2月のパリはレトロが熱い! 「第39回レトロモビル2014」開催
2014.02.14 画像・写真欧州のクラシックカーファンにとって毎冬お待ちかねのイベント、第39回「レトロモビル」が2014年2月5日から9日の5日間にわたりパリ中心部の見本市会場で開催された。
今年の会場は昨年と比べて8000平方メートル拡大され、東京ドーム並みに広いパビリオンで、約500台の車両が9万人のファンを迎え入れた。会期中に会場の内外で行われたオークションも4件に達し、重厚な戦前車からヤングタイマーまで幅広い年代の展示車は、花の都を訪れた多くの自動車ファンを楽しませた。会場の様子を大矢麻里がリポートする。
(文と写真=大矢麻里<Mari OYA>)

今年からレトロモビルの会場は、パリモーターショーで主要メーカーが使用する広大な第1パビリオンに移った。市電・地下鉄駅の目の前で、かつ場内にはゆとりある通路が設けられたため、来場者はより快適に楽しむことができるようになった。
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今年からレトロモビルの会場は、パリモーターショーで主要メーカーが使用する広大な第1パビリオンに移った。市電・地下鉄駅の目の前で、かつ場内にはゆとりある通路が設けられたため、来場者はより快適に楽しむことができるようになった。
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シトロエンの各モデル愛好会ブースから。これはカロセリのアンリ・シャプロンにより7台のみ製作された1974年「SMオペラ」。「SMクーペ」のシャシーを29cmストレッチして4ドアにしたもの。SM クラブ・ド・フランスで会報を担当する名物役員ジュヌヴィエーヴ女史は、往年のグループサウンズ風衣装でキメて迎えてくれた。
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シトロエンの今年のテーマは「ファミリアール」(ファミリーワゴン)。「DS」のステーションワゴン版として造られた「DSブレーク」は1959年から1975年まで生産された。DS IDクラブのシルヴァン会長(写真右)は「この国でも若者の車離れは深刻です。わがクラブも最年少が30代後半ですから」とクラブの先行きを懸念している。
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昨年45周年を祝った「シトロエン・メアリ」につながれた特製トレーラー。「うちのメンバーがもともと所有していたトレーラーのシャシー上に、メアリのパネルを組み合わせて造ったものです」と説明をしてくれたのは、メンバー400人を束ねるティエリー会長。
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1997年「シトロエンXMブレーク」。会員90名のXMクラブは、今回参加したシトロエン公認クラブの中では最も若い愛好会だ。「スマートなデザイン、そして意外にも故障知らずなところが最大の魅力」とメンバーのパトリスさん。ただし、すでにパーツ入手は困難でクラブ内の情報交換は欠かせないとのこと。
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「プジョー205」のスポーティーモデルとして存在した「205GTi」は、30周年を迎えた。愛好会の皆さんによれば、2月はル・マンサーキットで祝賀ミーティングを企画している。会員数は300人を超え、海外からの新規メンバーも熱烈歓迎中。
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プジョーのミニカー愛好会はツール・ド・フランスを再現したミニチュアを展示。「プジョー404」にスペアのロードレーサーを積んでいる様子まで忠実に再現されていた。同イベントのゴール地点がパリ市内であることから、来場者は実際に観戦した思い出を語りながら見入っていた。
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ルノーは「エスパス」の30周年を祝った。写真は1984年の初代モデル。回転式の運転席と助手席をはじめとする優れたスペースユーティリティー、そして開放感は今日見ても十分に新鮮である。ドアロックされていたにもかかわらず、来場した多くの子どもたちが「中に座らせて」と親にせがんでいた。
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「ルノー・エスパス」の“ご先祖”的存在として展示されたプロトタイプ、1959年「ルノー・プロジェクト900」。ルノーが早くからスペースユーティリティーを重視していたことを象徴するものだ。「いったいどっちに走るのかな?」的デザインに、周囲をグルグルする人続出。
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ルノーは、1960年代フランス車のスポーツマインドを象徴する一台「ルノー8 ゴルディーニ」の半世紀も祝った。そのアイデンティティーを今日に継承した「トゥインゴ」、「クリオ」(日本名:ルーテシア)、「ウインド」のゴルディー二仕様のプロモーションも兼ねているのは明らか。
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大戦から100年を記念した展示。第1次世界大戦が始まった1914年、フランス軍はパリで使用されていたタクシーを徴用し、兵士を乗せて前線まで運びドイツ軍による侵攻を食い止めた。このとき使われたルノー製タクシーは戦場となった河畔の名から「マルヌのタクシー」と呼ばれている。
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アルピーヌの創始者ジャン・レデレ氏のプライベートコレクション。1963年から1978年のモデルが初めて一堂に会して公開された。自ら元レーシングドライバーとして1960~70年代にルマン24時間レースなどで活躍した彼を記憶している来場者たちは、鮮やかなフレンチブルーを前に夢中でシャッターを切っていた。
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特別展「往年のマハラジャの車」より。1910年「スワンカー」(写真右)はインド・コルカタ在住のスコットランド人のオーダーによって、英国ブルック社の車に木製の白鳥型ボディーを載せたもの。後年これを譲り受けたマハラジャは1920年、自分の息子用に同じくスワン型の電気自動車(写真左)を作らせた。
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1970~90年代のちょっと古い車の専門誌『ヤングタイマー』のブースでは、パリーダカール・ラリー35周年の企画展示が行われた。こちらは1980年に医療アシスタンスカーとして活躍した「シトロエン・メアリ4×4 アムサム」。編集部スタッフとともに。
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アルファ・ロメオ自らが手がけた特装ボディー「アウト・トゥット・ロメオ」。展示車は家電メーカー、トムソン社の宣伝カーとして用いられたもの。「マンドリンのように小気味よく刻まれるアルファのエンジン音にシビれます」と語るのは、アルファ・クラシック・ド・フランスの会員ロベールさん。
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今年の出展者数は500に及んだ。往年のホーロー看板や前照灯は、車好きの自宅やガレージのアクセントに欠かせないアイテム。ルノーの看板には、まだ公団だった時代を示す「REGIE NATIONALE」の文字が見える。
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フランスの大手オークションハウス「アールキュリアル」が同会場で開催したオークションより。リンゴ・スターが所有していた1957年「シボレー・ベルエア ハードトップクーペ」は4万8900ユーロ(約684万円)で落札された。
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同じく「アールキュリアル」はアルファ・ロメオ車のみ44台を扱うオークションも開催した。40万円程度から落札できるものもあり、高級車が主役のパリの一般的オークションとはひと味違った和やかムードが漂っていた。写真左から2番目の1971年「GTA1300ジュニア」は12万ユーロ(約1680万円)で落札された。
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レトロモビルに合わせて、別会場のグランパレで開催された「ボナムス」のオークションより。写真右の1962年「シトロエン2CV」は5175ユーロ(約72万4000円・手数料込)で落札された。ここ数年は超高級車とともに、グッドコンディションの小型大衆車も扱われるようになった。
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こちらはアンヴァリッドで開催された「RMオークションズ」の会場より。「ランボルギーニ・カウンタック」(ベネディクト・ラッドクリフ作)の特異なオブジェが、9万3600ユーロ(約1310万円)で落札された。