「世界ラリー選手権 2013」開幕戦ラリーモンテカルロ
2013.01.21 画像・写真世界ラリー選手権(WRC)の2013年シーズンがスタート。その開幕戦「ラリーモンテカルロ」の現場から、主要なドライバーやマシンを紹介する。(文と写真=廣本泉)

2013年のWRC開幕戦「ラリーモンテカルロ」で最も注目を集めたのは、新規参戦となったフォルクスワーゲンである。2台のニューマシン「ポロR WRC」を投入し、序盤から好タイムを連発。うわさにたがわぬパフォーマンスを発揮した。
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2013年のWRC開幕戦「ラリーモンテカルロ」で最も注目を集めたのは、新規参戦となったフォルクスワーゲンである。2台のニューマシン「ポロR WRC」を投入し、序盤から好タイムを連発。うわさにたがわぬパフォーマンスを発揮した。
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シトロエンを経て2012年にフォルクスワーゲンに加入したセバスチャン・オジェが、「ポロR」を武器にオープニングステージを制覇。その後も安定した走りを見せ、2位入賞。フォルクスワーゲンのデビュー戦をポディウムフィニッシュで飾った。
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フォードのエースとして活躍してきたヤリ-マティ・ラトバラもフォルクスワーゲンに移籍した。しかしこの初戦では、デイ1でパンクを喫し5番手と出遅れ、その後もペースが上がらず苦戦を強いられた。結局、ラトバラはデイ4でコースアウト。リタイアに終わっている。
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アブダビのバックアップを受けるシトロエンは、ワークスチームの「シトロエン・トタル・アブダビWRT」とセカンドチーム「アブダビ・シトロエン・トタルWRT」の2チームで参戦。マシンは引き続き「DS3 WRC」で、過酷なコンディションのなか、安定した走りを披露した。
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シトロエンのエースとしてチームをけん引してきたセバスチャン・ローブだが、今季はGT選手権など他のレース活動を優先すべく、WRCはモンテカルロ、スウェーデン、アルゼンチン、フランスの計4戦のみに参戦する。それでも、モンテカルロでは序盤から好タイムを連発し、終始ラリーを支配した。
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2012年にフォードからシトロエンへ移籍したミッコ・ヒルボネンはチームに残留。しかし、モンテカルロではペースが上がらず、デイ2で5番手に後退。デイ3では6番手に沈むこととなった。結局、上位陣の脱落に助けられ、4位で完走を果たした。
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プロドライブWRCチームの「MINIジョンクーパーワークス WRC(JCW WRC)」で2012年のWRCを戦ったダニエル・ソルドが、ターマック要員としてシトロエンのワークスチームに復帰。今大会はセカンドチームの「DS3 WRC」でSS15を制するなど抜群のスピードを披露。3位表彰台を獲得した。
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2012年を最後に、フォードがWRCでのワークス活動を休止。代わってテクニカルサプライヤーのMスポーツが、カタールのサポートを受けて計4台の「フィエスタWRC」を投入した。ドライバーのラインナップも一新したものの、開幕戦では苦戦を強いられた。
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マニュファクチャラーとして登録した「カタール MスポーツWRT」では昨年のポルトガル戦を制したマッズ・オストベルグがエースとして「フィエスタWRC」をドライブ。なんとか完走を果たすものの、苦手なターマックに苦戦し、6位入賞にとどまった。
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昨年までフォードのセカンドチームで活躍していたエフゲニー・ノブコフがMスポーツの1軍チームに昇格。デイ1こそ6番手と出遅れたものの、デイ2では2本のSSを制して4番手に上がり、デイ3では3番手にまで浮上した。しかし、デイ4でコースアウト、無念のリタイアに終わる。
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2010年のIRCチャンピオン ユホ・ハンニネンは、Mスポーツのセカンドチーム「カタールWRT」でエントリー。SS9でベストタイムをマークするなど、スプリントでの持ち前の速さを見せたものの、デイ4のSS14でコースアウトを喫し、リタイアに終わった。
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昨年までシトロエンのセカンドチームで活躍していたティリー・ヌービルがMスポーツのセカンドチームに移籍。フィエスタでの活躍が期待されたものの、デイ1でコースアウト。左のフロントホイールを失い、そのままリタイアすることとなった。
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2012年に正式にWRC参戦を果たしたMINIも、2013年はワークス活動を休止。しかし、ホモロゲーションチームのモータースポーツイタリーがチーム登録を行い、「ジョンクーパーワークス WRC」を投入、ミハウ・コシューツコが10位完走を果たした。第2戦以降は開発チームのプロドライブも参戦する見込みだ。
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2013年のラリーモンテカルロは、クラシックスタイルでの開催。デイ1、デイ2、デイ3はヴァランス、デイ4はモナコ周辺の山岳エリアで争われた。今大会は、直前の降雪のため例年より積雪が多く、デイ2は“フルスノー”の状態に。「こんなモナコは初めて」とローブが語るように、難しいコンディションとなった。
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雪と氷に覆われる特殊ターマックのモンテカルロではタイヤ選択が勝敗を左右する。本数が制限されているスタッドタイヤ(写真)をどこで使うか、スノータイヤとどのように組み合わせるかがポイントだが、シトロエン勢はタイヤマネジメントでも絶妙な判断を見せていた。
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2013年は散発的に参戦するセバスチャン・ローブが「DS3 WRC」でコンスタントな走りを披露。デイ1でリードを奪うとデイ2からはマージンをコントロールしながら走行し、WRCとしては大会4連覇となる勝利を手にした。
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9年連続のWRCチャンピオン、ローブが開幕戦を制覇。2位はオジェ、ソルドが3位表彰台を獲得した。熟成を極めたマシンで挑むシトロエンおよびMスポーツに、新鋭マシンを投入するフォルクスワーゲンがどのような戦いを挑むのか? 王者ローブがフル参戦しないだけに、2013年のWRCは熾烈(しれつ)なタイトル争いが展開されることだろう。
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2013年シーズンのWRCは、サポート選手権を一新。S2000仕様車やグループN仕様車、グループR4やR5などのグループR仕様車など、4WDのマシンで争われる「WRC2」では、シュコダのワークスチームで「ファビアS2000」を駆るセップ・ウィーガンドが開幕戦を制覇した。