「軽井沢ミーティング2019~笑顔。逢える。Roadster 30th Anniversary~」の会場から
2019.05.29 画像・写真今年も「マツダ・ロードスター」の祭典「軽井沢ミーティング」の季節が到来した。軽井沢ミーティングは、ファンが主催する世界最大のロードスターファンミーティングであり、2019年5月26日に開催された今回で26回目を迎える。参加台数は年々増加し、今や会場のキャパシティーを超える規模に。このため、一昨年から愛車での参加は、事前申込者の中から抽選という方式に変更されている。それでも今年もロードスターだけで1044台が集結し、軽井沢が同車で彩られた。2019年は、ロードスター誕生30周年の節目となる年であり、サプライズとしてマツダブランドスペース大阪でのみ公開されていた「ロードスターRF 30周年記念車」を展示。さらに「NDロードスター」のサイン車が用意され、同車の30歳を祝福するファンたちが自身の名前を書き込んだ。恒例となったマツダ関係者をゲストに迎えたトークショーでは、ロードスター開発主査の交代がファンに報告され、新主査となった齋藤茂樹氏があいさつを行った。前任の中山氏は、主査の座は離れるものの、引き続きロードスターのチーフデザイナーを務めるとのことだ。午後の部では、“ミスターロードスター”こと、貴島孝雄氏などのマツダOBによる開発秘話や、「NAロードスター」レストアチームによる部品供給の最新情報およびレストア事業の報告会も実施された。会場内を見渡すと、活気にあふれているのは例年同様だが、若いユーザーが増えてきたように感じる。もともと、幅広いユーザーに愛されているロードスターだが、ここ数年で若いユーザーが増加傾向にあるようだ。世間では、若者のクルマ離れが……なんて声もあるが、ここに限っては無関係のようである。では、天候にも恵まれた軽井沢の様子をリポートしよう。(文と写真=大音安弘)
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1/30軽井沢プリンスホテルのプリンススキー場を会場に行われる「軽井沢ミーティング」も、今年(2019年)で26回目となる。今回は1085台分の駐車スペースが用意されたが、それを大きく上回る1638台の応募があったという。ただ外れた場合も愛車での来場が不可となるだけで、電車などの公共交通機関を使って来場すれば、イベントに参加することができる。
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2/30会場への導線となる軽井沢駅南口前の道路には、「ロードスター」がずらり。沿道には、そんな彼らを出迎えるオーナーやファンの姿がたくさん。5月最後の週末に、軽井沢がロードスター一色で埋め尽くされる光景もすっかり初夏の風物詩となった。
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3/30朝8時のゲートオープンとともに、会場に続々と入場してくる「ロードスター」。その1000台以上を駐車スペースに誘導する会場スタッフも、ロードスターオーナーのボランティアたちだ。これだけの規模ながら、運営はすべてロードスターを愛する者同士の協力で成り立っていることに、ファンの結束力を感じさせる。
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4/30今回も「ロードスター」に関わるマツダのメンバーがゲストとして参加し、ファンとの交流が図られた。会場には、同社代表取締役副社長の藤原清志氏の姿も見られたが、視察ではなく、実は愛車で広島から駆け付けたロードスターオーナーのひとりである。
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5/30発売されたばかりの「ロードスター30周年記念車」で来場したユーザーも。この30周年記念車は、ウェブで購入希望者を募り抽選で商談予約の権利が得られるシステムで販売され、限定数を大幅に超える応募があったという。ソフトトップの納車は、イベント開催ギリギリのタイミングと聞いていたが、当日はなんと数台の30周年記念車を目撃した。
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6/30名物のひとつ、ショッピングストリートには、全国各地の「ロードスター」専門店やアフターパーツメーカーなどが出展。イベント特価の掘り出し物も少なくなく、多くのファンで賑(にぎ)わう。大きなパーツを抱えながら、愛車へと向かう笑顔の参加者の姿もちらほら……。よほどお得な買い物ができたに違いない。
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7/30開会式後の恒例イベントがチビッ子たちの「ペダルカーレース」。マシンは、既に絶版となった貴重な「ユーノス・ロードスター」のペダルカー。一生懸命ペダルを漕(こ)ぐ姿は、実にほほ笑ましい。これも次世代育成の大切なイベントだ。
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8/30午前中のトークショーは、「ロードスター」の開発チームが参加。今回最大の発表は、開発主査の交代だ。チーフデザイナー兼開発主査であった中山 雅氏は、マツダデザイン全体を見ていくために、デザイン本部へと戻ることになった。ただ引き続き、ロードスターのチーフデザイナーであることには変わりはないという。
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9/30中山 雅氏(右)からバトンを受け、新たに「ロードスター」の主査となった斎藤茂樹氏(中央)は、中山氏と同期である実験のプロフェッショナル。「NBロードスター」から車両実験に携わっており、ロードスターと縁の深い人物だ。新世代マツダの走りの味つけにも大きく関わっている人物だけに、「NDロードスター」のさらなるブラッシュアップにも期待が膨らむ。
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10/30恒例の集合写真では、フレームにおさまりきらないほどのファンが集まる。海外からの参加もおなじみとなりつつあり、今年は、オーストラリアのオーナーズクラブのメンバーが来日。マツダスタッフやオーナーとの交流を楽しんでいた。
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11/30午後のトークショーは2部制となり、前半は、初代「ロードスター」の企画を手がけた福田成徳氏と、初代から3代目まで開発主査を務めた貴島孝雄氏の2名によるロードスター歴代モデルの開発秘話が語られた。
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12/30午後のトークショー後半は、「ロードスター」アンバサダーの山本修弘氏をはじめとするレストア事業チームがゲストに。レストア事業の活動に加え、復刻部品の最新情報が報告された。また現地には、レストアチームのブースが設けられ、復刻部品の一部を展示。今、どのような部品が必要なのか、ファンへのヒアリングも行われた。
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13/30レストアチームのブースに展示された復刻部品(一部)。金属製のフレームは、リトラクタブルヘッドライトのもの。最新の復刻部品では、これまでブレーキキャリパーは、アッセンブリーパーツでしか入手できなかったが、オーバーホールに必要なピストンを単品で用意したという。これで安価なブレーキオーバーホールが可能となる。
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14/3030周年記念の用品も初公開された。リリースが予定されているのは、30周年記念エンブレム付きフロアマットや30周年記念デザイン入りのエアバルブキャップ、そしてRAYS製鍛造16インチアルミホイール。どれも年内に数量限定で発売予定だそうだ。ちなみに鍛造ホイールは、限定車と同じデザインだが、ロゴデザインが「30th Anniversary」に「ROADSTER」が加えられているのが専用仕様となる。
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15/30会場に展示された「ロードスターRF 30周年記念車」。2019年5月27日~6月10日の期間、マツダ公式ウェブサイト内で購入希望者の商談予約を受け付ける。応募多数の場合は、抽選となる。当初40台のみの予定であったが、ソフトトップの大盛況を受け全世界の割り当て分からかき集め、販売数が139台まで拡大されたのは朗報。これにより日本では、全世界限定3000台のうち、289台の記念車が販売されることになった。
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16/30「ロードスターRF 30周年記念車」のベースは、「RS」(6段MT)と「VS」(6段AT)の2タイプ。ソフトトップでは選べなかったATが選択できるのもポイント。ビルシュタイン製ダンパーを除き、専用装備はすべてRSと同じものが装着されている。展示車はAT仕様車で、マツダブランドスペース大阪で展示されていたプロトタイプそのものだ。
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17/30オレンジのアクセントが際立つインテリア。ドアトリムやインストゥルメントパネルなどには、アルカンターラが用いられている。仕様自体はソフトトップの記念車と同じだ。オーディオは、BOSEサウンドシステム+9スピーカー仕様。
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18/30オレンジのステッチとパイピング入りのレカロシートも「ロードスター30周年記念車」の専用アイテム。通常の赤のステッチとパイピングのものとも印象は大きく異なる。
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19/30「ロードスター30周年記念車」の足元には、オレンジ塗装のブレーキキャリパーが装着される。フロントはブレンボ製、リアがニッシン製となるのは、「RS」のオプション仕様と同様だ。RAYS製鍛造ホイールは、「RF」は17インチ。「ソフトトップ」は、16インチ仕様となる。
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20/30「ロードスター」のデビュー30周年を記念し、10周年と20周年の際に実施されたファンのサイン入りロードスターを展示。ブルーの「NBロードスター」が10周年のもの。イエローの「NCロードスター」が20周年のものとなる。かつての自身が残したサインを探すファンの姿も見られた。
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21/30会場には、30周年を記念したサイン用の「ロードスター」を用意。ソウルレッドのボディーに、ファンそれぞれが30周年の思いを込めて、サインを行った。一時は長蛇の列ができるほど盛況ぶりであった。
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22/30会場内では、ファン同士の交流も積極的に行われており、あちこちでクルマ談議に花が咲いた。復刻部品同様に大切なのが、中古パーツの存在。不要となったパーツが誰かの役に立てばと、譲りたいパーツを愛車の前に並べているユーザーも多かった。
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23/30「嫁ぎ先を募集中! 」の「M2 1001」を発見。なんと27年間ワンオーナー。手放す決断を下した理由は、なんと「30周年記念車」が当選したからとのこと。フロントガラスには、車両の現状を細かに記入したプリントが用意されており、現オーナーの愛情の深さを感じさせた。
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24/30駐車場ウオッチングも、イベントの楽しみのひとつ。今回発見したのは、「NAロードスター」のクーペだ。もちろん、純正ではない。偶然居合わせたユーザーさんに伺うと、アフター品として作られた海外メーカーのものらしい。こんな貴重な仕様に出会えるのも、軽井沢ミーティングならでは。
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25/30続々と参加台数が増加中なのが、現行型となる「NDロードスター」だ。以前はソフトトップ中心であったが、今年は「RF」がより増えたようで、RFが隣同士になる光景も。
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26/30初代「サバンナRX-7(SA22C)」のワークスレースカー風に仕立てられた「NAロードスター」。サイズ感も見事で、本物の雰囲気をよく再現している。
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27/30「NAロードスター」の参加台数は、355台と最も多い。最多であることは例年同様であったが、ユーザー層の若返りが進んでいるようだ。実際、最近手にしたばかりという20代の若者も多かった。
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28/302代目となる「NBロードスター」の参加台数は、209台。新車の雰囲気を色濃く残す撮影車は、前期型のイメージカラーであった「エボリューションオレンジマイカ」だ。これまで比較的安価であったNBも再評価されている一台。1998年デビューなので、今年で21年目。まだ「NAロードスター」ほど値上がりはしておらず、NAの大幅改良モデルともいえる存在なので、ロードスターデビューには最適だ。
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29/303代目となる「NCロードスター」の参加台数は138台と、意外にも最も少ない。とはいえ歴代モデルで一番室内が広く、パワフルな2リッターエンジンを搭載するなど、オールラウンドプレーヤー的なロードスターなのだ。手に入れるなら、比較的お手ごろな価格で買える今のうちかも。
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30/30最新型となる「NDロードスター」の参加台数は、342台。来年はひょっとすると、参加台数トップを守り続けてきた「NAロードスター」を追い越すかもしれない。写真は、期間限定で販売されたNAのメインカラー「クラシックレッド」をまとったもの。受注期間がわずか1カ月半と短かったこともあり、かなり希少らしい。