住友ゴムが新経営戦略を発表 ダンロップブランドの強化とタイヤのプレミアム化を推進
2025.03.07 自動車ニュース![]() |
住友ゴム工業は2025年3月7日、東京都内で記者会見を開き、2035年に向けての新たな長期経営戦略を発表した。
![]() |
![]() |
![]() |
ダンロップやファルケンのタイヤで知られる住友ゴム工業は今回、(Rubber/Resilience/Reliable、Innovation、Solution、Evolutionの意味が込められた)「R.I.S.E. 2035」というスローガンを策定。これをもとに、同社がこれまでの事業活動で培ってきた「ゴム・解析技術力」と「ブランド創造力」を生かし、「ゴムから生み出す新たな体験価値をすべての人に提供し続けていく」と意気込む。
そしてその哲学を具現すべく、2035年までの期間を大きく以下の3期に分け、企業活動に取り組むという。
- 2025年~2027年:タイヤのプレミアム化を推進し収益体質を改革。成長事業の“仕込み”を行いダンロップブランドをさらに強くする。
- 2028年~2030年:創出キャッシュを最大化。成長事業への挑戦を実行に移し、確立されたブランドとして飛躍する。
- 2031年~2035年:イノベーティブな商品やサービスを継続的に創出できるようにする。成長事業の拡大によりポートフォリオを変革。持続可能な事業体質を実現させる。
これらの説明に立った山本 悟 代表取締役社長は、「先進国における自動車購入の鈍化」「地政学リスクの上昇」「製造人件費の増加」など、今後同社が直面するリスクにも言及。市場では中国およびアジアの低価格商品に押され、多売路線で利益を出すのが難しくなっている状況を踏まえ、今後はタイヤのプレミアム化が重要になるとの見解を示した。
同社は2024年10月にオールシーズンタイヤ「ダンロップ・シンクロウェザー」を発売しており、同製品に採用した、路面状態に合わせてタイヤのゴム自体の性質が変化するという新技術「アクティブトレッド」に期待を寄せる。今後はサマータイヤでも同技術を盛り込んだプレミアム商品を展開し、さらにSUV用タイヤや18インチ以上の大径タイヤを加えた高価格タイヤに注力。2024年時点で40%というプレミアムタイヤの商品比率を2030年には60%へと拡大する計画だ。
そして、そこで得られた収益を新領域での成長に投資し、2035年には「タイヤ以外の成長事業だけで全事業利益の30%を占める企業体質(2024年時点では13%)」を実現したいとしている。
なおアクティブトレッド技術については、2028年から2030年の実装に向けて、「ゴム自体がハイグリップになったり硬くなったりすることで、グリップ性能と耐摩耗性を高次元で両立させるテクノロジー」を開発中。2035年には、外部環境の変化に左右されずゴムの特性を変えられたり、パターン形状を変化させられたりするという“次世代スイッチ”も実現に向けて研究しているとのことだ。
アクティブトレッドでゴムの未知なる可能性に気づいたという同社は今後、研究主導でイノベーションを創出する力を高めるべく、2028年までに国内に「イノベーションセンター」を設立することも計画している。グッドイヤーより欧州・北米・オセアニア地域における四輪タイヤ製品での「DUNLOP」の商標権を取得し(関連記事)、グローバルでダンロップブランドのタイヤ事業が展開できるようになった住友ゴム。山本社長は「ここから攻めに転じたいと思っています」と力強く語り、会を締めくくった。
(webCG)
関連キーワード:
タイヤ・スタッドレスタイヤ, 自動車ニュース