旧車の祭典「ノスタルジック2デイズ」の会場から
2014.02.25 画像・写真2014年2月22日、23日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、『ノスタルジックヒーロー』をはじめとする旧車専門誌のプロデュースによるイベント「ノスタルジック2デイズ」が開かれた。「日本最大級の旧車トレードショー」とうたったこのイベントは、実車をはじめパーツやモデルカー、オートモビリア(クルマ趣味の小物)などのショップによる展示即売会である。そのほか誌面を飾った車両やメーカーの所蔵車両なども特別展示されたが、今回の最大の呼び物は、昨秋の東京モーターショーに「ホンダS660」と並んで出展された「ホンダ・スポーツ360」の復刻モデルの展示、ならびに復刻プロジェクトの関係者によるトークショーだった。さらに1980年代から2000年代までF1を撮り続けたレースカメラマンの原 富治雄氏やクレイジーケンバンドの横山 剣氏のトークショーなどプログラムは盛りだくさんで、2日間で1万9000人以上の来場者を集めた。会場の様子を、出展車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)

会場内に足を踏み入れた来場者を迎えるのは、過去に『ノスタルジックヒーロー』の表紙を飾ったクルマたち。手前から1970年「ブルーバード1600SSSクーペ」、65年「スバル360」、71年「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」、69年「トヨタ2000GT」などが並んでいた。
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会場内に足を踏み入れた来場者を迎えるのは、過去に『ノスタルジックヒーロー』の表紙を飾ったクルマたち。手前から1970年「ブルーバード1600SSSクーペ」、65年「スバル360」、71年「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」、69年「トヨタ2000GT」などが並んでいた。
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去る1月の東京オートサロンでデビューした、エンジンスワップによる旧車のアップデートを得意とするロッキーオートが製作した「平成版ケンメリGT-R」。見た目はケンメリこと4代目「スカイライン」の「ハードトップ2000GT-R」だが、中身は7代目R32スカイライン。ボディーパネルはロッキー・オリジナルのFRP製で、ウィンドウガラスやほとんどの外装部品はケンメリ用を流用している。
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「平成版ケンメリGT-R」のパワートレインは当然ながらR32用で、この個体のエンジンはGT-R用のRB26DETTをノンターボ化し、FCRキャブレターを装着したもの。エンジンはRB系ならなんでもOK、トランスミッションはMTないしATで、アテーサ4WDも選べるという。
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COMMON SNAPPERが出展していた型式名510こと3代目「ブルーバード」のクーペは、「ホンダS2000」用のF20C型エンジンを積んでいた。日産のCA型やSR型に換装された例は見た記憶があるが、ホンダエンジン搭載車は初めて見た。
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エンジンスワップをもう一例紹介しよう。「快適に普段乗りができる旧車」を提案しているアンリミテッドが製作中の1960年代の「メルセデス・ベンツ250SEクーペ」は、10代目「トヨタ・クラウン」(JZS155)用の2JZ型3リッター直6エンジンを搭載。トランスミッションもクラウン用のATである。
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特別展示された、往年のサファリラリーで総合優勝を飾った日産のワークス・ラリーカー。手前から1981年「バイオレットGT」(79年から3連覇)、70年「ブルーバード1600SSS」(初の総合優勝)、そして71年「フェアレディ240Z」(2位も240Z)。
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これも特別展示された1938年「ダットサン17型セダン」とそのベアシャシー。エンジンは直4サイドバルブ722ccで、最高出力16ps/3600rpm、最大トルク3.8kgm/2000rpmを発生した。
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東京オリンピック開催決定を記念して特別展示された、1964年の東京オリンピックの際にJOC(日本オリンピック委員会)の公用車として提供されたヒストリーを持つ「プリンス・グロリア・デラックス」。ボディーは塗り直されており、ステッカーも複製されたものだが、カタログにはないソリッドのライトブルーというボディーカラーは本来の色合いに合わせたという。
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このイベントではおなじみの型式名F31こと2代目「日産レパード」専門店のカーショップフレンドのブース。今回は7台を展示したが、うち最高価格の1986年「アルティマ」は、フルレストア済みで682万円! 次いで高かった525万円の88年「XS-II GS」には「売約済」の文字が掲げられていた。
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「F31レパード」をベースにオーテック・ジャパンが開発、イタリアのカロッツェリア・ザガートがデザインと製作を担当した1989年「オーテック・ザガート・ステルビオ」。それもシャシーナンバー1番という希少車である。バブル期とあって新車価格は1870万円もしたが、四半世紀たった売値は1/10以下の168万円。出展していたオートサークルに「意外に安いですね?」と尋ねたところ、「アルファ・ロメオSZ(ES30)用のフロントシートをはじめ、オリジナルじゃないところがいくつかあるので……」とのことだった。
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「ランドクルーザー」と「R30スカイライン」を得意とするユーティリタスが展示していた通称“鉄仮面”と呼ばれる6代目R30スカイラインの「RS-Xターボ」。右の1983年RS-Xターボは359万円、左のインタークーラーが装着された84年式RS-XターボCは399万円という立派な値段が付けられていた。
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プリンスおよび日産旧車、特に商用車と部品に強いバラクーダが展示していた1971年「日産セドリック・バン」。「グロリア」と双子車になった型式名230こと3代目セドリックのバンだが、まるで新車のように仕上げられている。
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ISUZU SPORTSが出展していた、ワンオーナーで未再生という1982年「いすゞ・ピアッツァ」。エンジンがSOHCでスチールホイールを履いているところから、グレードは「XJ」か「XL」だろうか。
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サスペンション専門メーカーのテインのブースに飾られていた、これまた新車のように美しい「ランサーEX 1800GSRターボ」のラリーアート仕様。通称“ランタボ”と呼ばれる「ランエボ」の先祖だが、基本モデルのスタイリングはイタリアのフィッソーレの手になる。
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Auto Shop TAKEEY'sのブースに並んでいた1966年「ポンティアックGTO」。インターミディエート(中間サイズ)のボディーに389立方インチ(6.4リッター)のV8エンジンを積んだ、いわゆるマッスルカーを代表するモデルのひとつ。
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GALLERIA SCALAが展示していた1963年「シボレー・コルベット・スティングレイ」。C2と呼ばれる2代目コルベットのクーペでも、スプリット(左右分割)のリアウィンドウを持つのはデビューした63年のモデルのみである。
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BABY COBRA JAPANは、オリジナルのデザイナーであるピート・ブロックのお墨付きという「シェルビー・デイトナ」のレプリカを展示。シャシーはC4「コルベット」から流用、パワートレインはコルベット用の350立方インチ(5.7リッター)のV8とATの組み合わせ。
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今回の目玉企画である、「ホンダ・スポーツ360」の復刻モデルが自走で会場内に登場したシーン。スポーツ360は1962年の全日本自動車ショウ(東京モーターショー)に出展されたものの市販化はされず、プロトタイプも残されていない“伝説の軽スポーツカー”だった。
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「ホンダ・スポーツ360」をドライブしてきた復元プロジェクトの担当者に、司会者がインタビュー。彼らとの比較から、スポーツ360がいかにコンパクトかがおわかりいただけるだろう。この後、ステージ上では復刻プロジェクトに関するトークショーが行われた。
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「ホンダ・スポーツ360」のインパネ。クルマの周囲にチェーンが張られてはいたものの、壇上に展示されていた東京モーターショーよりは見やすく、熱心に眺める来場者が後を絶たなかった。
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ロータリーエンジン搭載車のエキスパートであるガレージスターフィールドが展示していた「マツダ・カペラ・ロータリー」。1970年にデビューした初代カペラ・ロータリーの初期型だが、クーペはともかくセダンは非常に珍しい。
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今回のサプライズ。1980年代半ば、もっとも過激なグループS規定(実現せずに消滅)でのWRC参戦をもくろんで、マツダが2代目「サバンナRX-7」(FC3S)をベースに試作した幻のモンスターマシン。スペースフレームのシャシーのフロントミドに3ローターのロータリーエンジンを搭載、駆動方式はトルクスプリット式4WDで、4WSも組み込まれていた。ボディーはFRP製で、前後オーバーハングは極端に切り詰められている。
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2台作られ、現存はこれ1台というモンスターの後ろ姿。グループS規定が消滅して出番がなくなり、社内でのテストの役割を終えた後に解体される運命にあったが、どういうわけか生き延びてしまい、現在は個人オーナーのもとにある。ファンからすれば「よくぞ残してくれました」だが、メーカーの立場からすると「存在していてほしくない存在」かもしれない。
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エンジンは1986年のルマンなどに参戦した、ミドシップのプロトタイプレーシングである「マツダ757」と基本的に同じ、654cc×3ローターの13G型。ノンターボのペリフェラルポートで、最高出力450ps/8500rpm、最大トルク40.0kgm/8000rpmを発生するという。サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで、ツインダンパーを備える。
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コックピット。シフトレバーの脇に生えたもう一本のレバーで、4WDの前後のトルク配分を調整する。