ランボルギーニ・ウルスSEペルフォルマンテ(4WD/8AT)
ひとつの到達点 2026.07.23 試乗記 2017年のデビュー以来、超ド級の走行性能を持つ“スーパーSUV”として、SUVブームの中を駆け抜けてきた「ランボルギーニ・ウルス」。その進化型である「ウルスSEペルフォルマンテ」の仕上がりを、イタリア南部のテストコースからリポートする。もはやハイパーSUV
“ペルフォルマンテ”とはパフォーマンスのイタリア語。ランボルギーニのラインナップにおいては非12気筒モデルの高性能版に与えられる、人気のサブネームだ。過去には「ガヤルド スパイダー ペルフォルマンテ」「ウラカン ペルフォルマンテ」、そして「ウルス ペルフォルマンテ」が存在した。
この7月、ペルフォルマンテファミリーに新たなモデルが加わった。ウルスSEペルフォルマンテだ。ウルスSEといえば、並みいるスーパーSUVたちを数字で圧倒するウルスの現行モデルである。「ウルスS」のプラグインハイブリッド版であり、そのパワートレインスペックはすでに800PSの大台に到達していた。そのさらに高性能版、というわけだ。
システム総合の最高出力は問答無用の812PS。システム最大トルクに至っては、モンスターマシンの称号ともいえる1000N・mを誇る。パワートレインそのものはポルシェやベントレーといったフォルクスワーゲン グループの高性能ブランドにも搭載されるEA825型V8ツインターボエンジン+電動モーターのプラグインハイブリッドだが、なかでもウルスSEおよびウルスSEペルフォルマンテ用には最高スペックのシステムが用意されているのだ。
それゆえすでにウルスSEであっても文句なしのパフォーマンスを発揮し、速いモデルになじんだランボカスタマーを大いに満足させていたのだが、ペルフォルマンテはそんなSEをスペックで上回るうえ、軽量化や空力性能の向上にも挑んでいる。
聖地でその力を解き放つ
そんなウルスSEペルフォルマンテのプロトタイプ試乗に招かれた。サンタアガータからの招待状には、40年前にデビューしたスーパーSUV の元祖「LM002」をパルマで試したのちに、イタリア南部の有名なプルービンググラウンド“ナルド”を訪れるようにとあった。
ナルドは1970年代後半にフィアットが建設した巨大なテスト試験施設(地図アプリを使うと大きな円形のコースが見えるはず)であり、現在はポルシェエンジニアリングがオーナーだ。同じグループに属するブランドに限らず世界中のメーカーがこぞってテストに使っている。いわば“プロトタイプの聖地”。私が訪れた日もフェラーリやシャオミ(Xiaomi)が精力的にテストを行う様子がうかがえた。
試乗会の開催は2026年5月末でSEペルフォルマンテが正式発表される前だったため、テスト車両には派手なカムフラージュが施されていた。それでもカーボンボンネットのツインSダクトや新たな空力アイテムなどは隠しようもなく、かっこいいカムフラージュは見るからにたけだけしい。ボディーに貼られた「速いクルマにご注意!」のフレーズのステッカーがとてもしゃれている。きっとアドペルソナムでこの仕様をオーダーするマニアもいるに違いない。
ナルドでは4種類のプログラムが用意されていた。ローンチコントロールスタートからのハードブレーキングに始まり、ドリフトスラローム、ミニサーキット走行、そして最後にオフロード走行だ。
なにもかもが衝撃的
すでにウルスSEの速さは体験済み。そこからパワーアップしたといっても、たかだか12PSのこと。さらに30kgちょいの軽量化、といっても2.5tという総重量からすれば誤差とも思える数字だ。乗っても印象はさほど変わらないだろう、などとなめてかかってドライブしてみたら、スタート&ブレーキテストから衝撃を受ける羽目に。
ローンチ加速を試す。一瞬、無重力になったかのように体がふっと浮いた、と思ったら、ドッカーンと飛び出し、脳や内臓といった体の中身がシート側へと張り付く。あまりにもすさまじいロケットダッシュぶりにもはや爆笑するほかない。そしてもちろん、受けて立つ制動フィールも素晴らしいものだった。
ブレーキペダルの剛性感もとても高く、2.5tの強力な減速エネルギーを受け止めてなお、ガッチリとした踏み応えをキープする。コントロール性にも優れており、そのフィールは強烈な加速フィールよりも劇的に思えた。ブレーキシステムそのものの進化のおかげというべきで、フラットな姿勢を保ちながら巨体を巌(いわお)のように停止させる。
続くドリフト走行もお見事。ミドシップモデルのようなステアリング制御に頼ることはないが、強大なトルクでいとも簡単にパワードリフトへと持ち込める。そこからのコントロール性は4WDとは思えぬ素直さで、常にほぼフラットな姿勢を保ってくれるから、アクセルコントロールにさえ気を使えばドリフト制御はとてもたやすい。
うまくなった気になる
サーキットでは、背の高いだけのスポーツカーに完全に変身した。SUVゆえ高い位置に視線のあるぶん、そしてフラットな姿勢を保ってくれるぶん、思いどおりのラインをトレースできる。頼りになるブレーキと強大なトルク、そして優れたシャシー制御のおかげで、どんなコーナーでも素早くクリアし、とても上手になった気分に。大型のSUVをドライブしていることを忘れさせる。
オーナーになっても絶対にやらないであろう、ドライブモードに追加された「ラリー」を試すため、最後に砂地のオフロードも走ってみた。大小さまざまなコーナーでは視線さえ脱出方向から外さなければ、向かうべき方向へと自然とドリフトしながら抜けていく。シャシー制御が素晴らしく、必要以上に姿勢が流れることもない。ラリードライバーになった気分で激しくハンドルを動かしながら楽しめた。
現行型ウルスのデビューからおよそ10年。SEペルフォルマンテでその名のとおりパフォーマンスの限界を極めた。おそらく現行型の、ひとつの到達点であろう。さらなるハイパフォーマンスはおそらく、2020年代中に登場するといわれる次世代モデルへと引き継がれることだろう。
(文=西川 淳/写真=アウトモビリ・ランボルギーニ/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
ランボルギーニ・ウルスSEペルフォルマンテ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5123×2022×1638mm
ホイールベース:3003mm
車重:2473kg ※認証車両重量
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:620PS(456kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:800N・m(81.6kgf・m)/2250-4500rpm
モーター最高出力:192PS(141kW)
モーター最大トルク:483N・m(49.3kgf・m)
システム最高出力:812PS(596kW)
システム最大トルク:1000N・m(102.0kgf・m)
タイヤ:(前)285/35ZR23/(後)325/30ZR23(ピレリPゼロ)
ハイブリッド燃料消費率:--リッター/100km
EV走行換算距離:--km(WLTPモード)
充電電力使用時走行距離:--km(WLTPモード)
交流電力量消費率:--kWh/100km
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

西川 淳
永遠のスーパーカー少年を自負する、京都在住の自動車ライター。精密機械工学部出身で、産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰(ふかん)して自動車を眺めることを理想とする。得意なジャンルは、高額車やスポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域。
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