モータージャーナリスト河村康彦が選ぶ
私的10大ニュース2017
2017.12.20
デイリーコラム
まずは️10位から4位を一気に発表!
2017年も、残すところあとわずか。正確にはこの項執筆時点で「あと10日」ほどを残してはいるので、この先さらなる大事件がぼっ発しないとも限らないが、編集部からのリクエストもあり、取りあえずはここでひと区切り! 河村が肌で感じた今年の”私的10大ニュース”は以下の通りに。
10位:気が付けば、NAエンジンが絶滅危惧種に
9位:「LC」にレクサスのブランド力向上を実感
8位:新型「N-BOX」に、ホンダ軽自動車づくりの底力を知る
7位:欧州車のサイズ肥大化は、日本市場の地盤沈下も一因
6位:東京モーターショーはいよいよ正念場
5位:「スズキ・スイフトスポーツ」、惜しくも10点を逃す
4位:パスポート忘れで、あわや大惨事に
基本的には、上記を「読んで字の如し」なのが、ここに掲げた10位から4位までの各項目。ひと昔前までは「ターボ付き」であることがエンジンのプレミアム性を高めていたのに、今やむしろ自然吸気で頑張ることが希少性を放つ時代に。
また、かつては「日本のために全幅を抑えよう」と努力してくれた輸入車メーカーもあったのに、今やそんな話題もトンと聞かれなくなり、“コンパクト”をうたいながらも全幅が1.9m級というSUVも続出。今や年間5倍以上の台数をさばく巨大な中国の勢いを前に、日本市場の存在感が薄れる一方なのはやむを得ないということか。
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東京モーターショーよ、どこへ行く?
そして、もはや海外からのワールドプレミアものは全くなくなり、“スーパーカー”の各車やジャガー/ランドローバー、フィアット/ジープなど、日本でもそれなりにポピュラーなブランドまでブースを構えなくなったことに危機感を抱かざるを得なかったのが、今年の東京モーターショー。
次回2019年のショーは東京オリンピック/パラリンピック準備の影響を受け、会場である東京ビッグサイトのスペースをフルに使用することができなくなることから「複数会場での分散開催」と発表されたものの、実は今年のショーでも「会場スペースを埋めるのに苦労していた」感がアリアリだったのだから、もはやスペースの大小よりも”何を見せるか”の方が問題なはず。
海外ブランドのワールドプレミアの軸足は、もはや中国で開催される各ショーに移って久しく、東京ショーの生きる道は「海外の人々が『ぜひとも』と足を運んでみたくなる、日本独自の見せ物を満載したドメスティックショー」とする以外にはないように思う。
ということで、5位は「ノミネートのタイトルが『スイフト』シリーズではなく、『スイフトスポーツ』だったらばトップの10点を投じたのに」という日本カー・オブ・ザ・イヤー2017のハナシ。4位は完全に私事で、年明け早々に3便を乗り継いでケープタウンまで海外出張に出掛けるという際、「羽田に着いて飛行機が見えてから持参していないことに気づき、いったん自宅に取りに戻ってすんでのところで何とか間に合った」という、実は私的ニュースとしてはトップに置きたかったマヌケな話題……。
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ポルシェに感心し、ボルボに目をみはる
ではいよいよトップ3を。
3位:「GT3」に“マーケティング会社”としてのポルシェを知る
レースカー直系の最高出力500psというエンジンを搭載し、“サーキットに最も近い「911」”である「GT3」の最新バージョン。フランクフルトモーターショーで追加された「ツーリングパッケージ」は、「巨大なリアスポイラーを省略し、MTのみ」という、いわば運転好きのための街乗り仕様で、サーキットラップの短縮というGT3本来(?)の目的からは、完全に逸脱したモデル。
が、これこそが“マーケティング会社”としてのポルシェを表す典型といえるもの。速さ追求のGT3ですら、ユーザーが求めればMTを復活させ、空力悪化を承知でリアスポイラーも外すのがポルシェなのだ。一見、かたくななまでにプロダクトアウトな雰囲気を放ちつつ、実は徹底したマーケットインのブランド――。このモデルはあらためてその事実を白日の下にさらすこととなった。
2位:ボルボのプレゼンスが飛躍的に向上
エンジン/トランスミッションやボディーはもとより、生産設備までを刷新して生み出される「XC90」以降の新世代ボルボ車。その実力がいよいよ明確になったのが2017年。中でも、12月に入ってから乗った「XC40」は「会心の出来」で、“最新のボルボ車は最良のボルボ車”と実感させられた。実はこのブランドの年間生産台数は、“小さなメーカー”として知られるスバルのさらに半分ほどにすぎない。同じスウェーデンのサーブが衰退の一途をたどっていったのに比べると、今、ここまでの存在感を発揮できているのは「奇跡のヒストリー」と言ってよいかもしれない。
ちょっと頭を冷やしなさいよ
そして、僕にとっての2017年の一番のニュースがこれだ。
1位:EVと自動運転の”あおり報道”
毎年のように「今年こそ普及!」と報道されながらも、年の瀬になると「そんなことはなかったな」という思いを抱かざるを得ないのが「電気自動車(EV)」と「自動運転」という2題。今年も全く同様だった。
そもそも、“電動化”というフレーズを単純にEVと置き換えたメディアが問題。加えて、「燃料代はEVの方が安い」といった話題には化石燃料への課税が考慮されていなかったり、電池の劣化が考慮されていなかったりと、そんな思慮の不足も大問題。
今年は「EV化に遅れている」と報じられたトヨタがついに口を開いたが、内山田会長が語る「開発中の全固体電池でも不十分だし、クルマすべてがEVになる時代はこない」という発言に大賛同!
同様に、前のめりな報道が過ぎるのが「自動運転」。「目的地を設定したら、スイッチひとつでどこにでも素早く連れて行ってくれる」のが、多くの人の脳裏に浮かぶ”自動運転”であるはず。とすれば、そんなタクシー代わりになる自動運転車に乗れる日など、技術的にも法的にも、あと5年10年でやってくるとは到底考えられない。
(文=河村康彦/編集=藤沢 勝)
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河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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