ルノー・クリオV6(6MT)【海外試乗記】
『スーパーカーの雰囲気』 2000.11.14 試乗記 ルノー・クリオV6(6MT) リアのフェンダーをグッと広げ、3リッターV6をミドに搭載した現代のサンクターボ、クリオV6(エンジンはNAだけど)。CG編集部 塚原 久が、南仏ニースで乗ってきた。 性能のほかにもウレシイ情報が...。よみがえったサンクターボ
FWD(前輪駆動)小型ハッチバックの外観はそのままに、エンジン搭載位置のみミドシップに変更したルノー・クリオV6。それは、1980年代初頭のWRC(世界ラリー選手権)に出場して話題をまいたルノー5(サンク)ターボと同じ開発手法である。クリオV6は、「5ターボの再来」といっていい。
ただし21世紀の5ターボはアルピーヌではなく、アローズF1チームの母体でもあるTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)のウッデバラ工場で生産される。
すでにワンメイクレース用として販売されているクリオV6「トロフィー」と同じく、公道用クリオV6のパワーユニットも、DOHC24バルブヘッドを持つ2946ccの自然吸気エンジン。ラグナに搭載されているものと、基本的には同じだ。
ただし圧縮比の向上や吸排気系の効率化によってレブリミットを7100rpmへと引き上げ、最高出力230ps/6000rpm、最大トルク30.6kgm/3750rpmを発生する。パワーで20ps、トルクで1.5kgmの向上を果たした。
ギアボックスはH型パターンの6段MTのみ。サスペンションは前後ともに専用に仕立て上げられたストラットである。
破格の価格
走りっぷりは意外なほど扱いやすい。サスペンションは、スポーツカーとしては例外的ともいえるほどソフトなセッティングが施される。タウンスピードでも乗り心地にまったく不満をおぼえない。エンジンもボトムエンドから実にフレンドリーだ。
ドライバーの体からわずか30cmほど後でエンジンが回っているため、メカニカルノイズは少なくないし、無闇に低音を強調したエクゾーストノートもやや耳障りだ。しかし、そんな音が醸し出す「レーシィ」な雰囲気とは裏腹に、3速1000rpmから加速できるほどの柔軟性を実現している。
だからといって、このクルマがただのこけおどしというつもりはもちろんない。3500rpmを超えれば確実にパワー感が増すし、トップエンドの吹け上がりも上々だ。
さすがにポルシェ911やBMW M3の迫力には及ばないものの、これならメーカーが主張する0-400m=14.5秒、最高速235km/hという数値は可能だろう。
ただしサーキットやワインディングロードでがんがん走ろうというドライバーには、足まわりはやや不満が残るセッティングかもしれない。
ただでさえ重心が高くなりがちなV6ユニットに、ドライサンプ化など、重心を下げるための手だてが施されていない点も残念なところだ。リアの重心高の高さは、ちょっとでも飛ばすと明らかになる。
200km/hクルージングではビシッとした安定感に欠ける。
一方、タイトコーナーの連続では、ある程度のスピードまでははっきりとしたアンダーステアを、限界を超えると明白なロールオーバーステアを示す。
スーパーカー的な雰囲気を気軽に楽しむもよし、あくまでチューニングの素材とみなし、いろいろなパーツを組み合わせながらミドシップらしいハンドリングカーに仕立て直すもよし。いずれにしても、24万フラン(約340万円)という価格の安さは大きな魅力だ。
(文=CG編集部 塚原 久/写真=ルノージャポン/2000年10月)

塚原 久
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