「JCCAクラシックカーフェスティバル ニューイヤーミーティング」の会場から
2013.01.29 画像・写真2013年1月27日、船の科学館に近い東京・青海の特設会場で、今回で37回目を迎えた新春恒例となる日本最大級の旧車イベント「JCCAクラシックカーフェスティバル ニューイヤーミーティング」が開かれた。天気は快晴、しかも一日を通じてほとんど無風状態という絶好のイベント日和に恵まれた会場には、スワップミートを含め約260台の個人出展車両、89のクラブスタンド、47のオートジャンブル(旧車関連ショップの出店)がズラリと並び、集まった旧車は計500台以上。熱心な旧車愛好家が早朝から詰めかけ、大いににぎわった会場から、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。 (文と写真=沼田 亨)

毎回開催されているコンクールデレガンスの、今回のテーマカーはフランス車とドイツ車。エントリーはフランス車が5台とやや寂しく、ドイツ車は18台だった。これはフランス車が並んだ一角で、「シトロエンDS21」「シトロエンSM」「ルノー16」などの姿が見える。
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毎回開催されているコンクールデレガンスの、今回のテーマカーはフランス車とドイツ車。エントリーはフランス車が5台とやや寂しく、ドイツ車は18台だった。これはフランス車が並んだ一角で、「シトロエンDS21」「シトロエンSM」「ルノー16」などの姿が見える。
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テーマカーにちなんだ特別展示は、仏独のレーシングカーが1台ずつ。手前の「アルピーヌA210 M66」は1966年のルマンで総合12位、奥の「ポルシェ906(カレラ6)」は66年のセブリング12時間で総合8位、クラス4位、ワトキンスグレンでクラス優勝というヒストリーを持つ。
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1965年に登場した、実用的な5ドアハッチバックサルーンの先駆けである「ルノー16」が2台並んでいた。左がゴルディーニが手を入れた1.6リッターのクロスフロー・ユニットを積む高性能版の70年「16TS」で、右が標準の73年「16TL」。「16TL」の1.5リッターエンジンと4段ギアボックスは、「ロータス・ヨーロッパS1」に流用された。
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1966年「シムカ1500」。シムカは戦前にフィアットのライセンス生産から始まったフランスのメーカーで、60年代にクライスラーの傘下となり、70年代にはプジョーに吸収され、80年代に命脈が途絶えた。「1500」はFRのオーソドックスなセダンだが、これはAT仕様で、しかも新車で輸入された個体の超希少な残存車両である。
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1969年「メルセデス・ベンツ300SEL 6.3」。今でいう「Sクラス」のトップグレードである「300SEL」のボディーに、「マイバッハ」に相当するフラッグシップだった「600」用の6.3リッターV8エンジンを積んだスーパー・メルセデス。「ドラッグスター」の異名をとった強烈な加速力を誇る。
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1957年「メルセデス・ベンツ220Sカブリオレ」。エンジンは2.2リッター直6だが、車格的には今日の「Sクラス」と「Eクラス」の中間という感じの220シリーズのカブリオレ。特にウッドを多用した室内は、高級クルーザーを思わせる雰囲気だ。
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1970年「オペルGT1900」。大衆車である「カデット」のシャシーに、本家GMの「シボレー・コルベット・スティングレイ」風のボディーを架装したスポーティーカー。日本でいえば、「カローラ」のシャシーに「トヨタ2000GT」風のボディーを載せたようなものだが、輸入車が高かった当時、新車価格はトヨタ2000GTとほぼ同じだった。
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1953年「ダネンハウアー&スタウス」。「フォルクスワーゲン・ビートル」のシャシーに、ダネンハウアー&スタウス社による「ポルシェ356」にも似たスペシャルボディーを架装したカブリオレ。エンジンは1.3リッターにスープアップされている。
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1970年「ジャガー420G」。「マークX(テン)」の名で61年にデビューしたモデルの改良型で、全長5.1m、全幅1.93mという大きなボディーに、「Eタイプ」と同じ4.2リッター直6DOHCエンジンを積んだ高級サルーン。
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1961年「サーブ96」。2ストローク3気筒841ccエンジンで前輪を駆動する2ドアサルーン。名手エリック・カールソンらのドライブで62、63年のモンテカルロラリー2連覇をはじめ国際ラリーで活躍し、サーブの名を世界に広めた。
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歴代「トヨペット・コロナ」をそろえた「東海オールドカークラブ」と「コロナワールド愛豊」の合同スタンド。右端の初代コロナ(1959年)は、残存数が極めて少ない博物館級の激レア車。しかも「岐5」のシングルナンバー付きである。これにはかなわないものの、やはり希少な初代「コロナ・マークII」のセダン、4代目および5代目「コロナ・バン」なども並んでいた。
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これも超レア車である「茨4」ナンバー付きの1957年「トヨペット・マスターライン・シングルピックアップ」。55年に初代「クラウン」と同時に誕生したタクシー向けの4ドアセダンが「マスター」で、それをベースにした商用車が「マスターライン」。このシングルピックアップのほか、ダブルピックアップとライトバンがあった。
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1973年「トヨタ・スプリンター1200クーペ・ハイデラックス」。2代目スプリンターの後期型クーペ。スプリンターでも、型式名TE27ことホットモデルの「トレノ」は定番の人気旧車だが、こうしたおとなしいグレードの残存車両は希少である。
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日産系クラブの総本山ともいうべき「全日本ダットサン会」のスタンドに展示されていた、今年で生誕50周年を迎える型式名410こと2代目「ダットサン・ブルーバード」。ピニンファリーナによるスタイリングが日本では「尻下がり」と不評で、宿敵の「コロナ」にベストセラーの座を奪われた非運のモデルである。
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1974年「日産バイオレット1400スタンダード」。「ブルーバード510」の実質的な後継車種だった型式名710こと「バイオレット」のタクシーコスプレ仕様。バイオレット自体が不人気車で残存数が少ないのに、ちゃんと営業車用の低グレードをべース車にしているところがスゴイ。
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これもタクシーコスプレが施された1964年「日産セドリック1500スタンダード」。初代セドリックのなかでも、小型車(5ナンバー)規格の上限が1.5リッターだった時代の名残である「1500スタンダード」という、これまた営業車向けのシビれるほど希少なモデルをベースにしている。
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「NCCC(Nissan Commercial Car Club )」と名乗る、1985年式までの日産/ダットサン/プリンス製商用車のクラブスタンドに並んでいた3台。左から1966年「プリンス・グロリア・ワゴン6」(名称はワゴンだが4ナンバーのバン)、66年「プリンス・スカイウェイ」(2代目スカイラインのバン)、68年「日産プリンス・ライトマイラー」(小型トラック)。いずれもプリンス系の希少な商用車の残存車両である。
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これも今年誕生50周年を迎える「いすゞ・ベレット」の、セダンだけの集いである「ベレット・サルーン・クラブ」のスタンド。手前のガンメタリックに塗られた1台は、ベレットの特徴のひとつだったが、操縦性にクセがあった後輪独立懸架をリーフ・リジッドに替えた1967年「1500デラックス Bタイプ」と呼ばれる希少車。リアドアより後ろの造形が、標準モデル(Aタイプ)とはまったく異なる。
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昨年に続いて、遠く岩手から参加した新車からの「岩5」ナンバーを付けた1970年「いすゞ・フローリアン1600デラックス」。「フローリアン」は「117クーペ」とシャシーを共有するサルーンで、異形ヘッドランプを持つ前期型の残存車両は希少である。希少希少と、なんでもかんでも希少車扱いしているように思われるかもしれないが、ホントに希少車なのである。
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1970年に「ヒップアップクーペ」とうたってデビューした三菱初のスペシャルティカーである「ギャランGTO」がズラリと8台並んでいた。中でもデビュー当時のイメージカラーであるオレンジに塗られたこれら3台は、三菱の市販車としては初のDOHCエンジンに、これまた三菱初となる5段ギアボックスを備えたトップグレードの「MR」である。
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水平対向エンジンを搭載したスバルの原点である、1966年に登場した「スバル1000」を愛好する「Aの会」のクラブスタンド。2台の「1000スポーツ」の間には、珍しい「1000バン」の姿が。4ナンバーの商用バンながら、セダンと同じ4輪独立懸架を採用、積載時の姿勢変化に対応するためヘッドランプレベライザーを備えていた進歩的なモデル。
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またかと思われるだろうが、これも希少な「スバル1000/ff-1」の後継となる初代「レオーネ」。1971年にクーペからデビュー、セダンやハードトップを加えたが、これはモデル最後期となる78年に追加された「クーペRX/A」。「RX」はツインキャブエンジンにクロスレシオの5段ギアボックス、4輪ディスクブレーキを備えた最強グレードだったが、「RX/A」はそれの廉価版だったか? 記憶があいまいである。
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「スバル360オーナーズクラブ」のスタンドに並んでいた2台の「ヤングSS」。1967年にデビューした「ホンダN360」が火をつけた高性能軽ブームに乗って、翌68年に軽のパイオニアである「スバル360」に追加されたホットグレード。今見ると「カッコカワイイ」感じの専用ヘッドライトカバーは、カタログで堂々と「ポルシェタイプ」とうたわれていた。「どこがポルシェ?」というやぼな突っ込みはしないでいただきたい。
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「ホンダT360/T500友の会」のクラブスタンドに展示されていた、1963年に発売されたホンダ初の市販四輪車である軽トラック「T360」のエンジン。基本設計は「Sシリーズ」用と同じだが、床下に積むためシリンダーを水平近くまで倒した総アルミ製の水冷直4DOHC4キャブレターという、レーシングエンジンなみのスペック。DOHCの採用は日本初で、4キャブレターも日本初だった。
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1971年に登場した「ホンダ・ライフ」と、それをベースに72年にデビューした「ライフ・ステップバン」などを展示していた「AREA360」のスタンド。写真の「ライフ・ステップバン」は商用バンではあるが、そのプロポーションは今日の軽ハイトワゴンに近い。真ん中の1台は、エンジンの各部が美しいクロムメッキ仕上げとなっていた。