オペル・スピードスター(5MT)【海外試乗記】
『走る歓び、純粋結晶』 2001.03.30 試乗記 オペル・スピードスター(5MT) GM版ロータス・エリーゼ、オペル・スピードスターのデリバリーが3月から本国ドイツで始まった。ポルトガルで試乗したNAVIスタッフが報告する。ロータス1割、オペル9割
オペル・スピードスターをはじめて間近で見ての印象は、ミック・ジャガー。いかつい顔つきからでっかいクルマを予想していたが、実車はさにあらず。顔はキツイが体は小さい。
GM版エリーゼとも報じられるが、エリーゼと共通のパーツは全体の1割。残り9割はスピードスターの専用設計。具体的には、エンジンとトランスミッションはGMオリジナルで、エリーゼとは異なる。ホイールベースもエリーゼより30mm長い2330mm。車重945kgはエリーゼより約200kg重い。ABS、運転席エアバッグが備わるのもエリーゼとの相違点。いっぽうアルミ製シャシーにFRPボディを被せる手法や、前後ダブルウィッシュボーンのサスペンション形式はエリーゼと同じだ。
ぼよ〜んと太ったエリーゼではない
スピードスターに積まれるエンジンは、サターンLシリーズやオペル・アストラにも積まれるバランスシャフト付き2.2リッター4気筒DOHCユニット(最高出力147ps/最大トルク20.7kgm)。回転フィールはすこぶるスムーズ、パワー、トルクともに不満なし。平凡な音やあまりにフラットなトルク特性が実用車っぽいが、走りだせばそんな不満も些細に思える。
320mmという小径のモモ製ステアリングホイールはパーキングスピードでも軽い。軽いうえにタイヤの向きや路面状況を確実に伝える理想的なステアリングフィール。市街地での乗り心地は良い、というのは言い過ぎながら、悪くはない。コツコツというハーシュネスはあるが、軽〜く乗り越える。軽量ボディはハンドリングや動力性能だけでなく、乗り心地にも効く印象。
ワインディングでは風のよう。慣性質量の小ささと絶対的な速度が低いせいか、姿勢の制御は容易。どんなRのコーナーでもヒラヒラと舞う。コーナリングスピードではスーパーカーや国産ラリー用ウェポンにかなわないが、クルマと一体化する感覚はこちらが上。
“走る歓び”を蒸留させ、純粋結晶にしたような軽量スポーツカーの鏡。ぼよ〜んと太ったエリーゼではない。残念ながら日本発売は未定。オペルジャパンの英断を望む。
(NAVI サトー/写真=日本ゼネラルモーターズ/2001年3月)
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松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。
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