吉田由美のミシュランミュージアム訪問記
2012.10.25 画像・写真フランスのタイヤメーカー ミシュランのお膝元を、カーライフエッセイストの吉田由美が訪問。同社のミュージアムなどで見られた印象的なシーンを写真で紹介する。(文と写真=吉田由美)

パリから飛行機で約1時間、“ミシュラン社のお膝元”クレルモンフェランへ。空港の施設そのものはこぢんまりとしていますが、それでもここは、ハブ空港。建物の外には、ミシュランのタイヤを装着したミシュラン製飛行機のオブジェが。
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パリから飛行機で約1時間、“ミシュラン社のお膝元”クレルモンフェランへ。空港の施設そのものはこぢんまりとしていますが、それでもここは、ハブ空港。建物の外には、ミシュランのタイヤを装着したミシュラン製飛行機のオブジェが。
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ミシュランミュージアム。2〜3年前まではメディアに限って中を見せていたそうですが、現在は一般公開されています。ここで、ミシュランのなりたちや歴史などをたっぷり堪能できます。ちなみにこの日は休館日でしたが、日本から来た私たちのために、特別にオープンしてくださったみたい。
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ミュージアムに入ると、まず鉄道車両や飛行機がお出迎え。どちらもミシュランのタイヤを装着しているばかりか、本体もミシュラン製です。「ミショリーヌ」と呼ばれる1933年製の鉄道車両は、現在もマダガスカルで活躍中だとか。
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これは、ミシュラン創業家の家系図。ミシュランの前身となる会社が、2つの家系の共同経営だったため、双方の系図が示されています。ちなみに、ミシュラン家ではないもうひとつの家系に、イギリス・マッキントッシュ家の人がいたため、クレルモンにゴムが持ち込まれたのだとか。
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1891年、ミシュラン兄弟が作った自転車用タイヤを使用したシャルル・テロン選手がパリ〜ブレスト間を往復する1200kmのサイクリングレースで優勝を飾り、ミシュランのタイヤに注目が集まった。……という展示。
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自転車→馬車→自動車と、異なるジャンルでタイヤを開発してはレースで他社に打ち勝ち、その品質を証明してきたミシュラン。パリ〜ボルドー間の往復レースでは、プジョーのシャシーとダイムラーのエンジンを用いて「エクレール(稲妻)号」を造りました。実は、ジグザグに走ってしまうため、観客に「稲妻号」と呼ばれたのだとか……。
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ミシュランのイメージキャラクター「ミシュランマン」は、タイヤがモチーフなのに色は白。これは、かつてタイヤが高価なものだったため、白い布や紙で覆われていたことによるのだとか。これまで数多くのユニークなポスターなどに登場していて、現在も私たちの目を楽しませてくれます。
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タイヤに溝があるのは当たり前。しかし、初めはファッションでアメリカメーカーが星型などを入れていた程度だといいます。それを見たミシュランもタイヤにイニシャルの「M」を入れたところ、グリップや持ちが良くなることに気が付き、トレッドが誕生するに至ったそうです。
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現在のミシュランは、スニーカーのゴムや工事用キャラピラー、巨大タイヤまで製造しています。あらゆる“足元”のエキスパート!?
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ミシュランといえば「ミシュランガイド」。ミシュランガイドといえば、クレルモンフェランで宿泊したホテルは、ミシュランガイドにも掲載されているすてきなシャトーホテル「Château la Caniere」。比較的新しい建物なので、夜でも安心。
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エントランスには「ミシュランガイド」に掲載されていることを示すステッカーが。フランス国内でも、やはり“星付き”は人気が高いのでしょうか。確かにスタッフの対応は良いし、ホテルの部屋も各々レイアウトや雰囲気が異なるなど、凝っています。他の人の部屋を見せてもらうと楽しいかも。
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それほど大きなホテルではありませんが、室内はリノベーションされているため、なかなかモダン。お料理もおいしい〜。肉食女子(?)の私は、やっぱりお肉をオーダー(笑)
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ミシュラン本社前には、「ミシュラン・ラ・セール植物園」(非公開)があります。ここで、ゴムの歴史などについて、オードレーさん(写真右)と日本ミシュランタイヤの森田さんが解説してくださいました。昔は、アンモニアに反応するゴムの性質を利用して靴を作っていたとか……。
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植物園は、一定の温度(セ氏23度)に保たれており、定期的に雨を降らせて湿度もコントロール(75%)。中では生ゴムの木など50種類が栽培されています。ブラジルやナイジェリアなどのゴム農園から持ってきたもので、ここで研究されているのだそうです。
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ミシュランの本社前では、これまで同社が取り組んできたCO2削減の総量などが、電光掲示板に示されています。クレルモンフェランの人口は20万人ですが、そのうち約1万5000人が同社に勤務しています。
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テストコースの見学がキャンセルになってしまい、代わりに急きょ、うかがうことになった、地元の小さなミュージアム「ベルナーヴ自動車博物館」。地元のコレクター20人が自分たちのクルマを持ち寄って作ったのだとか。
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展示車両の中で最も古いのが、1914年のフランス車「MORS」。電気自動車です。コンパクトでシンプル〜。そんな昔から、電気自動車ってあったんですね〜。
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現在の展示台数は48台。たまには入れ替えがあったり、オーナーが乗ってはお出掛けしたりするようです。やっぱりフランス車が多いですね〜。
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中にはお宝も! これは、イギリスのエリザベス女王が乗っていたというリムジン。こんなところにあったりするんですね……。1950年のものだそうです。
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最後は、クレルモンフェラン観光でのひとこま。旧市街の中心には、ノートルダム・デュ・ポール寺院があります。らせん階段を延々と上り、屋上にたどり着けば……こんなすてきな景色が広がります。オレンジ色の屋根がかわいらしい街です。