大矢アキオのパリモーターショー漫遊記(会場編)
2014.10.09 画像・写真さすらいのコラムニスト、大矢アキオによるパリモーターショー2014。思えば前々回は、「BMW X5」にそっくりの長城汽車製SUVを、メディアは面白おかしく伝えていたものだ。
今回はどうだ。東風汽車と2014年春に資本提携したプジョー・シトロエンをはじめ、フランス系ブランドは中国市場での実績を軒並み強調した。いっぽうトイレに入れば、往年のブリジット・バルドーの写真を用いた広告が。「ルノー・カラベル」の運転席に彼女がおさまった有名な写真である。
変わりゆくフランス自動車業界と、その後ろ髪を引くようなノスタルジーの輪舞(ロンド)。パリモーターショー2014は、筆者の目にそう映ったのだった。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA/Mari OYA)

フェラーリのブース。2014年9月に近日引退を表明したモンテゼーモロCEO(写真左)にとって最後の国際ショーということで、多数の報道陣が詰めかけた。ブリーフィング直後には観衆の中から「ブラボー!」の声が上がった。
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フェラーリのブース。2014年9月に近日引退を表明したモンテゼーモロCEO(写真左)にとって最後の国際ショーということで、多数の報道陣が詰めかけた。ブリーフィング直後には観衆の中から「ブラボー!」の声が上がった。
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「500X」を前面に打ち出したフィアットは同時に、「500」のスペシャルペインティングでも楽しませてくれた。これはイスラエル人デザイナー、ロン・アラッドによる、1957年に登場した2代目500へのオマージュ。直前に開催されたファッションのパリコレクションに合わせて公開された。
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こちらは「500ジーンズ」。フィアットはこれを機会に顧客の高度なパーソナライズに応えるべく「500クチュール」と題したサービスに取り組むという。ただし詳細は発表されていない。
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「フォード・フォーカス」のアートカー。ニューヨークをベースに活躍するデザイナー&アートディレクターによるもの。右ライト下の「よしだけいすけ」の文字が気になる。
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アウディブースにて。フォルクスワーゲン・グループ・デザインを率いるワルター・デ・シルヴァがデザインしたチェア。「アウディA8 L W12」と同じレザーを用いてイタリアのポルトローナ・フラウが仕上げた。気になるお値段は、6300ユーロ(約87万円/付加価値税・フランス都市部送料込み)。
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プジョーのグッズショップにて。ミニカーで有名なノレブとのコラボレーションによるガレージ。このボリュームで42ユーロ(約5800円)は、お買い得か。
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フォルクスワーゲンのブースには、ジャイロセンサー付きホイールを履いたタブレットが巡回している。
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声をかけてみる。自動音声認識と思いきや、ブース内の一角に潜んでいるとおぼしき女性オペレーターが相手をしてくれた。彼女の場合「英語、フランス語、そしてイタリア語がオーケー。スペイン語もちょっとなら」とのこと。
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欧州における「アウディe-tron」のCMで活躍中のロボット。そのCMは、他のロボットが電池切れでダウンしてゆくなか、ハイブリッドエンジン搭載で踊り続ける、というストーリー。パリでも元気があり余っていたのか、パビリオンの外で存在をアピールしていた。
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ルノーのプレスブリーフィングで。ふと隣を見たら、元F1ドライバーのアラン・プロスト氏だった。
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かつてBMWグループデザインを統括し、現在はイタリアを拠点に自身のスタジオを主宰するクリス・バングル氏。「まだ会場に来たばかりだから何とも言えないが、コンセプトカーは、フィニッシュひとつで決まる。このあたりを注意して観察したい」
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パリモーターショー開幕前夜の2014年10月1日に開催された「フォルクスワーゲングループナイト」にて。往年のコミック映画『ジャンダルム(憲兵)』シリーズの扮装(ふんそう)をしたコメディアン氏。人込みの中いきなり笛を吹くなどして人を驚かせ、堅くなりがちなジャーマンブランド系イベントの空気を和ませていた。
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報道関係者公開日、パビリオン間にはメーカー提供による恒例のシャトルサービスが。有明ビッグサイトでも西・東棟間でぜひ実施してほしいところ。写真は「シトロエンDS5ハイブリッド4」を操縦するコンパニオン。いつもMT車を運転する彼女は「次にクルマを買うときはAT車にするわ」と、その操作感覚にご満悦のもよう。
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この「ジャガーXE」のアートカーは、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニー(元ビートルズのポール・マッカートニーの娘)によるもの。前述の「フィアット500」同様、直前に開催されたパリコレクションからの橋渡しプロモーションである。
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どんな展示車よりも購入意欲をそそられたのは、ある来場者が乗っていた「ソロホイール」だ。その手の物に詳しい方ならご存じと思うが、米国を本拠にするメーカーが中国で生産しているジャイロセンサー付き一輪車である。スペックによると重さは約10kgで、最高速は約16km/h、航続可能距離は16km。
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プレスデイの2日間は、この時期のパリとしては異例に高い気温25度近くに達した。これは、ドイツ系ブランドが入る5号館の脇にて。あまりの暖かさに上半身裸で、はだしになって休む人も。
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あるパビリオンで、乗っていたエレベーターがウンともスンとも動かなくなった。ガラス張りの中、派手なアクションで大騒ぎしたにもかかわらず、外を通る誰も気づかないのには、都会の死角を感じた。約10分後ようやくドアが開いて脱出。
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会場であるポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場のトイレはこの春以降、順次改装が行われていたらしい。そのいくつかには“テーマ”があって、写真は南国ビーチリゾート風。床につけられたダミー足形は、巧みな清潔感の演出だ。
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トイレのモダン化とは裏腹に、フランスにおける永遠のセックスシンボルは不動か。保険会社が無料で提供する飲酒運転予防アプリの広告。
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もはやフランスやイタリアでおなじみの「なんちゃってBMW風グリル」を持った中国製軽トラック。ただし、製造している東風小康汽車の親会社は、今日PSAプジョーの大株主で、ルノー・日産とも提携関係にある東風汽車である。この2年で、フランス自動車業界を取り巻く環境は大きく変わった。