トヨタ・オーリス150X“Mパッケージ”(FF/CVT)/180G“Sパッケージ”(FF/CVT)【試乗速報】
カローラを脱いだ国際派 2006.11.07 試乗記 トヨタ・オーリス150X“Mパッケージ”(FF/CVT)/180G“Sパッケージ”(FF/CVT) ……225万6450円/267万5400円 2006年10月23日、トヨタの5ドアハッチバック「オーリス」が発売された。「アレックス」の後継車なだけに、カローラの兄弟車と思われがちだが、それは明らかに違う新しいモデルだった。ニューモデルの印象を報告する。
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もうカローラじゃない!
オーリスの主要諸元表を眺めると、2600mmのホイールベースをはじめ、フロント:マクファーソンストラット式コイルスプリング、リア:トーションビーム式コイルスプリングのサスペンション、そして1.5リッターと1.8リッターのエンジンラインナップなど、ほぼ同時期に発売された新型「カローラ・アクシオ/フィールダー」と類似する部分が多いことがわかる。
さらに、ネッツ店で販売されてきた「アレックス」の後継車ということから、私はてっきりこのオーリスは新型カローラの兄弟車と思っていた。
ところが、試乗会の席でシャシー担当エンジニアに話を聞くと、それがまるで的外れということがわかった。このオーリスは、「VWゴルフ」に代表されるヨーロッパのCセグメント市場に本格参入するために日本の5ナンバー枠にとらわれずに開発が進められたモデルであり、たとえばプラットフォームは新型カローラとは別に4年前から開発がスタートした新しいものだったのだ。
確かにカローラとオーリスを詳しく比べてみると、オーリスのトレッドがよりワイドになっていたり、リアのサスペンションのスプリングとダンパーが別体になっていたりと、その違いに気づく。ブレーキも4輪ディスクとなり、ヨーロッパの“あたりまえ”が標準装備になった。
狙いすぎた!?デザイン
初対面のオーリス、その第一印象は“でかヴィッツ”。フロントマスクやボンネットの処理が似ているためか、あまりクルマに詳しくない人は「ヴィッツ」と間違えそうな雰囲気なのだ。一方、サイドビューはヴィッツとは明らかに違う伸びのあるルーフラインが特徴で、それはオーリス流というよりは“ゴルフ的”というほうが正しいかもしれない。
インテリアはかなり個性的で、なかでもセンタークラスターからセンターコンソールまでがブリッジのように宙に浮くデザインに驚かされる。シフトレバーがドライバーに近づいたおかげで、その操作性が格段によくなったのはいいが、パーキングブレーキはレバートップのボタンが押しにくく、こちらの操作性はいまひとつ。オーリスらしさを出したいという気持ちはよくわかるが、ちょっとやりすぎという感じもある。
ハッチバックといえば、その機能性も注目される部分である。ヨーロッパのライバル同様、後席を倒すことができるのは当然で、このオーリスでは後席のクッションを沈み込ませながら背もたれを倒すことにより、ほぼフラットなラゲッジスペースが得られる。後席のスペースも十分に広く、リクライニング可能なところもうれしい点だ。
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そつなく走る優等生だが
デザインやユーティリティをひととおりチェックしたところでさっそく試乗。まずは1.8リッターエンジンを搭載する前輪駆動の「180G“Sパッケージ”」の運転席に陣取った。例によって左手でスタートボタンを押し、ゲート式のシフトレバーを操作して発進である。
ヨーロッパ市場を狙っているだけに、乗り心地はやや硬めなのだが、硬すぎず、日本で乗るにも十分な快適さが確保されていることにまずはひと安心。電動パワステはギア比がクイックで多少重さはあるが、不自然さはない。しばらく走ると、ボディの剛性感やハーシュネスの遮断性などの部分で、新型カローラを上回っていることを実感。高速道路の直進安定性やフラット感もワンランク上だ。なるほど、新プラットフォームの実力はなかなかのものだ。
1.8リッターの直列4気筒エンジンは、最高出力136ps/最大トルク17.8kgmとスペックに派手さはないものの、1280kgのボディには十分の実力。後で試乗した1.5リッターでも不満はなかったが、静粛性や余裕の面で1.8リッターにアドバンテージが感じられた。
その1.5リッターモデルの「150X」は、電動パワステのギア比をクイックにしていないこともあって、より自然なフィーリングをもたらし、乗り心地も多少マイルドに思えた。
いずれのモデルもそつのない走りが自慢の優等生、という印象である。そして、日本で乗るなら1.5リッターで不満はないだろう。ただ、ライバルを越える部分を見出しにくいのがツライところで、価格以外の部分でもっとアピールできるポイントがほしいオーリスである。
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2006年11月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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