「富士スピードウェイ 50周年記念イベント FUJI WONDERLAND FES!」の会場から(前編)
2017.03.15 画像・写真2017年3月12日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「富士スピードウェイ 50周年記念イベント FUJI WONDERLAND FES!」が開かれた。1966年にオープンした富士スピードウェイ(FSW)は、開業50周年を迎えた咋2016年からさまざまな記念企画を実施してきたが、FUJI WONDERLAND FES! はその集大成となるイベントである。レーシングコースでは、60年代の草創期にビッグマシンが火花を散らした日本グランプリ、70年に誕生した、独自のカテゴリーである富士グランチャンピオンレース(GC)、そして日本で初開催されたF1世界選手権といったビッグレースを走った貴重なマシンが集まり、当時のレースシーンを再現。そのほかにも50年の歴史を彩ったマシンの展示やレジェンド・ドライバーのトークショーから、AKB48のライブパフォーマンスまで豊富なコンテンツが用意され、3万1000人の来場者でにぎわった。前編では、日本グランプリや富士GC、ツーリングカーレースなどを戦ったマシンを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)(後編はこちら)
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1/28レーシングコースにおける最初のプログラムは「ヒストリックカー・オーナーズパレード」。その中でもトップを飾ったのは20台の「いすゞ・ベレットGT」と4台の「いすゞ117クーペ」。先頭を行くエルフブルーに塗られた一台は、「1600GTR」のプロトタイプであるホンモノのワークスマシン「1600GTX」である。
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2/28グループA時代のツーリングカーによる模擬レースのスタートシーン……のように見えるが、これも「ヒストリックカー・オーナーズパレード」。マシンはみなナンバー付きのレプリカである。
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3/28軽さと空力で非力なエンジンを補い、燃費も良好という、現代のエコカーにも通じる、合理的な設計のライトウェイトスポーツだった「トヨタ・スポーツ800」もパレードに登場した。
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4/28「ヒストリックカー・オーナーズパレード」のアンカーを務めたのは、今年誕生50周年を迎える「トヨタ2000GT」。
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5/28「FSWの礎を築いた名車」とうたわれた「日本グランプリ&GCデモラン」に登場した「トヨタ7」。最後のビッグマシン対決となった1969年10月の、69年日本グランプリのために作られたマシンで、V8 DOHC 32バルブ 5リッターエンジンを搭載。グランプリでは3位に入ったが、ウイング付きのこの個体は翌11月の日本カンナムで優勝した仕様。SUPER GT/スーパーフォーミュラを戦う現役ドライバーの大嶋和也がドライブした。
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6/28富士初となるビッグマシンのレースだった、1968年の第5回日本グランプリで優勝した「日産R381」。エアロスタビライザーと呼ばれる、リアサスペンションに連動して可動するウイングを備えたこのマシンは、ウイニングドライバーである北野 元がドライブした。自社製エンジンの開発が間に合わなかったため、V8 OHV 5.5リッターのシボレー・エンジンを搭載する。
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7/281968年の第5回日本グランプリに、故・滝 進太郎率いるタキレーシングチームから、長谷見昌弘のドライブで出走した「ローラT70マークIII」。スポンサーのステッカーに至るまでオリジナルに忠実にレストアされている。
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8/281970年「いすゞ・ベレットR6スパイダー」。69年日本グランプリのために作られたクローズドボディーのプロトタイプスポーツ「ベレットR6」から発展したオープン2座マシン。「117クーペ」用をチューンした直4 DOHC 1.6リッターエンジンを搭載、71年から始まった富士グランチャンピオン(GC)シリーズにも出走した。今回は津々見友彦が駆った。
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9/281973年「MANA09マツダ」。マツダの12Aロータリーエンジンを積んだ国産GCマシン。ご覧のとおりスポンサーはジーンズメーカーのリーバイスで、ボディーカウル両端の黄色い破線はステッチを表現している。
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10/28高原敬武のドライブで、1975年の富士GCシリーズのチャンピオンマシンとなった「マーチ74S」。パワーユニットは70年代半ばから80年代半ばにかけて、富士GCの常勝エンジンだったBMW製の直4 DOHC 16バルブ 2リッター。
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11/281979年の富士GCで長谷見昌弘が駆った「バーダル MCS」。71年から2座席スポーツカーで争われていた富士GCに、この年から単座マシンが出走可能となった。その規定に合わせ、由良拓也率いるムーンクラフトが、2座席スポーツカーのパーツを流用してオリジナルのシングルシーターを製作。MCSとはムーンクラフトスペシャルの略称である。
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12/28「MIZUNO SPORTS LOLA 88S」。かつてエジェ・エルグが駆った、GC専用マシンである。
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13/28「レイトンハウス・マーチ」。1980年代に日本のレース界を風靡(ふうび)し、英国のレーシングカーコンストラクター「マーチ」と組んでF1参戦も果たしたレイトンハウス。懐かしのレイトンカラーをまとったこれは、故・萩原 光選手のドライブで富士GCに出走したマシンだという。
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14/28富士GC最後のシーズンとなった1989年に、「ローラ」製シャシーに13G 3ロータリーエンジンを積んで戦った「ITOHAM 89G」。当時のドライバーである、マツダワークスのロータリー使いである従野孝司が駆った。
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15/282013年からFSWで開催されている、プロとアマチュアドライバーが組んで戦うシリーズであるインタープロト。これはそのインタープロト用の、4リッターV6エンジンをミドシップした専用マシンである「Kuruma」。これは現役トップドライバーが駆るKurumaに、来場者を乗せて同乗走行中のシーン。
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16/28ロニー・クインタレッリ(手前)と安田裕信(奥)の駆る「Kuruma」のサイド・バイ・サイドのバトル。幸運にも同乗できた来場者には、無上の体験だったであろう。ちなみにレジェンド・ドライバーと現役ドライバーが組んで戦う今回のレジェンドカップにも、このKurumaが使われた。
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17/28「メーカーが威信をかけたクルマたち」とうたわれたツーリングカーのデモラン。1982年にスーパーシルエットシリーズに参戦して2勝を挙げた「トミカスカイラインターボ」は、当時のドライバーである長谷見昌弘が駆った。
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18/28グループAで争われていた全日本ツーリングカー選手権(JTC)で、デビューした1990年に6戦中5勝を挙げてシリーズチャンピオンを獲得した星野一義/鈴木利男組の「カルソニック・スカイライン」。星野一義自身がドライブした。
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19/28BTCC(英国ツーリングカー選手権)に準じたレギュレーションで実施されていた1996年の全日本ツーリングカー選手権(JTCC)で、中子 修が駆り2勝を挙げた「カストロール無限アコード」。今回は山本尚貴がドライブした。
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20/28SUPER GTの前身となる全日本GT選手権(JGTC)の、2002年のチャンピオンマシンである「エッソ ウルトラフロー・スープラ」。王座を獲得した当人である脇阪寿一が駆った。
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21/28まだ記憶に新しい、2013年のSUPER GTのGT500チャンピオンマシンである「CERUMO SC430」。これも戴冠した立川祐路がステアリングを握った。
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22/28「マイナーツーリング大集合」と題された、クラシックカーレースに参戦するツーリングカーによる模擬レース。通称ハコスカこと「日産スカイライン2000GT-R」が通算50勝を挙げた1972年富士GC 第1戦 の前座レースで、1-2フィニッシュを飾った高橋国光と久保田洋史の「スカイライン ハードトップ2000GT-R」(KPGC10)のレプリカは、いずれも当人がドライブした。
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23/28高橋国光仕様と久保田洋史仕様のレプリカは、ハコスカ専門ショップであるVICTORY50が仕立てたものである。
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24/28模擬レースで優勝した「Nats 中村自動車ブルーバード」。ベースは1971年「ダットサン・ブルーバード クーペ1800SSS」である。
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25/282位に入った1973年「スピードマスターFFDビルズセリカ」。日本クラシックカー協会(JCCA)主催のクラシックカーレースの常勝マシンだ。
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26/28影山正美の「HIROTA東名サニー」(KB110)と影山正彦の「カフェトレド・サニー」(KB310)の兄弟バトル。正美は4位、正彦は5位でレースを終えた。ちなみに影山正美は、2010年にこのマシンでJCCAクラシックカーレースF-1クラスのコースレコード(1分58秒278)を記録している。
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27/288位に入った「ASやなぎもとスターレット」。2代目「トヨタ・パブリカ」の派生車種で、1973年のデビュー当初は「パブリカ スターレット」と名乗っていた初代スターレットがベース。
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28/28ランデブー走行する「マツダ・ファミリアロータリークーペ」。フォグランプを装着したこれはスパ・フランコルシャン24時間耐久仕様だが、国内でツーリングカーレースに君臨していた「スカイライン2000GT-R」に挑んだ最初のロータリーエンジン搭載車だった。