第153回:どうなる「超小型モビリティー」 新型1人乗り超小型電気自動車「コムス」を体験試乗
2012.07.05 エディターから一言第153回:どうなる「超小型モビリティー」新型1人乗り超小型電気自動車「コムス」を体験試乗
トヨタ車体が2012年7月2日に販売を開始した、1人乗りの超小型電気自動車「コムス」。
東京・お台場にあるトヨタ自動車のアミューズメント施設「MEGA WEB(メガウェブ)」で記者発表会と試乗会が開催された。
折しもこの6月、国土交通省が「超小型モビリティー(自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人〜2人乗り程度の車両) 導入に向けたガイドライン」を発表したばかりで、この小さな電気自動車に対する関心が高まっている。
コックピットがカッコいい
「関心が高まっている」などと、さも“世間が”のように書いてしまったが、関心を高めちゃっているのは、私個人である。
私は昔から小さい乗り物が好きで、いや乗り物だけでなく、なんでも小さい物に興味を持ってしまうタチなのだ。
食べものも、マグロよりもシシャモが好きだし。
それはともかく、「コムス」だ。
実車を見てまず感じたのが、「お、カッコいいコックピット!」ということである。
3本スポークのステアリングホイールと、その脇にチラリと見えるシルバーのパイプ。
それに1座席のみのシートというたたずまいが、なんとなくゲームセンターにあるレーシングゲームの筐体(きょうたい)みたいなのだ。
一瞬、100円玉を入れる場所を探したくなる。
配達などの仕事で「コムス」を使う人も、乗り込む時にこのコックピットを見ると、ちょっと楽しくなるだろう。
そして、そのコックピットに備わるのが、「コムス」のまさに生命線、充電コードの差し込み口である。
トヨタの「プリウスPHV」や「日産リーフ」などの充電口は「充電ポート」と呼ばれるが、「コムス」の場合はそういう「専用」っぽい形状ではなく、デスクトップパソコンの電源ケーブルを差し込むコネクターとおんなじ形状だ。
このコネクターに電源コードを差し込みコンセントとつなぐと、家庭用100V電源から約6時間で満充電となり、市街地走行でおよそ50km走ることができるそうだ。
ひょっとすると、荷台に市販のガソリン式発電機を積んで充電しながら走れば「シリーズ式ハイブリッド」になるんじゃないかなと思い、近くにいたトヨタ車体のスタッフに聞いてみたところ「いやー、うーん、それはー……」と返事に困っておられたので、そういう使用方法は想定されていないようだ(当たり前だけれども)。
思ったよりずっと走る
発表会に続いて、「ライドワン」という「MEGA WEB(メガウェブ)」の中にある常設の試乗コースで、試乗会が行われた。
早速シートに座ったのだが、ドアがないというのは想像以上に便利なものだ。
そのままスッと乗り込むことができる。どれだけものぐさなんだと思われるかもしれないが、ドアを開くという行為がないだけで、これほどクルマと一体感が生まれるのか、と感じた。
シートに座ってみた印象だが、これが意外や意外、普通の乗用車とそれほど違和感がないのだ。
ただ「ちょっと違うな」と感じるのがサイドミラーの位置。
ハンドルを握る手のレベルよりもずっと下にあって、とても見やすい。
手鏡で自分が見やすいところに合わせて見ているような感覚で、これは一般の車もこうだったらいいのにと思う(構造上むずかしいんだろうけれども)。
さて、座った感じに違和感がないというのは、つまり「ふつう」だということで、乗車前に興奮した「スポーティーさ」はまったくない。
これであと20cm(mmではなく)くらい着座位置が低かったら、グググッとアドレナリンが泉のようにわき出すんだろうけど、仮にわき出したところでこの「コムス」ではおさめようがないんだから、これでいいのだ、と走りだした瞬間に合点した。
アクセルを踏み込むと、まるでモーターのように(モーターなのだが)加速していく。
車両重量は410kgで、バイクでいうと「ホンダ・ゴールドウイング」に近い。
1800ccの、あの走る応接間みたいなバイクだ。
ゴールドウイングに原付規格のモーターを積んでいるようなものなのにこの加速力。
たいしたものだ。
電気モーター特有のトルクの太さ故だろう。
もちろん、「流れをリードする」なんてことはできないが、想像していたよりはずっと速い。これならなんとか街の中でも使えそうだ。
試乗コースが約700mと短かったのだが、その範囲内で運転感覚に危険な印象はなかった。
もっとも、デリバリーユースでの使用を考えると、例えば元気のいいバイト君がホンダの原付三輪バイク「ジャイロキャノピー」の要領でがんばって走っちゃった場合、きっとがんばりがいのなさを感じて、「あんまり面白くないッスネ」と言うのではないだろうか。
うちの近所のピザ屋さんは、屋根付きの三輪バイクの車体を大きく傾けてカーブを曲がっていて、見るたびに「楽しそうだな」と思ってしまうのだが、そういった乗り方はどうやらできなさそうだ。
最後に、私が感じた「コムス」のひとつ残念な点は、その外観だ。
特にカッコ悪いわけではないのだが、せっかく小さいクルマなのだから、昔の「イセッタ」とか「コニー・グッピー」とか「マツダR360クーペ」みたいに、ひと目見ただけで欲しくなっちゃうような、そんなデザインだったらいいのに。
(文=工藤考浩/写真=工藤考浩、webCG)
→「コムス」の姿を写真で紹介。カースコープはこちら。
→「コムス」の関連ニュースはこちら。

工藤 考浩
-
第876回:“ヨコハマ史上最高”が目白押し SUV向けスタッドレスタイヤの新製品「アイスガード8 SUV」を試す 2026.10.2 2026年9月1日に販売が開始された横浜ゴムのSUV用スタッドレスタイヤ「アイスガード8 SUV」。従来製品との比較で氷上性能を14%、雪上性能を4%、耐摩耗性能を11%アップさせたというその実力を、一足先に冬のテストコースで確かめた。
-
第875回:キモは氷上性能! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「ウインターマックス アイスプロ」を試す 2026.7.1 違いは氷の上で表れる! ダンロップの新しいスタッドレスタイヤ「WINTER MAXX ICE-Pro(ウインターマックス アイスプロ)」に、冬の北海道で試乗。氷上性能を徹底的に追求したという新製品の、パフォーマンスの一端に触れた。
-
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦 2026.6.27 世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。
-
第873回:ウエット路面に強み ミシュランの新タイヤ「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」を試す 2026.6.19 2026年1月29日に導入が発表されたミシュランの新製品「パイロットスポーツ5エナジー」と「プライマシー5エナジー」。これまでの特徴に加え、低燃費性能や耐摩耗性、ウエットグリップ性能のアップをうたう両モデルの走りを、クローズドコースで確かめた。
-
第872回:「フォレスター」がJNCAPで最高評価を獲得! “安全”に対するスバルの不断の取り組みに迫る 2026.6.6 相対速度100km/hの衝突後でも、普通にドアが開く!? 人気のSUV「スバル・フォレスター」が、日本の自動車アセスメントで最高評価を獲得した。安全なクルマづくりを第一とするスバルの取り組みを、群馬製作所で行われた衝突試験デモの様子とともにリポートする。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。





























