「第14回クラシックカーフェスティバル in 桐生」の会場から(前編)
2019.11.07 画像・写真2019年11月3日、群馬県桐生市にある群馬大学理工学部 桐生キャンパスにおいて「第14回 クラシックカーフェスティバル in 桐生」が開かれた。
関東圏では質・量ともにトップクラスの旧車イベントとして、自他共に認める存在となった近年は、毎回参加希望が会場のキャパシティーをオーバー。今年は必然的に行われることになった事前審査を通過した、1980年までに生産された国内外の車両(継続生産された同型車を含む)という参加規定に沿う、およそ260台の旧車が集まった。
会場ではそれら参加車両とともに特別車両が展示されたほか、桐生市内約40kmのコースをルートマップにしたがって走るラリーや子どもお絵描き大会など、おなじみとなったプログラムが実施された。前編では約2万人のギャラリーが来場した会場および周辺から、リポーターの目に留まったモデルを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40アルファ・ロメオの初代「ジュリア」系モデルを中心に並べられた一角。
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2/40会場入りする車両。1975年「ホンダ・シビック1200RS」。ホンダ車でRS(ロードセーリング)の名を最初に冠した、初代シビックで唯一となるツインキャブエンジンを積んだスポーティーグレード。
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3/401975年「日産ローレル ハードトップ2000SGL」。“ゆっくり走ろう”というキャッチフレーズを掲げて登場した2代目C130ローレルの2ドアハードトップ。アメリカのマッスルカーを縮小したようなスタイリングが魅力。
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4/401982年「日産セドリック2000 4ドアハードトップ」。6代目「グロリア」と双子車の5代目セドリックで、型式名は430。この個体は違うが、日本初のターボチャージャー装着車が用意されたのが、この430セドグロだった。
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5/401967年「三菱ミニカ デラックス」。1962年に登場した初代ミニカの中期型。独立したトランクを備えた3ボックスボディーのフロントに空冷2ストローク2気筒エンジンを積み、後輪を駆動するオーソドックスな設計だった。
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6/401958年「三菱ジープCJ3B-J4」。三菱による「ウィリス・ジープ」のライセンス生産は1953年から始まったが、これは米軍および自衛隊向けの左ハンドル仕様。三菱のスリーダイヤモンドとウィリスのロゴがノーズに並んでいる。
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7/401966年「ポルシェ911」。2リッター時代のナロー911。年季の入ったバハマイエロー(個人的にナローで一番好きなボディーカラー)の色合いも味わい深い。
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8/401960年「メルセデス・ベンツ220SEカブリオレ」。俗に“ハネベン”と呼ばれるテールフィンの生えたモデルの1世代前、日本では“ダルマ”と呼ばれる世代の最終型カブリオレ(W128)。現在の「Sクラス カブリオレ」のご先祖さま。
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9/401974年「キャデラック・クーペ ドヴィル」。全長5.7m超、全幅2m超、ホイールベース3.3m超の巨体を7.7リッターV8エンジンで走らせる。ちなみに翌1975年からは、排ガス規制の強化によるパワーダウンに対処して、エンジンはV8としては史上最大の8.2リッターまで拡大された。
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10/4080台近くが参加したラリーのスタート風景。スターターを務めた桐生市長の荒木恵司氏がフラッグを振り下ろし、車齢95年の1924年「ブガッティT13ブレシア」がスタートしていく。続くのは1922年の同モデル。
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11/40正門を出てラリーコースを行く1962年「ロータス・エリートSr2」と、イベントを訪れたギャラリーのクルマであろう「アルファ・ロメオ1300GTジュニア」が、偶然すれ違った。
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12/401969年「ロータス・セブンSr3」。ケータハムではなく、本家ロータス時代のセブン。英国フォードの「116E」がベースのロータスツインカムを積んでいる。
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13/401967年「フォルクスワーゲン1600バリアント」。アメリカではスクエアバックと呼ばれる「タイプ3」のバリアント(ワゴン)。ちなみに「セダン」はノッチバック、ファストバックの「TL」はプレーンバックと呼ばれる。
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14/401972年「BMW 2002tii」。スポーツサルーンとしてのBMWの評価を決定づけ、ツーリングレースでも大活躍した通称“マルニ”の(「ターボ」を除く)トップグレード。今日の「3シリーズ」のルーツ。
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15/401964年「メルセデス・ベンツ190c」。「220S/SE」など通称“ハネベン”の「Sクラス」のノーズを短縮して1.9リッター直4エンジンを載せた、当時のメルセデスのベーシックモデルにして、今日の「Eクラス」の先祖。フロントのウインカーは後付けされたもので、本来はフェンダーミラー近辺に付いているものだけ。
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16/401971年「メルセデス・ベンツ300SEL 6.3」。60年代の「Sクラス」のトップグレード「300SEL」のボディーに、別格的存在だった「600」用の6.3リッターV8エンジンを搭載。“ドラッグスター”の異名をとったスーパーメルセデス。
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17/401973年「シムカ1000GLS」。戦前にフィアットのライセンス生産から始まったフランスのシムカが1961年にリリースしたリアエンジンのセダン。サイズとレイアウトが近い「ルノー8」のライバルだったが、デビューはこちらのほうが早く、より長く(1978年まで)つくられた。
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18/401964年「ダットサン・トラック320」。初代「ブルーバード」に準じた顔つきを持つ型式名320の最終型。「群4」のシングルナンバーを維持している。
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19/401966年「ダットサン・ブルーバード1200 4ドア デラックス」。ピニンファリーナの手になるボディーを持つ2代目ブルーバードの、最初のマイナーチェンジを受けたモデル。「フィアット1300/1500」や「ランチア・フルビア ベルリーナ」など、60年代のイタリア製小型セダンと見まごう姿だ。
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20/401973年「日産チェリー4ドアX-1」。日産初のFF車だった初代チェリーの高性能グレード。室内にはロールバーを入れ、ごっついラリータイヤを履き、ラリー仕様風に仕立てられている。
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21/401970年「スズキ・ジムニーLJ10」。横長スリットのフロントグリルを持つボディーに空冷2ストローク2気筒エンジンを搭載した、初代ジムニーの最初期型。来年2020年に生誕50周年を迎えるジムニーの原点となる希少車。
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22/40特別展示車両。左から1927年「ブガッティT38」、1924年「ベントレー3リッター スピード」、1954年「ロータスMk8」そしてホンダコレクションホール所蔵の1965年「ブラバム・ホンダBT16」と1968年「ホンダS800レーシング」。
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23/40生産台数わずか7台、日本にはこれ1台のみという超希少なレーシングスポーツである1954年「ロータスMk8」。鋼管スペースフレームにアルミパネルをかぶせ、MG用の1.5リッター直4エンジンをフロントミドシップしている。
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24/401965年「ブラバム・ホンダBT16」は、F1チャンピオンドライバーのジャック・ブラバム率いるコンストラクター、ブラバムのシャシーにホンダ製1リッター直4 DOHC 16バルブエンジンを載せたF2マシン。次期モデルの「ブラバム・ホンダBT18」は、翌1966年シーズンを全12戦中11勝という圧倒的な強さで制覇した。1968年「ホンダS800レーシング」は、ホンダの国内レースを統括していたRSC(レーシング・サービス・クラブ)のワークスカーで、同年の鈴鹿12時間で総合3位、クラス優勝に輝いた。
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25/40唯一のスーパーカーだった1979年「フェラーリ512BB」。エントリーリストには2台の「ディーノ246GT」もあったが、事情により来場せず。
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26/40シックなグレーに塗られた1971年「フィアット500F」。その前は「ヌオーバ・チンクエチェント」をアップデートした後継モデルの1973年「フィアット126」。
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27/401976年「ジャガーXJ6C」。初代ジャガーXJシリーズ2の時代に3年間だけ作られた、エレガントな2ドアハードトップクーペ。この個体は正規輸入車で、新車から親子2代で乗り継がれている。
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28/401947年「リンカーン・コンチネンタル」。戦前の1940年に登場した初代コンチネンタルの戦後型クーペ。全長5.5m超、全幅2m弱、全高1.6mのボディーに4.8リッターV12エンジンを積む。
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29/401977年「マツダ・ルーチェ レガート ハードトップ リミテッド」。「レガート」のサブネームを加えた(後に外されてただのルーチェに戻る)3代目ルーチェの、13B型ロータリーエンジンを積んだトップグレード。
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30/403台並んだ「いすゞ・ベレット1600GTファーストバック」(正式車名が“ファストバック”ではなく“ファーストバック”。いすゞ車オンリーのミーティングで2台並んだ光景は見たことがあるが、3台そろったのは初めて見た。
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31/40こちらは「マツダ・コスモスポーツ」が4台。手前の1台のみ前期型で、あとの3台はホイールベース延長やエンジンのパワーアップ、ギアボックスが4段から5段に、などの改良が施された後期型。
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32/40アメリカ車が並んだ一角。手前から1964年「フォード・サンダーバード」、1969年「フォード・マスタング マッハ1」、1970年「ダッジ・チャレンジャーR/T」、1970年「ダッジ・チャージャーR/T」など。
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33/40閉会式終了後、地元新聞社から配られた小旗を振るギャラリーに見送られ、エントリー車両はパレード形式で退場する。1957年「フィアット・アバルト750GTザガート」に1971年「シムカ1200Sクーペ」が続く。
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34/401969年「フィアット124スポルト スパイダー」に続くのは、1974年「アルファ・ロメオ2000スパイダー ヴェローチェ」。60年代にピニンファリーナが手がけた、2台のイタリアンスパイダー。
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35/40「品川5」のシングルナンバーを持つ1967年「トヨタ2000GT」。シャシーおよびパワートレインは、現オーナーが独力でレストアしたという。
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36/401967年「日産シルビア」。純正キャップ付きのスチールホイールにホワイトリボン入りタイヤ、フェンダーミラーなど、オリジナルの姿が保たれた初代シルビア。
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37/401978年「いすゞ・ジェミニ1800クーペLS/G」。純正オプションのアルミホイールをはじめカタログから抜け出てきたような姿で、程度もすばらしい。ちなみに、ヘッドライトウオッシャーを日本車で初めて標準装備したモデルでもある。
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38/401978年「日産フェアレディZ 2by2」。今年生誕50周年を迎えた初代S30ではなく2代目のS130。しかも2by2(2+2)となれば、かなり珍しい。
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39/401974年「ダットサン・サニー エクセレント1400クーペGX」。3代目B210サニーの、L14エンジンを積んだ上級シリーズであるエクセレントのクーペ(KPB210)。3連テールランプがロケットの噴射口のように見えることから、“ロケットサニー”と通称される。
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40/40連なって会場を後にするフルサイズのアメリカ車。最後尾は1977年「リンカーン・コンチネンタル マークV」。ダウンサイズされる直前、巨大な体軀(たいく)を誇った最後の世代のコンチネンタル。