大矢アキオのパリモーターショー漫遊記(街角編)
2014.10.09 画像・写真さすらいのコラムニスト、大矢アキオによるパリモーターショー2014(街角編)である。 ショー直前まで、エールフランスでは十数日間にわたるストが続けられていた。それは系列の格安航空「トランサヴィア」に地方路線を移管したい会社側と、待遇条件の悪化を嫌うパイロットとの対立だった。しかし街中の広告は圧倒的に「トランサヴィア」のものが目立つ。キャッチは「ビキニを買う値段(35ユーロ)で旅立とう」だ。モノに対する価値観は着々と変化を遂げつつある。その傍らで、食料品店はプレ・ロティ(鶏のロースト)を、パン屋では焼きたてのバゲットを、何十年と同じように提供している。 その間にも、東京の学生時代に憧れたちょっと古いクルマが、十字路からひょっこりと顔をのぞかせる。世界6大モーターショー開催地の中で、新しさと古さが最もうまい具合にミックスされた街。個人的にはそう信じてやまないパリである。 (文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=Akio Lorenzo OYA/Mari OYA)

先日のエールフランスのストライキにおいて争点となった系列の格安航空トランサヴィアの広告が街のあちこちに。キャッチは「ビキニを買う値段(35ユーロ)で旅立とう」。
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先日のエールフランスのストライキにおいて争点となった系列の格安航空トランサヴィアの広告が街のあちこちに。キャッチは「ビキニを買う値段(35ユーロ)で旅立とう」。
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これもトランサヴィア航空の広告。「バッグを買う値段で旅立とう」
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パリ地下鉄の駅構内に貼られたモーターショーのポスター。モダンだが、車関連とわからない恐れあり。
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会場に最も近い地下鉄ポルト・ド・ヴェルサイユ駅は、たびたび、ひとつのブランドによって“広告ジャック”が行われる。今年はフォルクスワーゲン。国際ショーデビューを果たした新型「パサート」で埋め尽くされた。
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パサートの広告は、延々と続く。縦型の照明入り広告の一部は、実はディスプレイで、時折クルマが動いて、駅利用客を驚かせる。
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フォルクスワーゲングループのシュコダは、周辺歩道に新型「ファビア」の告知をプリント。靴でかなりこすってもはがれない強力マテリアルである。
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地下鉄にて。ユニクロのパリ店は早くも5周年を祝っていたが、こちらは楽天が2010年に買収したフランスのECモール「プライスミニスター」の車内広告。「SONY」「TOYOTA」同様、フランス人にも読み間違えが少ない「RAKUTEN」だが、どのくらい浸透するだろうか。
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ポルト・ド・ヴェルサイユの地下鉄入り口にて。よく見ると、いわゆるアダルトショップのものだった。モーターショーにやってきたおじさん目当てだろうが、このデザインでは恥ずかしくて手に取れないだろう。
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パリ・セーヌ左岸15区で。「シトロエン2CV」のデザイナー、フラミニオ・ベルトーニが第2次大戦前、故郷イタリアからやってきて初期に住んでいたマジソン通り周辺。2CVにインスピレーションを得た「C3プルリエル」がたたずんでいた。
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同じく15区にて。気がつけば、発売されたばかりの新型「トヨタ・アイゴ」を発見。
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エンジン停止したスクーターをけん引する「プジョー206」。ただしリアウィンドウには「緊急・血液(輸送中)」と記した紙が。考えれば考えるほど眠れなくなる光景である。
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朝、路線バスの車窓から。中央はホンダの二輪「スーパーカブ」である。たとえたくさんバイクがあっても即座に見分けられるのは、パリの雑踏で日本人同士すぐにわかるのと、どこか似ている。
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ショー会場で話しすぎて声をからしたために、薬局でスプレーとシロップを急きょ購入。フランスの薬はイタリアのもの以上に甘く、香りが良い。ついでにいうと、フランスのウオッシャー液も香りが良い。味は試したことないけれど。
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2014年1月にできたセーヌ川沿いの新ショッピングモール「ボーグネル」の化粧室にあったダイソンのエアブレード。大昔の戦車しかりジャガーしかり、英国人は「Mk2」が好きとみた。
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超高速列車「TGV」の車内。2等車でも決して手抜き感のないデザインは秀逸である。
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TGVの席番表示。復路は数字が切り替わる。
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ペイ・デ・ラ・ロワール地域圏のローカル線。日本にもこのくらい車内照明を落とした車両があってもよいと、つくづく思う。
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ロワール川沿いの、ある町で。「スクールバスではありません」のサインを掲げた「フォルクスワーゲン・トランスポーター」。言われなくてもわかるって。
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セーヌ左岸・地下鉄シャルル・ミシェル駅付近で「ルノー・フエゴ」を発見。「シトロエンCX」などをデザインしたあとルノーに移籍したロベール・オプロンの仕事である。
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フランスといえば、食料品店の店先で回るプレ・ロティ(鶏のロースト)。仕事に出掛ける朝は生焼け、帰ってくる頃には売り切れで、手に入れて貸しアパートで食べるチャンスにはめぐまれなかった。