「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」の会場から
2016.12.02 画像・写真2016年11月26日、好天に恵まれた東京都新宿区の明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」が開かれた。これは愛知県長久手市にあるトヨタ博物館が、「クラシックカー愛好家同士の交流とクルマ文化の継承を目的とするイベントを首都圏でも」という趣旨で2007年に始めたもの。今回で節目となる10回目を迎えたが、一般オーナーから募集した、およそ100台のクラシックカーの展示と公道パレードを中心とする内容は、初回から不変である。これもおなじみとなっている企画展示のテーマは「見て、聴いて、感じる 突き抜けたクルマたち―'50s、'60s」。「トヨタ2000GTスピードトライアル(レプリカ)」と「トヨタ2000GTボンドカー」をはじめとするトヨタ博物館の所蔵車両など6台を展示し、デモ走行も披露した。ちなみに今回は、10月に神宮外苑で実施されたイベント会場で起きた不幸な事故の影響で、毎年恒例の神宮外苑いちょう祭りは中止となった。とはいえ、いちょう見物のにぎわいはいつもと変わらず、クラシックカー・フェスティバル会場も例年同様に大盛況だった。(文と写真=沼田 亨)
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1/35雲ひとつなく晴れ渡った秋空の下で行われた、開場前のメディア向けフォトセッションより。トヨタ博物館所蔵の「トヨタ2000GTスピードトライアル(レプリカ)」と「トヨタ2000GTボンドカー」に挟まれているのは、トヨタ博物館の布垣直昭館長とモデル嬢。モデル嬢のファッションは、クルマの時代に合わせてほしかった。
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2/35「トヨタ2000GTスピードトライアル(レプリカ)」と「トヨタ2000GTボンドカー」(写真)は、デモ走行も行った。
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3/35オープン前の会場風景。開場後はたちまちギャラリーで埋め尽くされた。
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4/35オープニングセレモニー。来賓代表としてあいさつするのは、自動車史家の高島鎮雄氏。ゲートには毎回パレードを先導しているトヨタ博物館所蔵の1960年「トヨペット・クラウン・デラックス(RS21)」が控えている。
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5/35前回までパレードのスタート順は最初に戦前車、以後は生産国別に続いてラストがトヨタ車だったが、今回は生産国を問わず年式順となった。先頭は千葉工業大学 体育会自動車部の1931年「フォードA型フェートン」。右ハンドルだから、おそらく横浜にあった日本フォードの工場で作られたものだろう。レッドカーペット上でいったんエンジンを止めてからクランク始動を試み、見事一発で掛けてスタートした。
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6/354台の戦前車に続いてスタートした、日本では非常に珍しい1947年「トライアンフ1800ロードスター」。2座ロードスターだが、トランクルームにランブルシート(折り畳み式の補助席)を備え、4人乗車が可能。パレード時も4人乗っていた。
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7/35今回、個人的に最も注目したモデルである1950年「ハドソン・コモドア エイト」。ハドソンはかつて存在したアメリカのメーカーで、1954年にナッシュと合併してアメリカンモータース(AMC)となり、57年にはブランドが消滅。コモドア エイトはプレーンバック(ファストバック)が特徴的なボディーに、4.2リッターの直8サイドバルブエンジンを搭載。
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8/35絵画館前を出て、神宮外苑の外周路をいちょう並木に向かう1960年「トヨペット・クラウン」。初代クラウンの最初のマイナーチェンジ以降の、珍しいスタンダード仕様(RS20型)。1.5リッター直4エンジンを搭載。
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9/351960年「メルセデス・ベンツ220SEカブリオレ」。通称ハネベンことテールフィンの生えた縦目のメルセデスの前世代となる、日本では俗にダルマと呼ばれるモデルのカブリオレ。今日の「Sクラス カブリオレ」の先祖である。完ぺきと言っていいレストアが施され、まるで新車のような仕上がりだった。
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10/351963年「サンビーム・レイピア」。サンビームはかつて英国に存在したルーツ・モーターズのブランドで、レイピアは日本ではいすゞがライセンス生産していた「ヒルマン・ミンクス」と基本設計を共有するスポーティーなクーペ。
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11/351965年「BMW 3200CS」。若き日のジウジアーロがデザインした、イタリアのカロッツェリア・ベルトーネ製のボディーに、3.2リッターV8エンジンを積んだ高級パーソナルクーペ。「メルセデス・ベンツSEクーペ」のライバルといえるが、生産台数はそれよりはるかに少なく、希少価値は高い。
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12/35「多摩5」のシングルナンバー付きの1965年「トヨペット・コロナ デラックス」。1964年にデビューした3代目コロナの初期型で、新車からのワンオーナー車。オーナーは参加者代表として、オープニングセレモニーでスピーチを行った。
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13/35いちょう並木をパレード走行する参加車両。絵画館前から一度にまとまって出られるのは4、5台で、途中に信号もあるので、このように連なることはむずかしい。先頭は1970年「いすゞ・ベレット1600GTR」、2番目は1970年「シボレー・コルベット スティングレイ」。
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14/35「品川5」のシングルナンバー付きの1966年「ダットサン・ブルーバード1300SS」。SSはスポーツセダンの略で、SUツインキャブ仕様の1.3リッターエンジンを積んだ2代目ブルーバードの高性能版。今となっては、さらにハイパフォーマンスな「1600SSS(スーパースポーツセダン)」よりも希少。
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15/35こちらは「静岡5」のシングルナンバー付きの1967年「日産プリンス・スカイライン2000GT-A」。ワンオーナー車で、塗装もオリジナルというが、まったくといっていいほど劣化が見られない、奇跡のようなコンディション。
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16/35これも非常に珍しい1968年「ダフ44」。70年代に乗用車部門がボルボに吸収されたオランダのメーカー、ダフの小型車。空冷フラットツインエンジンをフロントに搭載、ラバーベルトとプーリーを使ったバリオマチックと呼ばれる元祖CVTを介して後輪を駆動する。
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17/35パレードコースは、いちょう並木が突き当たる青山通り(国道246号)を左折。土曜なので絶対的な交通量は多くないのだが、いちょう見物にやってくる人々の横断待ちでなかなか左折できないため、ご覧のように渋滞する。後端は1975年「ランチア・ストラトスHF」。
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18/35神宮外苑から銀座方面に向かい、戻ってくる全長約11kmのパレードコースのラストは、一方通行である神宮外苑の外周路をほぼ1周する。この「ポルシェ911」は1965年式というから、最初期モデルである。
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19/351966年「マツダ・ファミリア クーペ」。コルベアルックのクーペボディーに、直4 SOHCクロスフローヘミヘッドの1リッターエンジンを積んだ、初代ファミリアのスポーツクーペ。残存数は少ないはず。
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20/351968年「オースチンJ4-10 ドアモビル キャンパー」。モーリス/オースチンの両ブランドにラインナップされていた、イギリス版「トヨタ・ハイエース」的なワンボックスバンをベースにしたキャンパー。日本に1台、しかも日本で最初にキャンピングカー登録された個体という。
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21/351970年「アストンマーティンDB6 Mk2」。当時のインポーターだったコーンズの正規輸入車で、なおかつワンオーナーでフルオリジナルという個体。日本で装着されたフェンダーミラー(ビタローニのセブリング)とサイドマーカーランプが当時モノの証し。
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22/351970年「スバルR-2 SS」。リアエンジンの2代目を意味するR-2の、オリジナルの姿を保ったハイパフォーマンス仕様。これも今となっては希少な存在だ。
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23/351973年「キャデラック・エルドラド」。最高級パーソナルカーであるエルドラドは、合理的な理由は見当たらないが、1967年からFF化されていた。1971年から1976年までは8.2リッターという量産車史上最大のV8を搭載した、史上最大のFF車だった。
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24/35「スズキのマー坊と呼んでくれ」という、デビュー時のテレビCMのキャッチフレーズが印象的だった1985年「スズキ・マイティボーイ」。軽スペシャルティーカーの2代目「セルボ」をベースにしたピックアップである。
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25/35前出の1947年「トライアンフ1800ロードスター」の走行風景。ランブルシートには、ちゃんとウインドシールド(風防)も備わっている。
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26/35パレード終了後の会場内。これでもギャラリーが目前から途切れるのをしばし待って、シャッターを切ったのだが。
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27/351971年「トヨタ・カローラ クーペ1400SR」。ナンバーに注目。宮城県南三陸町在住のオーナーが新車から所有していたが、東日本大震災で津波の被害に遭った個体をレストアし、再登録した「奇跡のカローラ」である。
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28/35生産から30年を経過したクルマ、という参加資格を今年取得した、参加車両中最も若い1986年生まれのトリオ。手前から「スバル・レオーネRX/II」、「トヨタ・カローラ レビン1600GT」、そして「トヨタ・スープラ」。
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29/35「見て、聴いて、感じる 突き抜けたクルマたち―'50s、'60s」という企画テーマに沿って展示された、トヨタ博物館の所蔵車両が走行を披露。前は世界中のカーデザインに影響を与えたテールフィンを極めた1959年「キャデラック・エルドラド ビアリッツ」。後ろは、くしくも同じ年に生まれながらもキャディの対極のような存在である1959年「モーリス・ミニ マイナー」。
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30/35ジェット機や宇宙ロケットをイメージした1959年「キャデラック・エルドラド ビアリッツ」のテールエンド。安全対策上、今日では絶対に許されないデザインだ。
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31/35ホンダコレクションホールから特別出展された1967年「ホンダN360」も走行を披露した。
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32/35乗車して記念撮影ができるコーナーには、順番待ちの列ができていた。車両は左から1958年「エドセル・サイテーション コンバーチブル」、1973年「ディーノ246GTS」、1962年「フォード・サンダーバード スポーツロードスター」という3台のオープン。
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33/351958年「エドセル・サイテーション コンバーチブル」。エドセルはフォードとマーキュリーの間に位置するブランドとして、この年に鳴り物入りで登場したが、わずか3年で消滅した大失敗作として語り継がれる存在である。
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34/351962年「フォード・サンダーバード スポーツロードスター」。コンセプトカーの未来的なスタイリングを導入した高級パーソナルカーとして、好評を博した3代目サンダーバード。
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35/35CCC(Classic Car Circuit)と題された走行披露では、企画展示車両に加えてオーナーの参加車両からも18台が選ばれ、デモランを行った。これらはその一部。