「上海モーターショー2017」の会場より
2017.04.24 画像・写真中国市場は世界最大だ。そしてモーターショー会場も、広さだけなら、文句なしで世界最大である。
上海モーターショーの会場となるナショナル・エキシビション&コンベンションセンターは、記憶にある限り、リポーターが50年の人生で見た最も巨大な建物である。9階建てに相当するような高さの2層構造で、中央の広場から放射線状に8つのホールが配置される。8つのホールは2棟ずつ4組となっているため、上空からは四つ葉のクローバーのように見える。ちなみに2つが1組になったホールだけで、東京ビッグサイトの東棟相当。それが4枚あるだけでなく2層構造、つまり、“さらに倍”(!)となっているのだ。
そこに日本と欧米だけでなく、中国独自のメーカーも加わって、ぎっしりとクルマを並べるのだ。グルリとブースを見て回ったプレスデー2日目は、スマートフォンの歩数計機能を見ると、移動距離は18.1kmにも達していた。見るだけでもぐったり。
しかも、主要な自動車ブランドのプレスカンファレンスはプレスデー初日の午前中で終わってしまう。ホールごとに同時並行でプレスカンファレンスが実施されるため、1組の取材陣ではすべてをチェックすることが不可能なのだ。さらにプレスリリースは中国語オンリーが大多数。現地スタッフには日本語どころか、片言の英語さえ通じない。取材記者としていえば、中国ほど過酷なモーターショー取材はない。そんな汗(実際、上海は南都と呼ばれるように暖かい)と涙のフォトリポートをご覧あれ。
(文と写真=鈴木ケンイチ)
-
1/32上海モーターショーの会場の外観。奥の背の高い建物が展示ブース(……の一角の一部)で、手前の自動車メーカーのロゴがある建物がエントランスとなる。
-
2/32会場全体の鳥瞰(ちょうかん)図。クローバーの葉のような部分が展示ホールとなる。葉の1枚が2ホール×2層構造なので、全部で16ホールの計算となる。今回は1階の8つのホールと2階の5つのホール、計13ホールでの開催となった。
-
3/32街のあちこちで見かけたのが自転車のシェアリング。車両1台ずつにQRコードがあり、決済などはスマートフォンのアプリで行っていた。
-
4/322年前は見かけなかったのだが、バイク用の防寒具としてドテラ(?)のようなアイテムがはやっていた。ちなみにバイクは、ほとんどが電動。シャーっと音もなく疾走している。
-
5/32通常のガソリン車のナンバーは青色。緑色のものは、プラグインハイブリッド車や電気自動車といった環境車である。街頭に立っていると、2~3分に1台くらいの感じで見かけられた。
-
6/32上海ではテスラの「モデルX」を何度か見かけた。写真の車両はナンバーなし。新車のようだ。ほかに見かけたテスラは、環境車の証しである緑のナンバーを装着していた。
-
7/32フォルクスワーゲンはプレスカンファレンスで、コンセプトカーの「I.D.CROZZ(クロス)」に加えて、ステーションワゴンをベースとしたクロスオーバー車の「C-TREK」を発表。「ボーラ」がベースとなっている。
-
8/32アウディ スポーツのプレスカンファレンスでは、2台のレーシングマシンが紹介された。「RS3 LMS」と「R8 LMS」だ。スピーチするはCEOのステファン・ヴィンケルマン氏。
-
9/32トヨタブースの一角に作られた歴史コーナー。初代「クラウン」や古い「カローラ」から始まり、昨年(2016年)発表の「レビン/トレノ」まで続く、トヨタの歴史が紹介されていた。
-
10/32中国メーカーであるCHANGANのコンセプトカー。外資と提携していないメーカーでも、モックアップであれば、海外のブランドと比べても遜色のない、洗練されたモデルを作ることができる。
-
11/32スバルのブースに飾られた「XV」のラリーカー。こうした本物の競技車両を展示するブースは、ほかにもチラホラと存在していた。自動車競技も少しずつ盛り上がってきているのだろう。
-
12/32フォードブースのVR(バーチャルリアリティー)アトラクションの様子。フォードはほかにもたくさんのVRアトラクションを用意しており、その内容は今年(2017年)1月のデトロイトよりも大がかりになっていた。
-
13/32ホンダのプレスカンファレンスには、日本から八郷社長が駆けつけた。社長の横にあるのは、AI機能を搭載した自動運転コミューターのコンセプトモデルである「NeuV(ニューヴィー)」だ。
-
14/32世界最大級の自動車用シートメーカーであるアディエントは、自動運転技術搭載車用のシートを提案。通常運転中と自動運転中で、シート形状が変化するのが特徴だ。
-
15/32ベントレーブースに飾られていたのは電気自動車のコンセプトモデルである「EXP 12スピード 6e」。今年(2017年)3月のジュネーブで発表されたモデルだ。ラグジュアリーとスポーティーを融合させたEVとうたわれている。
-
16/32MINIがワールドプレミアさせたのは、「ジョンクーパーワークス カントリーマン」。日本でいう「MINIクロスオーバー」のハイパフォーマンスモデルである。
-
17/32今回のショーでも、「レンジローバー イヴォーク」のそっくりカーである「ランドウインドX7」は健在。クルマを磨く美人コンパニオンをはべらせるという、お色気方向の演出であった。
-
18/322017年春から北米で販売が開始されるという、「キャデラックCT6プラグインハイブリッド」も上海に上陸。北米より、むしろ中国がメインターゲットではないだろうか。
-
19/32BYDのブースに飾られたレーシングマシン。リチウムイオン電池やIT系の企業を抱えるBYDグループは、電気自動車やハイブリッド車が得意。写真のSUV「唐」は同社の主力モデルである。
-
20/32日産ブースで実施されていたVRアトラクション。ヘッドセットを装着した状態で床から風を受けることで、まるで空を飛んでいるような感覚を味わうことができる。
-
21/32日産のVRアトラクションを待つ人たち。座っているのは「プロパイロット」技術を使った、自動で移動するチェアだ。順番待ちの人を乗せて、チェアが自動でグルグル動いていた。
-
22/32ルノーのブースに飾られていたコンセプトカー「R.S.2027ヴィジョン」。2027年のF1マシンを想定しているという。パワープラントはエンジンとモーターのハイブリッドだ。
-
23/32プジョーのブースに飾られた、自動運転車のコンセプトモデル「プジョーINSTINCTコンセプト」。4座のシューティングブレークで300psのプラグインハイブリッドシステムを搭載する。
-
24/32今回の上海ショーで一番のパクリカーが、ZOTYEの「SR9」。まごうことなき「ポルシェ・マカン」のそっくりさんだ。ただし、エンジンは2リッターの「4G63T」を搭載。
-
25/32メルセデス・ベンツは「Sクラス」のマイナーチェンジモデルを上海で発表。通常モデルだけでなく、マイバッハとAMGモデルも同時にお披露目した。外観だけでなく、運転支援機能も進化しているという。
-
26/32上海モーターショーの名物はプラカードを持った公安(治安維持の警官)。プラカードには「荷物に注意」と書かれている。このほかにも、会場には非常に多くの公安が配置されている。
-
27/32広い会場内では、パーソナルモビリティーを利用する人の姿もチラホラ。日本では規制の問題もあってなかなか実用化されないが、中国ではすでに普及が始まっているのだ。
-
28/32クルマの横に立つ美しい女性は説明員。よく見れば、みな手に資料を持っている。露出過多のコンパニオン然とした女性は、ほとんどいないのが今年の上海ショーであった。
-
29/32ビュイックのブースで発見した、今回の数少ないコンパニオン。同ブランドのSNS(中国の宇井チャット)アカウントと友達になり、写真をアップするとシールをもらえるというサービスを行っていた。
-
30/32中国で最も権威あるブランドといえば、国家指導者の乗車する「紅旗」。その最新のコンセプトモデルは、トレンドにそったモダンなSUVだった。一般人向けに販売されればヒット間違いなしか!?
-
31/32厳(いか)めしいルックスは機能のため。こちらはなんと北京自動車の防弾仕様車で、銃弾から乗員を守るため、高密度の鋼板が貼り付けられている。特注で、価格は68万元~。日本円で800万円以上する。
-
32/32今回の上海ショーでは、スマートフォンで会場の様子をライブ中継している女性をあちこちで見かけた。日本で言うユーチューバーのような女性が、けっこういるのだ。