ニュルブルクリンク24時間 2017
2017.06.02 画像・写真ドイツ国内のサーキット「ニュルブルクリンク」で、2017年5月27日から翌28日にかけて開催された、ニュルブルクリンク24時間レース。長時間にわたって熱い戦いを繰り広げたレーシングカーの姿や、サーキットにおける印象的なシーンを写真とともに振り返る。
(文と写真=廣本 泉/text&photo=Izumi Hiromoto)
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1/262017年のニュルブルクリンク24時間レースでも、例年のような激しいバトルが展開された。そんな中、チェッカーまで残り30分という段階で雨が降り始め、予選で2位につけていたアウディスポーツ チームランドの「R8 LMS」がいち早くレインタイヤにスイッチし、鮮やかに逆転勝利をきめた。
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2/26予選で圧倒的なスピードを見せつけたのが、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスのオリジナルマシン「SCG003C」だった。参戦チームは、いまやニュル24時間レースの常連となったTRAUM MOTORSPORT SA。その704号車が予選を制し、ポールポジションを獲得した。704号車は最終的にリタイアしたものの、702号車が19位で完走を果たした。
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3/262017年の大会には160台が集結。決勝は5月27日の15時30分に幕を開けた。レースウイークは好天に恵まれ、各車スタート直後から激しいバトルを展開。フィニッシュ直前に降り出した雨がドラマを演出した。
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4/26下馬評では「BMW M6」(写真)の優勢が予想されていたのだが、レース序盤は例年以上に上昇した気温に苦戦。夜間を迎えて気温が下がると追い上げを開始した。最上位は、予選では21位にとどまっていたローヴェ・レーシングの98号車。レース終盤でトップ争いを展開し、2位表彰台を獲得した。
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5/26「AMG GT3」を投入したメルセデス陣営は、ニュルブルクリンク独自のBOP(性能調整)に苦戦。それでも昨年のチャンピオンチーム、ブラックファルコンの3号車が予選で7位につけたほか、決勝では予選で22位と出遅れていた1号車がメルセデス勢の最上位となる5位で完走した。
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6/26ベントレーのワークスチームであるチームアブトは、2台の「コンチネンタルGT3」で参戦。しかし、目立ったアップデートがないためにスピード不足は否めず、予選では38号車が13位に低迷。決勝も15位完走で2017年の大会を終えることとなった。
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7/26“ニュルの神様”と呼ばれるマンタイレーシングは、ポルシェのワークスとして2017年の大会に復帰。3台の「911 GT3 R」を最高峰のSP9クラスに投入したものの、12号車が26周目でマシントラブル、911号車が27周目に他車と接触し、レース序盤でリタイアした。中盤に接触しながらレースに復帰していた59号車も、最終的にマシントラブルでリタイア。
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8/262017年は「フェラーリ488 GT3」のパフォーマンスが目を引く大会となった。ウォッチェンスピーゲル・チームモンスチャウの22号車が孤軍奮闘を見せ、予選で4位を獲得。決勝ではほかのミシュラン勢と同様に気温上昇で苦戦しながらも、殊勲の7位完走を果たした。
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9/26BMWは名門チームのシュニッツァーがワークスチームとしてエントリー。2台の「M6 GT3」で総合優勝を狙った。しかし、予選で10位につけていたMストライプの43号車は他車と接触し、リタイア。それでも、予選で18位につけていたシェルカラーの42号車が猛追を披露。惜しくも表彰台には届かなかったものの、4位で完走した。
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10/26今大会の目玉となったのがSP-Xクラスに参戦した「ルノーR.S.01」だ。もともとはルノー・スポールがワンメイクレース用として開発したマシンで、カーボン製モノコックに「日産GT-R」用の3.8リッターV6ツインターボエンジンを搭載。そのパフォーマンスが注目を集めたが、予選では35位にとどまり、決勝も88周目でリタイアすることとなった。
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11/262017年のニュル24時間は、45回目の開催となるメモリアルな一戦。数多くのギャラリーが来場し、コースサイドでキャンプをしながら白熱のバトルを満喫していた。
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12/26ニュル24時間は、デビュー前の新型車が登場することでもしばしば話題を集める。2017年の大会においても、ニューマシンが登場。2018年のリリースに向けて開発されているBMWのGT4仕様車「M4 GT4」がSP8Tクラスに参戦した。ホモロゲーションを取得する前のテスト車両ながら総合36位、クラス1位で完走し、そのパフォーマンスを証明した。
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13/26今大会では日本のチームが躍進。中でも目覚しい進化を見せたのが、トヨタの社員で構成されているTOYOTA GAZOO Racingだったと言えよう。ここ数年は3台体制で参戦してきたが、今年は1台体制に集約し、参戦3年目の「レクサスRC」でSP3Tクラスにエントリーした。同車は大幅なアップデートを実施した結果、ラップタイムを40秒も更新。予選でクラス2位を獲得したほか、決勝でも日本車最上位の総合25位、クラス2位で完走してみせた。
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14/26スバルのワークスチームであるSTIも、アップデートを実施した「WRX STI」でSP3Tクラスに参戦。TOYOTA GAZOO Racingの「レクサスRC」との日本車対決が注目を集めたが、例年以上の暑さに苦戦を強いられた。予選で3位にとどまったほか、決勝でも2番手まで追い上げながらも28日の未明に他車と接触し、3番手に後退。さらにチェッカーまで3時間を残してエンジンルームから出火。クラス3連覇を果たすことなく、そのままリタイアした。
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15/26「レクサスRC」「スバルWRX STI」などの日本車勢を抑えて、激戦のSP3Tクラスを制したのは、LMSエンジニアリングの「アウディTT RS2」だった。圧倒的なタイムで予選を制しただけでなく、決勝でも安定した走りで首位をキープ。最後まで後続を寄せ付けることなく、総合24位でSP3Tクラスを制した。
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16/26今年はアストンマーティンのワークス活動は休止。代わって、有力カスタマーチームのみがエントリーした。伝統の7号車を受け継いだのが、アストンマーティン・ラゴンダの「アストンマーティンGT8」。総合21位で完走し、SP8クラスで勝利を飾った。
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17/26ドイツ車やイタリア車などヨーロピアンブランドのイメージが強いニュル24時間だが、「フォード・マスタングGT」や「ダッジ・バイパー」などのアメリカ車も参戦している。アメ車の最上位は、そのフォード・マスタングGT。総合75位、SP8クラス3位で完走した。
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18/26車種バリエーションの多彩なニュル24時間には、ハイパフォーマンスなスポーツカーのほか、小排気量のコンパクトカーなどもエントリー。各クラスで激しいバトルを展開している。SP2Tクラスには、「BMW MINI JCW」が参戦。総合101位、クラス2位で完走した。
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19/262017年のニュル24時間はレースウイークを通じて好天に恵まれた。決勝では日の入り、日の出ともに美しい太陽が姿を見せる。とはいえ、チェッカーまで残り30分という時に雨が降り出すなどニュルウェザーは健在だった。
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20/26大会の名物「オペル・マンタ」は今年も健在。ギャラリーの注目度も高く、同モデルが通過するたびに温かい拍手や声援が送られていた。残念ながら71周でリタイアしたものの、その雄姿はファンの記憶に残ったことだろう。
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21/26「ランボルギーニ・ウラカン」は苦戦。最上位となったのはSP9クラスに挑んだGT3仕様車ではなく、SP8クラスに参戦したドール・モータースポーツの69号車「ランボルギーニ・ウラカン スーパートロフェオ」。総合40位、SP8クラス2位で完走した。
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22/26ニュル24時間では「オペル・カリブラ」もまだまだ現役だ。地元チームが2台のカリブラをSP3クラスに投入。とはいえ、2台ともに完走できず、2017年の大会を終えることとなった。
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23/26タイのトヨタが組織するTOYOTA GAZOO Racing Team Thailandもニュル24時間の常連チームだ。今年も2台の「カローラ アルティス」をSP3クラスに投入。2台ともに粘り強い走りを披露し、123号車がクラス8位、124号車がクラス9位で完走した。
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24/26ニュル24時間の表彰式は、入賞マシンをポディウムに並べ、その上でドライバーがシャンパンファイトを展開する。2017年は「アウディR8 LMS」が1位と3位、「BMW M6 GT3」が2位というリザルトで幕を閉じた。
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25/26今年もニュルでは、世界ツーリングカー選手権(WTCC)が同時開催された。シリーズの第4戦として組み込まれたもので、オープニングレース、メインレースともに3ラップで実施。ホンダのワークスチームから「シビックWTCC」でフル参戦する日本人ドライバー道上 龍はオープニングレースを11位で終え、メインレースはパワステのトラブルでリタイアとなった。そんなホンダ勢の最上位はノベルト・ミケリスで、メインレースで2位入賞を果たし、表彰台にのぼった。
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26/26WTCCで躍進したのは「S60 WTCC」で参戦するボルボのワークスチーム、ポールスターレーシングだった。オープニングレースをテッド・ビョーク、メインレースをニッキー・キャッツバーグが制覇。今回のドイツ戦で2連勝を達成した。