先進の自動車技術から金属探知機まで!
世界最大級の家電見本市「CES 2017」リポート
2017.01.13
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2017年1月5日から8日にかけて米国ラスベガスで開催された、世界最大級の家電・エレクトロニクス見本市「CES」。今回は、自動車メーカー各社が、「自動運転」「人工知能」「ビッグデータを活用したネットワーク」などのテーマを掲げ、前年よりも目立つブースを構えた。その一方で、アジアの新進企業が軒を連ね、どこか秋葉原の「ラジオ会館」を思わせるような一角も。相変わらずの、モーターショーでは味わえないバラエティーの豊かさだ。
そんな会場を巡り、疲れ果てたところでふと目に留まったのは、1964年創業のギャレット社が扱う「金属探知器」だった。同社の商品は軍事用製品オンリーかと思いきや、民間用が主だった。製造コストの削減が優先されがちないまの時代にMade in the USAを守っている点も、ほほ笑ましい。カタログを開けば、同社の製品を使用して一般人が実際に発見した金貨や古代の装飾品などが誇らしげにずらりと並んでいて、泥だらけでお宝を探す人々も掲載されている。ブースに貼られたモデル写真の笑顔は「一家に一台!」と言わんばかりだ。
自動運転技術によりドライブすることから解放された人々のエネルギーは、より多くの忍耐力や体力を必要とする、こうしたホビーに費やされるのだろうか。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>、大矢麻里<Mari OYA>)
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1/30「テスラの本命ライバル出現!」と、現地メディアがこぞって盛り上げたのが、この一台。2016年にコンセプトカー「FF Zero1」を公開したFaraday Future(ファラデイ・フューチャー)のEVプロトタイプ「FF91」。自動運転による走行を想定している。
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2/30ファラデイ・フューチャーは、中国のLeEcho社が支援する米国企業。写真のコンセプトカー「FF91」をネバダ北部の工場で2018年に生産開始するという。
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3/30「ホンダ・ライディング アシスト」。「ASIMO」で培ったバランス制御技術を応用した、二輪車のための技術だ。ライダーが多少バランスを崩してもバランスを保てるほか、なんと降車状態でも自立する。
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4/30日産は自動運転の分野でNASAと、コネクテッドカーの分野でマイクロソフトと共同で研究を進めている。これは「シームレス・オートノマス・モビリティー(SAM)」を搭載した車両。「事故現場で、信号機よりも警察官の手信号を優先する」といった、高度な技術を実現した様子が、映像で紹介された。
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5/30メルセデス・ベンツは、コンセプトカー「ビジョン バン」を米国初公開した。航続距離270kmのEVデリバリーバンで、ルーフに2基のドローンを搭載する。
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6/30「メルセデス・ベンツ・ビジョン バン」に搭載されるドローン。重量2kgまでの荷物を、10km先まで届けられる。ドローンとはいえ、そのデザインはブランドのアイデンティティーを見事に継承している。
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7/30アウディはNVIDIAと共同で屋外ブースを設営。ディープラーニング人工知能AI「ドライブPX」を搭載した、「Q7」の自動運転車の試乗デモを展開した。ドライバーズシートに人が乗っていない点に注目。
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8/30デンソーとマサチューセッツ工科大学との共同研究によって開発された、小型モビリティー。自動運転可能で、給電はワイヤレス。ループ状キャノピーにはラジエントヒーターが内蔵されている。
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9/30クルマと家電とのコネクテイビティーについては、今年も昨年に引き続き、いくつかの自動車メーカーがアピールした。写真のヒュンダイもそのひとつで、クルマのキャビンと家を連携させたセットを使って、デモを行った。
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10/30“プリウス・キラー”こと「ヒュンダイ・アイオニック」の自動運転プロトタイプ。「同一ボディーでHV、PHV、EVの3つを展開している世界唯一のモデル」を売りにしている同車だが、自動運転が実現すれば、さらに注目を集めるのではないだろうか。
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11/30パナソニックのブースで。同社製電池を用いた台湾企業Gogoroによる電動スクーター。バッテリーはスタイリッシュな立方体で、すでにベルリンでは、バイクシェアリングサービスとして運用されている。
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12/30フォードのブースにて。日本では見慣れない“アストンマーティン顔”の商用車に目がいってしまうが、ここでアピールされているのは、相乗りコミューターサービス「チャリオット」を2016年にフォードが買収したこと。米国や欧州の自動車メーカーは、“シェアリング社会”を見据えた戦略を着々と進めている。
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13/30FCAの「スマート・コーナー・コンセプト」。自動運転時代のセンサーやレーダーを、モジュラー形式にして車両の四隅に取り付けるというアイデア。
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14/30米国の特殊ガラスメーカーであるコーニング社のデモカー。同社製品で最も知名度が高いであろう強固な「ゴリラガラス」を、サンルーフとテールランプに使用している。
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15/30オンキョー&パイオニアは、新型の小型ハイレゾ対応デジタルオーディオプレーヤーを参考出品するかたわらで、このような展示も。2代目「フェアレディ」の米国仕様である、1967年「ダットサン・スポーツ1600ロードスター」を活用したカーオーディオのデモカー。
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16/30厚さわずか2.57mmの極薄パネルによる有機ELテレビ「OLED TV W」を披露したLGエレクトロニクス。もはや同社の名物となったシアタースペースでは、画面をアーチ状に配置することで、4Kのハイパフォーマンスがアピールされた。
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17/30サムスンは、大小2つの洗い槽(そう)をもつ洗濯機「FlexWash」と、大小2つの乾燥スペースをもつ「FlexDry」を発表。大きな洗い物とデリケートな衣類を同時に処理できるという。
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18/30サムスンが発表したスマート冷蔵庫「Family Hub 2.0」。2016年に披露した、冷蔵庫の中身を内蔵カメラでチェックできる機能に、今回は音声コマンドが追加された。ドアのタッチパネルを介した食品のオンライン注文機能もあり、パートナー企業を拡大している。
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19/30ソニーが発表した「BRAVIA OLED」。ディスプレイを振動させることで画面から音を出す「アコースティックサーフィス」機能を搭載。スピーカーレス、スタンドレスのシャープなデザインに注目が集まった。
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20/30ソニーの「Future Lab Program(フューチャー・ラボ・プログラム)」は、初期からコンセプトを公開して、ユーザーの意見を取り入れながら開発を進行、未来のライフスタイルや価値を共創していくプログラム。今回は、机の上に新開発プロジェクターを投影し、位置・高さを認識。ブロックを積み重ねてゆくと「パッヘルベルのカノン」の演奏楽器が増えていくというデモンストレーションを行った。
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21/30パナソニックのブースで。4Kディスプレイを装着した、ファーストクラスのキャビンのコンセプト。
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22/30カシオはスマートウオッチ「プロトレック・スマートWSD-F20」を発表。スマートフォンがオフラインになっても、内蔵GPSによりカラー地図で現在地を確認できる。日本では、2017年4月21日に5万5080円で発売予定。
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23/302017年に80周年を祝うポラロイドのブースで。「3Dペン」は3Dプリンター用フィラメントを使用して、ペンで描くがごとき細かな製作を可能にしている。ただし、当初販売されるのは、北米と中国のみ。
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24/30デンソーウェーブが開発した「ロボティクス・カフェ」。キモとなるのは、Microsoft Azureと連携してコーヒーの注ぎ終わりや湯の補充を通知する点なのだが、ビジターには、小型ロボットの鮮やかなバリスタぶりがウケていた。
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25/30オーディオパーツメーカーであるRAPTOR社による、ラジオ内蔵ポータブルアンプ。同社はフォードとのコラボレーションも行っている。
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26/30長時間の座り仕事による健康被害を軽減することから、アメリカで近年注目されている昇降デスク。筆者の大矢アキオ(写真)が試しているのはLoctek社のもので、椅子がエアロバイクを兼ねるタイプ。
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27/30gosh!社による犬用自動キャッチボールマシン「SmatPult」。「スマートフォンのアプリと連動させてボールを発射できるのは世界初である」とうたっている。
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28/30アメリカ合衆国郵便公社のブースで。ラップトップ型パソコンをはじめとする電子機器を、安全に輸送するための専用BOX。ユニークなデザインのポリウレタン緩衝材により、荷物を衝撃から保護する。
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29/30「さすがラスベガス。会場内にもスロットマシンが!」と思ったら、カリフォルニアに本社を置くValor社のゲームコーナーだった。景品は、同社が扱うスマートフォンケース。
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30/30金属探知機一筋53年のギャレット社。エントリー機「ACE200」は「スイッチオンで宝探し開始」がキャッチだ。会期最終日にもかかわらず、次々と来場者がやってくるところに、意外な人気をみた。