古くて小さなクルマのミーティング「U1000 in しらこばと公園」
2016.03.03 画像・写真2016年2月28日、埼玉県越谷市のしらこばと公園で旧車イベント「U1000 in しらこばと公園」が開かれた。イベント名のU1000とは「アンダー1000」の略で、今回で4回目となる、古くて小さなクルマだけのミーティングである。参加資格は原則として1988年(昭和時代)までに生産された、1000cc未満の車検付きの三輪車/四輪車だが、およそ120台のエントリー車両のなかには、排気量が少々オーバーしたものや、年式が新しいモデルも特例として少数含まれていた。過去の開催は厚い雲に覆われたり、強風に煽(あお)られたりして寒い思いをすることが多かったが、今回は快晴で風もなく、気温も4月上旬並み。絶好のイベント日和に恵まれ、終始なごやかなムードが漂っていた会場から、リポーターの目にとまった参加車両を紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/25同じ年式、同じグレードで同じカラーという双子の1971年「スバルR-2ハイデラックス」。60年代後半から70年代初頭にかけてはやった、ポルシェではバハマイエロー、アルファ・ロメオではオータムゴールド、日産ではサファリブラウンと呼ぶこのカラー、スバルではキャニオンゴールドと呼ぶそうだ。グランドキャニオンの砂漠の色ということか?
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2/25ローダウンされた2台の「マツダ・ポーターキャブ」。右は標準ボディー、左は三方開き式。通称ガチャピン。
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3/251972年「スズキ・フロンテクーペ」(左)と、360ccから550ccに拡大された軽規格に合わせてフロンテクーペをボディー、エンジンともに拡大した79年「スズキ・セルボ」(右)。排ガス規制が実施されたこともあって、水冷2ストローク3気筒エンジンのチューンはフロンテクーペが356ccから37psを絞り出していたのに対し、セルボは539ccで28psとグッとおとなしくなった。
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4/25同じ1959年生まれのライバル同士だった軽三輪トラックである、丸ハンドルになった「ダイハツ・ミゼット」(左)と「マツダK360」(右)。
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5/25こちらもサーキットでは好敵手同士だった1965年「ホンダS600」(左)と65年「トヨタ・スポーツ800」(右)。どちらもオリジナルに近い姿を保っている。
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6/251962年「フィアット600シオネリ」(右)と67年「フィアット600ムルティプラ」(左)。前者は600の内外装をカロッツェリア・シオネリが仕立てた仕様で、後者は600をベースとするミニバン的なモデル。ホイールベース2.2m、全長3.5mちょっとしかないが6人乗りで、イタリアではタクシーにも使われた。
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7/251956年「フィアット600」。前開き式ドアにスライド式のサイドウィンドウを持つ、55年に誕生した600の、希少な初期型。ダンテ・ジアコーザの設計になる傑作小型車で、アバルトなど多くのモデルのベースになった。マスク中央のフォグランプはノンオリジナルで、本来はフィアットのエンブレムが付く。
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8/251971年「フィアット500L」だが、ナンバーは黄色いボディーとおそろい。パワートレインを「スバル・サンバー」用の水冷660cc直4エンジン+3ATに換装し、軽登録としたモデルだった。
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9/251972年「ローマックス」。イギリスの三輪キットカーで、パワートレインは「シトロエン2CV」用の空冷フラットツインを流用している。
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10/253台並んだ、年季の入った「アペ」(輸出名称ベスパカー)。イタリアはピアジオ社製のマイクロ三輪トラックである。
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11/251971年「スズキ・ジムニー」。70年にデビューした、空冷2ストローク2気筒エンジンを搭載した、型式名LJ10こと初期型ジムニー。オーナーいわく「最初期型ではなく、若干パワーアップした2型です」とのことだったが、横バーグリルの希少な初期型であることに変わりはない。
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12/251972年「スズキ・ジムニーバン」。エンジンが水冷化された2代目だが、メタルボディーのバン(LJ20V)の残存車両は珍しい。もともと林野庁などお役所需要から生まれたモデルで、多くが使いつぶされてしまったためという。
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13/251963年に誕生したホンダ初の市販四輪車にして日本初のDOHCエンジン搭載車だった「ホンダT360」。昨年はズラリと7台並んでいたが、今回はこれ1台のみだった。
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14/251969年「ダットサン・サニー・クーペ」。半世紀をさかのぼる66年に誕生した初代サニー(B10)に、68年に追加設定されたクーペモデル。初代「シルビア」と同じ社内デザイナーの手になる、クリーンなスタイリングが魅力。
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15/251968年「トヨタ・パブリカ・コンバーチブル」。トヨタのTをあしらったエンブレムがアクセントとなる黒塗りフロントグリルを持つ、初代パブリカ最終型のコンバーチブル。
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16/251967年「ダイハツ・ハイゼットキャブ・バン」。ボンネット型の軽トラック/ライトバンとして誕生したハイゼットに、64年に加えられた最初のキャブオーバーモデルが、このハイゼットキャブである。
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17/251974年「ホンダ・ライフ・ピックアップ」。「ライフ・ステップバン」をベースにしたミニ・ピックアップに、荷台部分を使った自作のトレーラーを連結。アンドレ・クレージュの頭文字であるAとCがピンクとブルーで塗り分けられた、クレージュのアルミホイールにも注目。
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18/251971年「バモス・ホンダ」。荷台に積んだ「ホンダ・スポーツカブ」改レーサーがいい雰囲気を醸し出している。
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19/251992年すなわち平成生まれだが、特例により参加した3台の「オートザムAZ-1」。中央の女性は、この青いクルマのオーナーであるカリフォルニア・ガールのアシュリー嬢。彼女はターボチャージャーのトップメーカーであるハネウェル(旧ギャレット)のエンジニアで、今年1月から半年間の予定でハネウェルジャパンに出向中。会社でターボの設計に従事するいっぽう、プライベートでは「コブラ」「マツダRX-7(FD3S)」とレース仕様の初代「マツダMX5ミアータ」を所有するガチのクルマ好きで、この「AZ-1」はフェイスブックを通じて知り合った赤いクルマのオーナーに頼んで探してもらったという。
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20/25シルバーの「オートザムAZ-1」は、正確にはフォグランプが埋め込まれた独自のマスクとリアスポイラーを持つ1994年「M2 1015」。当時マツダが開発実験工房として設立した子会社であるM2によるモデルだが、「ユーノス・ロードスター」ベースのM2バージョンのような本格的なものではなく、不良在庫化していた「AZ-1」をさばくために企画された、いわば着せ替えモデル。当初は限定50台ということだったが、実際には300台以上作られたのではないかといわれる。
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21/251971年「ダイハツ・ハイゼット」。先にバンを紹介した「ハイゼットキャブ」の後継モデルだが、ボンネット型の生産終了にともない、単にハイゼットと名乗るようになった。黒フチを持つ角形ヘッドライトが大橋巨泉のメガネ姿のように見えることから、マニアの間では俗に“巨泉ハイゼット”と呼ばれる。
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22/25後席から顔をのぞかせている犬がかわいい1973年「ホンダ・ライフ」。タイミングベルト、バランスシャフト、そしてジアコーザ式FFといったメカニズムを日本車としては初採用し、初代「シビック」の土台ともなった軽乗用車である。フロントグリルはツインキャブエンジン搭載の「2ドア・ツーリング」用。
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23/251967年「ヒルマン・インプ」。「ミニ」に対抗して63年に登場した大衆車だが、ミニとは対照的にコルベア・ルックをまとったボディーのリアに、F1用エンジンで名を上げたコベントリー・クライマックス設計の直4 SOHC 875ccエンジンを積む。
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24/251970年「三菱ミニカ'70」。旧態化が目立つようになった62年以来のボディーに別れを告げ、モダンな3ドア・ハッチバックボディーをまとって69年に登場した2代目ミニカで、車名は「ミニカ・セブンゼロ」と読む。ただし中身はオーソドックスで、駆動方式はFR。
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25/25好天に恵まれた会場風景。