ在籍時のジウジアーロだが、彼がギアに移籍した直後の作品である「いすゞ117クーペ」との強い近似性が感じられる。
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8/301950年代の「MG TD」。オリジナルのエンジンは1.25リッター直4 OHVターンフローだが、これは社外のチューンナップキットによってクロスフローの1.8リッターとし、さらに自作インマニを介してFCRキャブレターを4連装している。
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9/30「メイヤーズ・マンクス」。1960年代にカリフォルニアを中心にはやった、通称“ビートル”こと「フォルクスワーゲン・タイプ1」のシャシーにFRP製ボディーを載せたデューンバギーのなかで、最もメジャーなブランド。
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10/30映画『マッドマックス』の劇中車である「インターセプター」。ベースはオーストラリア・フォードの「ファルコンXB GT」だが、この個体は『マッドマックス2』の冒頭5分間にのみ登場するマシンのレプリカというマニアックな仕様とか。350立方インチ(5.7リッター)のスーパーチャージドユニットを積んでいる。
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11/306台の「マツダ・コスモスポーツ」を並べた、同モデルのオーナーズクラブ。
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12/301台だけいた、1967年のデビューから1年少々の間のみつくられた前期型「コスモスポーツ」。ショートホイールベースで、フロントのエアインテークの開口面積が小さい。
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13/30新車時からと思われる「名古屋5」のシングルナンバーを付け、ワイヤホイールを履いた前期型「トヨタ2000GT」。
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14/30前から「栃5」「多5」のシングルナンバー付きを含め、3台並んだ初代「ダットサン・ブルーバード」。2台目の「多5」ナンバーの個体は、1961年に加えられた日本初の女性仕様車「ファンシーデラックス」である。
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15/301959年に登場した初代「ダットサン・ブルーバード1200デラックス」の初期型。テールランプの形状から“柿の種”という俗称がつけられた。リアトレイに鎮座しているのは、1960年に大流行した、空気を入れて膨らませるビニール製人形の“ダッコちゃん”。
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16/301964年に発売され、2代目「ダットサン・ブルーバード」からベストセラーの座を奪取した3代目「トヨペット・コロナ」。この個体は1967年式の「1500デラックス」だが、珍しい「トヨグライド」(2段AT)仕様だった。
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17/30AT仕様とはいえ、現代のクルマしか知らない人には運転が難しいかもしれない「トヨペット・コロナ」。写真左上から時計回りにいくと……まず、ステアリングコラムにはウインカーレバーがない。ではどうやってウインカーを出すかというと、ステアリングホイールのホーンリングがスイッチになっているのだ。次、コラムシフトの「トヨグライド」のセレクターのパターンに注目。左端の「R(リバース)」と「L(ロー)」の間に「N(ニュートラル)」がない。シフトミスしてATにダメージを与えてしまうことがあったそうで、翌年のマイナーチェンジでRとLの間にNが入るパターンに変えられたという。次、ブレーキペダルの左側、フロアトンネル寄りにある突起は? 当時は珍しくなかった、足踏み式のディマースイッチ(ヘッドライトの上下切り替え)である。
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18/301957年「トヨペット・クラウン デラックス」。1955年に誕生した初代クラウンの上級グレードにして、当時の国産最高級車。5ナンバー規格の上限だった1.5リッターの直4 OHVエンジンを搭載。
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19/30新車からのワンオーナー車という1977年「日産シルビア」。そもそもロータリーエンジン搭載車として企画されたが、1973年に始まった石油危機によってロータリー計画が中止となり、1975年に排ガス対策済みの1.8リッター直4 SOHCエンジンを積んで発売された2代目シルビア。
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20/30「日産サニーADバン」。それまでの「サニー バン」や「パルサー バン」「バイオレット バン」などを統合するかたちで1982年に登場した初代ADバン。当初は販売系列によって「サニーADバン」「パルサーADバン」「ダットサンADバン」という3つの車名を名乗っていたが、この2ドア仕様はサニーADバンだけに設定されていたそうだ。
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21/30手前から初代および2代目の「トヨタMR2」、そして2代目「トヨタ・クレスタ」という1980年代生まれのトヨタ車。
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22/302代目「マツダ・サバンナRX7」(FC3S)とその「カブリオレ」(FC3C)。カブリオレはアメリカ製の社外パーツを装着してノーズのスタイルを変えている。
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23/30初代および2代目「ホンダ・シビック」。右側は初代の高性能版「1200RS」を北米仕様風にモディファイ、左側は“スーパーシビック”を名乗った2代目後期型の、スモークドガラスサンルーフを標準装備した「1500CX-S」。
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24/301970年に軽初のスペシャルティーカーとして登場した「ホンダZ」。この個体は、ベース車を空冷並列2気筒SOHCエンジン搭載の「N III 360」から水冷エンジン搭載の初代「ライフ」に変更した中期型。独特な形状のテールゲートから“水中メガネ”の愛称がつけられた。
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25/30「三菱ミニカ スキッパーIV」。「ホンダZ」に続いて1971年に登場した軽スペシャルティーカーであるミニカ スキッパーのエンジンを、水冷2ストローク2気筒から水冷4ストローク2気筒SOHCに換装したモデル。ガラス製のテールゲートと、その下にある“スクープドウィンドー”と名乗った、後方視界をサポートするスモークウィンドウの採用が新しかった。
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26/30これも360cc規格時代の軽スペシャルティーカーで、1971年に軽初のハードトップとしてデビューした「ダイハツ・フェローMAXハードトップ」。この個体はシングルキャブ仕様だが、ツインキャブ仕様の初期型は水冷2ストローク2気筒エンジンから360cc規格最強の最高出力40PS(グロス)を発生した。
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27/30これまた1971年に登場した、リアルスポーツに近い軽スペシャルティークーペである「スズキ・フロンテクーペ」が4台並んでいた。いずれもリアのエンジンフードを開けていたが、その中身は……。
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28/30「フロンテクーペ」の、四車四様のエンジンルーム。左上はほぼノーマルの、356cc水冷2ストローク3気筒、3キャブ仕様。右上はキャブレターを電子制御インジェクションに替え、点火系もダイレクトイグニッションに。現在はセッティングを試行中だそうだが、「キャブを外してジェットを替えて……というアナログ作業に比べたら、スマホでセッティングを変えられるので楽」とのこと。右下は自作したエキスパンションチャンバーがポイント。これまでに何セットも製作してきたが「やっぱり容量が大きいほうがパワーは出る」という。左下はエンジンをモーターにコンバートした電気自動車(EV)。実はこのコンバートEV仕様、筆者は23年前に取材させていただいたことがあり、いまだ健在なことを知って感動した。モーター、コントローラー、そしてバッテリーも、もちろんアップデートしているとのこと。
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29/302台の「バモスホンダ」。軽トラックの「TN360」をベースに1970年に登場、見た目はレジャーカーのようだが、登録はトラックのままである。
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30/30国産旧車界の定番である通称“ハコスカ”および“ケンメリ”こと3、4代目「日産スカイライン」の「2000GT」系。