Hondaコレクションホール
所蔵車両走行確認テストの会場から
2013.09.10
画像・写真
2013年9月9日、ツインリンクもてぎの南コースで、Hondaコレクションホールが収蔵する車両の走行確認テストが行われた。
このテストは、同施設が動態保存(実際に走れる状態で保存すること)している収蔵車両の状態を確認するためのもので、今回のように知名度の高い車両が参加する場合や、まとまった数のテスト車がそろう場合は、公式ホームページなどで開催を告知。テストの様子を一般に公開しているのだ。
今回は当初の予定日の天候が雨だったため、開催が平日(月曜日)にずれ込んでしまったが、会場には少なくない数のホンダファンがつめかけ、お目当てのマシンの走る姿にカメラを向けていた。
テストに参加した全14台の姿を、写真で紹介する。
(webCG)

朝9時、走行テストの会場となるツインリンクもてぎの南コースに、Hondaコレクションホールの収蔵車両を積んだトラックが次々に到着。搬入が始まる。
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朝9時、走行テストの会場となるツインリンクもてぎの南コースに、Hondaコレクションホールの収蔵車両を積んだトラックが次々に到着。搬入が始まる。
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こちらのトラックから降りてきたのは、マールボロカラーが懐かしい1991年製「マクラーレン ホンダMP4/6」。
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収蔵車両をコース脇のテントの下に運び、さっそく走行テストの準備が始まる。今回はマクラーレン、ロータスの2台のF1マシンのほか、四輪では「NSX」や「シビック」のレース車両も走行が予定されている。
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1991年のマクラーレンに搭載された、ホンダ製3.5リッターV12エンジン。エキマニを眺めているだけでドキドキするのは私だけ?
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こちらは二輪のテスト参加車両。フレディ・スペンサーの駆ったロスマンズカラーの「NSR500」など、世界を制したマシンがズラリと居並ぶ。
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いよいよ走行テストがスタート。先陣を切ったのは1965年製の「ホンダ4RC146」。精緻な125ccの4サイクル4気筒エンジンを搭載したマシンだったが、当時は2サイクル勢の性能向上により、苦戦を強いられたのだとか。テスト車は、ルイジ・タベリのライディングにより同年のマン島TTレースで2位入賞を果たした個体。
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1967年製「ホンダRC174」。300ccの6気筒エンジンを搭載し、同年のロードレース世界選手権において、350ccクラスのメーカー、ライダー両タイトルを独占したマシンだ。こちらはマイク・ヘイルウッドが駆った、東ドイツグランプリの優勝車。
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1976年のヨーロッパ耐久選手権で8戦7勝し、マニュファクチャラーズタイトルとライダーズタイトルを獲得した「ホンダRCB1000」。テスト車は第4戦のボルドール24時間レースで優勝したものだ。
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1985年のロードレース世界選手権において、500ccクラスで12戦7勝。ホンダにマニュファクチャラーズタイトルを、フレディ・スペンサーにライダーズタイトルをもたらした「ホンダNSR500」。テスト車はそのフレディ・スペンサーが、同年のフランスグランプリで優勝した時の個体。
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1997年製「ホンダRVF/RC45」。ワークスレーサー「RVF750」の技術を投入して開発された高性能スポーツモデルで、市販車ベースのバイクレースでも活躍した。テスト車は同年の鈴鹿8時間耐久レースで、伊藤真一/宇川 徹が日本人ペアとして2度目、15年ぶりとなる優勝を果たした時のもの。
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1997年製「ホンダNSR250」。同年のロードレース世界選手権において、マッシミリアーノ・ビアッジは250ccクラスで15戦5勝をあげ、ライダーズタイトルに輝くとともに、ホンダにメーカータイトルをもたらした。
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1997年製の「ホンダNSR500」。この年、ホンダはロードレース世界選手権の500ccクラスで15戦全勝。うち7戦で表彰台を独占するなど、ライバルを圧倒した。テスト車は同年12勝をあげ、ライダーズタイトルに輝いたマイケル・ドゥーハンのマシン。
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次々に走行テストをこなす二輪をしり目に、急ピッチでテストの準備を進める四輪車担当のスタッフ。こちらは動作確認のために「マクラーレン ホンダMP4/6」のエンジンを始動している様子で、空ぶかしのたびに、V12エンジンの轟音がテントを震わせた。
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こちらではトラブル発生。午後の部で走行予定の1987年製「モチュールCIVIC」のエンジンがかからないのだ。スタッフの動きがあわただしくなる。
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正午からの1時間は、来場者にテスト車を間近で見てもらえるよう、テントの前を一般開放。人気車の前はご覧の人だかりだった。
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四輪がメインとなる午後の走行テストがスタート。さきほどスタッフの手をわずらわせていた1987年製「モチュールCIVIC」(ホンダ・シビックSi レース仕様車)が、爆音を轟かせてコースを疾走する。ホンダは1987年の全日本ツーリングカー選手権にこのクルマを投入。1600ccクラスで6戦全勝を果たした。
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1993年の全日本ツーリングカー選手権で活躍した「JACCS CIVIC」(ホンダ・シビック SiR-II レース仕様車)。こちらのクルマは、グループAクラス3で9戦4勝をあげ、ドライバーズタイトルに輝いた服部尚貴/金石勝智組がドライブしたもの。
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1998年のスーパー耐久でクラス4チャンピオンとなった「ギャザスCIVIC」(ホンダ・シビック タイプR レース仕様車)。ちなみに、シビックはこの年の十勝24時間耐久レースで総合優勝を果たし、N1耐久時代から続いてきた「日産スカイラインGT-R」の連勝記録を50で止めた。
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初代「シビック」は1970~1980年代にツーリングカーレースで活躍。1981年、1983年には富士グランチャンピオンレースのマイナーツーリングレースでチャンピオンとなっている。こちらは1984年に佐藤克明がドライブした「ヤマトCIVIC」(ホンダ・シビック レース仕様車)。
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こちらの赤い「ホンダNSXルマン」は、高橋国光/土屋圭市/飯田 章のドライビングで、1995年のルマン24時間耐久レースにおいて総合8位、GT2クラス優勝を果たした個体だ。この日は調子がいま一つだったようで、ほかのクルマの半分の時間も走らないうちに、テントにしまわれてしまった。
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いよいよこの日の真打ちが登場。キャメルイエローのロータスと、マールボロカラーのマクラーレンという、2台のF1マシンがテントから送り出される。
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この日テストドライバーを務めたのはホンダの元ワークスライダーである宮城 光さん。二輪、四輪合わせて、のべ14台(!)の走行テストを一人で行った。
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日本人初のフルタイムF1ドライバーである中島 悟が、参戦2年目にドライブした1988年製「ロータス ホンダ100T」。
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「ロータス ホンダ100T」搭載エンジンは1.5リッターV6ターボ。馬力は1000psを超えていたとか。読者諸兄姉の中には、鈴鹿でこのマシンに声援を送った方もいるのでは。
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ホンダに6年連続のタイトルをもたらした「マクラーレン ホンダMP4/6」。テスト車はアイルトン・セナとコンビを組んだ、ゲルハルト・ベルガ―のマシンだ。
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この年から搭載された自然吸気の3.5リッターV12エンジンが、甲高い音を響かせる。1991年のF1世界選手権では、アイルトン・セナが7勝、ゲルハルト・ベルガ―が1勝し、セナがドライバーズタイトルを獲得。マクラーレン ホンダもコンストラクターズタイトルに輝いた。ちなみに、ベルガーの1勝は、鈴鹿サーキットで開催された日本グランプリだった。
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1991年製「マクラーレン ホンダMP4/6」
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1991年製「マクラーレン ホンダMP4/6」
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無事にすべての車両の走行テストが終了。最後はコース上に全参加車両が並べられ、メディア向けの撮影時間が設けられた。
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