間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15 デイリーコラムモチーフは初代「シボレー・コルベット」か
光岡自動車がまたしても、クルマ好きの琴線に触れる一手を打ってきた。2026年9月に同社の公式サイト上に突如として現れたティーザーサイト。そこに掲げられたのは「LA1」と「2026.11 COMING SOON」との文字であった。
画面に現れた流麗なオープン2シーターの姿を見て、快哉を叫んだ自動車ファンは決して少なくないだろう。低く構えたフロントマスク、丸型4灯のヘッドランプ、艶やかなクロームパーツの輝き、そしてフェンダーからサイド、リアへと流れるクラシカルな抑揚──。
まだ正式な車名や諸元はアナウンスされていないものの、ティーザーサイトのメッセージや公開されたプロポーションから、その正体と、ミツオカが込めた情熱は十分に読み解くことができる。
まずは最大の注目点であるエクステリアデザインの分析から始めよう。
ティーザー画像を見た誰の目にも明らかなモチーフは、1950年代のアメリカを象徴するスポーツカー、初代「シボレー・コルベット」(通称C1)の後期型──とりわけヘッドランプが4灯化された1958年以降のエッセンスである。丸形デュアルヘッドランプやフロントグリルまわりの造形、ボディーサイドを前後に走るクラシカルな彫刻的ラインとクロームモールのアクセントは、まさに古き良きアメリカンスポーツカー黄金期へのリスペクトにみえる。
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ベース車両はND型「ロードスター」
ティーザーサイトには「創業者 光岡進がロサンゼルスで出会ったキットカー」「ヴィンテージのような外観にも関わらず、シャーシは現代的なメカニズム」という一節が記されている。ミツオカのモノづくりの原点となったアメリカ西海岸・ロサンゼルス(LA)へのオマージュと、初代コルベット(C1)のイメージ。それらが結実した記号こそが、「LA1」という車名あるいはコードネームに込められた真意と推測するのが順当だろう。
デザイン面での見どころは、単なる懐古趣味にとどまらない「現代のプロポーションへの落とし込み」にもある。
キャビンの前後バランスやAピラーの傾斜角、そしてソフトトップのリンク構造から推察するに、ベース車両が現行ND型「マツダ・ロードスター」であることは明白だ。しかし、1950年代のC1コルベットはラダーフレームの上に載る肉厚でフラットなハイデッキスタイルであったのに対し、NDロードスターは歩行者保護要件を満たしつつノーズを低く沈めた、きわめてタイトで現代的なパッケージングだ。
かつてミツオカが手がけた「ロックスター」は、エッジの効いたシャープな面構成で「スティングレイ」と呼ばれたC2コルベットの「コークボトル」をNDの骨格に見事に落とし込んだ。しかし、豊かな抑揚と豊満な曲線で魅せるC1コルベットのプロポーションを、ホイールベース2310mmの現代車で成立させるのは、はるかに難度が高いはず。
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ブランドの原点への回帰
ティーザー画像を見る限り、LA1は前後オーバーハングを巧みに伸長しつつ、サイドのクロームモールとウエストラインの視覚的重心を低く保つことで、現代車特有のウエッジ感を打ち消し、1950年代のスポーツカー特有の「水平基調の伸びやかさ」を表現しているように思える。
その際に気になるのは動的質感への影響だ。前後オーバーハングの延長と外装の架装は慣性諸元に変化をもたらす。とはいえロックスターや「ヒミコ」で見せたハンドリングのまとめ方や、近年のND型に搭載される「KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)」との親和性を考えれば、過敏さを抑えたグランドツアラー的味つけにしっかり昇華されていると期待していいのだろう。
1994年の「ゼロワン」から始まったミツオカ製スポーツカーの系譜は、「オロチ」の狂気、「ヒミコ」の英国調クラシシズムを経て、「ロックスター」「バディ」「M55」へと連なるアメリカンヘリテージの再解釈へと至った。今回の「LA1」は、かつてC2的な造形を持つロックスターで成功を収めたミツオカが、満を持してその源流たるC1へさかのぼり、ブランドの原点である「西海岸のバックヤードビルダー精神」へと回帰するミッシングリンクの完結編となるのかもしれない。
正式発表は2026年11月26日、受注開始は翌27日とのこと。果たしてインテリアにはどのようなマテリアルが奢られ、車両プライスはどのあたりに設定されるのか。そして往年の名車の残影をまとったこの小さなロードスターは、われわれにどんな夢を見せてくれるのだろうか。さらなる詳細が明かされるその日を、今は静かに待ちたい。
(文=玉川ニコ/写真=ミツオカ、ゼネラルモーターズ、マツダ/編集=櫻井健一)
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玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
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