クラシックカーのタイムラリー「スプレンドーレ東京」
2013.04.02 画像・写真2013年3月31日、千葉県浦安市にある東京ベイNKホールをスタート地点として、クラシックカーのタイムラリー「スプレンドーレ東京」が開かれた。「スプレンドーレ」は、群馬県渋川市伊香保町にある「伊香保 おもちゃと人形 自動車博物館」が数年前から開催しているクラシックカーイベントのシリーズで、「スプレンドーレ東京」は昨年に続き2回目となる。参加資格は1975年までに生産された国内外の車両で、1925年「ブガッティT35A」から1975年「メルセデス・ベンツ280」まで、117台が参加する盛況ぶり。ルートはNKホールから成田市にある日本自動車大学校(NATS)に向かい、銚子市にある犬吠埼ホテルを経てNKホールに戻ってくる全行程約240kmである。当日は朝から小雨が降り、時折雨脚が強くなったりもするあいにくの空模様だったが、スタート地点周辺から印象的だった参加車両を紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

小雨にぬれた東京ベイNKホールの駐車場に集まった参加車両。
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小雨にぬれた東京ベイNKホールの駐車場に集まった参加車両。
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午前8時30分、カーナンバー1の1925年「ブガッティT35A」を先頭に、ナンバー順(年式順)に30秒間隔でスタート。
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1934年「アルファ・ロメオ6C 2300」。以前に見たときはきれいだったボディーが、かなりすすけて迫力を増している。聞けばオーナー自らウェザリング(風化や経年劣化を表現する塗装)を施したのだそうだ。
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1935年「フィアット508Sバリッラ・スポルト」。36psを発生する1リッター直4OHVエンジンを搭載、最高速は110km/hに達したという、戦前の軽スポーツの傑作。
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1952年「クレパルディ・パナール・アレマーノ750MM」。イタリアにおけるパナールのインポーターだったクレパルディが、ミッレミリアに出場するために製作したスペシャル。745ccの空冷フラットツインを積んだ「パナール・ディナ・ユニオール」のシャシーに、ミケロッティがデザインし、アレマーノが製作したボディーを載せた希少車。
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1953年「フィアット・ザガート750GT MM」。トッポリーノこと初代「フィアット500」のシャシーにザガートがボディーを架装した、かわいらしい軽スポーツ。ボディーサイドがザガートの“Z”をモチーフに塗り分けられている。
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1954年「フィアット1100TV」。イタリア語でミッレチェントと呼ばれる1100は、戦前から伝統のあるファミリーセダンの代表格。TVは「ツーリズモ・ベローチェ」の略で、すなわち高性能版である。
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1955年「ポルシェ356クーペ」。50年から作られた、通称プリAこと初期356の最終年度のモデル。その見た目から餅網などと呼ばれる、ヘッドライトに付けられたメッシュのストーンガードがカッコイイ。
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1955年「MGA」に2台の56年「オースチン・ヒーレー100/4」が続いている。通称ビッグヒーレーことヒーレー100/4はこのほかにも5台、計7台も参加していた。
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1957年「マセラティ200SI」。ギアドライブのDOHC、ダブルイグニッションの2リッター直4エンジンを積んだレーシングスポーツを駆るのは、クラシックイベントではおなじみのタレントの堺正章氏。
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1957年「フォード・サンダーバード」。全長4.5m弱、全幅1.8m弱とアメリカ車としては小型なことから、通称ベビー・サンダーと呼ばれる初代サンダーバード。
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前後バンパーを外し、ドライバーの後方にはフェアリングを装着し、ウインドシールドも左右別体式のレーシングスクリーンに替えるなど、コンペティション風にモディファイされた1958年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー」。当然ながら、ソフトトップなど真っ先に取り払われてしまっている……。
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事情により、エントリーリストにあった「メルセデス・ベンツ190SL」の代わりに参加した、「イズデラ・インペレーター108i」。ロータリーやディーゼルエンジンを積んだメルセデス・ベンツのコンセプトカー「W111」の開発に関わった元メルセデスのエンジニアが設計したというドイツ産のスーパーカーで、1984年から93年までの生産台数が30台とも10数台ともいわれる希少車。メルセデス用のV8エンジンをミドシップ、この個体は「500SEC」用の5リッターを積んでいる。
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1959年「ロータス17」。有名な「11」の後継モデルで、ロータス最後のFRのレーシングスポーツ。この頃から急に雨脚が強くなり、後ろの景色が煙っている。
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1959年「フィアット・アバルト750GTザガート」。ダブルバブルと呼ばれる2つのコブが盛り上がったルーフが特徴的な、「フィアット600」をベースにしたモデル。大きな雨粒が写りこんでいるのがおわかりだろうか。
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参加車両中、最小モデル(250cc)だった1960年「BMWイセッタ」。雨降りはオープンカーでの参加者にはつらいコンディションだが、いっぽうクローズドボディーはウィンドウの曇りに悩まされる。
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上品なグリーンとアイボリーのツートーンで塗られた1962年「ロータス・エリート」。FRPモノコックボディーを採用した、ロータス初のクローズドボディーの市販スポーツカーである。
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スプレンドーレ・シリーズにゲスト参加している、車イスのレーシングドライバーである勅使河原隆弘氏は、今回は1962年「アルファ・ロメオ・ジュリアスーパー」を駆った。
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1964年「ホンダS500」。今から50年前の63年に市販開始された、ホンダ初の市販乗用車。もう1台、黒いボディーの個体も参加していた。
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新車当時からの「品川3」ナンバーを付けた1965年「メルセデス・ベンツ220SEbクーペ」。ほんのりともるスモールランプとフォグランプが、なんともいい雰囲気だ。
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1965年「シボレー・コルベット・スティングレイ・クーペ」。画像のあちこちに見える斑点は、カメラのレンズについてしまった水滴。ご勘弁のほどを。
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1965年「マトラ・ボネ・ジェットV」。世界初の市販ミドシップスポーツであるルネ・ボネ・ジェットの製造元を買収したマトラが、自社名を冠して再リリースしたモデル。
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1967年「シェルビーGT350」。初代「マスタング」をベースに、昨年亡くなったキャロル・シェルビーが率いていたシェルビー・アメリカンが手を入れたハイパフォーマンスモデル。
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1967年「パナール24BT」。パナール最後のモデルで、当時としては空力的なボディーは全長4.2m以上、全幅1.6m以上あるが、エンジンはわずか848ccの空冷フラットツイン。
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1972年「トヨタ・クラウン・ハードトップ2600スーパーサルーン」。オーナーいわく「スバル360」でエントリーしていたが、当日の天候から360cc軽では厳しいと判断してこれに代えたという。