名門オークションから啖呵売まで! 大矢アキオ ロレンツォの「レトロモビル2024」
2024.02.08 画像・写真2024年1月31日から2月4日まで、フランス・パリで開催されたヒストリックカーショー「レトロモビル」。その会場からハイライトをお届けする。
シトロエン、プジョーなどステランティス系ブランドの不参加という事態にもかかわらず、連日閉館時刻まで盛況だったのは、この国における古典車ファンの層の厚さを裏づけた。同時に、会期中に開催されるアールキュリアル社のオークションのカタログには、1980年代の「プジョー205GTI」も含まれており、こちらはヒストリックカーという定義の変容を感じさせた。
部品商の出展もにぎわいを見せていた。ひときわ人だかりができているスタンドがあったのでのぞくと、日本のテレビ通販でもよく見られる「キズ補修ペン」の即売であった。ドライバーでボディーパーツに傷をつけては、商品を塗りつけてみせている。「通常価格◯ユーロのところ、今日は△ユーロ!」という締めの直後、何人もがユーロ札と引き換えに商品を入手していた。自動車界を問わず、この地で珍しい啖呵売(たんかばい)は、それなりの効果があるとみた。
(文と写真=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA>/編集=堀田剛資)
◇◆こちらの記事も読まれています◆◇
-
1/22アールキュリアル社のオークションに出品された、1984年「プジョー205GTI 1.6リッター」。走行たった3万3000km。超オリジナルコンディションで、3万0992ユーロ(約494万円、税・手数料込み)で落札された。
-
2/22「レトロモビル」は2023年に引き続き、ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場のパビリオン3館をつなげて開催された。これは1号館を俯瞰(ふかん)した様子。
-
3/22フォルクスワーゲンは今年で50周年を迎える「ゴルフ」の歴代モデルとともに、ブラジル工場で2013年に生産された「T2」の「ラストエディション」(写真右奥)を展示した。空冷リアエンジンゆえ、フロントのグリルはラジエーター用ではない。
-
4/22ポルシェは1973年のパリモーターショーにおける「911ターボ プロトタイプ」の公開にちなんで、“ターボの50年”を祝った。1975年「930ターボ」(写真左奥)と1977年「935ターボ」(同右手前)がブース中央に据えられていた。
-
5/22ルノーは歴代スピード記録車と往年の自社製航空機レプリカを展示することで、先駆の精神を強調した。手前の1956年「エトワールフィラント(流星)」は、最高出力270PSのガスタービンエンジン搭載車。
-
6/22こちらもルノーのブースで。1920~1930年代のルノー製スピード記録車をイメージした電気自動車(EV)「ミュート・ザ・ホットロッド」。2023年のルマン・クラシックで披露された。
-
7/22メルセデス・ベンツは「300SL」の70周年を特集した。これは中間プロトタイプといえる1953年の通称“ホーべル”。Hobelとはドイツ語で大工が用いるカンナの意味である。
-
8/22今日では中国のSAIC(上海汽車集団)の傘下にある「MG」。そのフランス法人は、ブランド創立100年を歴代モデルで祝った。手前はグループBラリー用に少量生産された1985年「メトロ6R4」。
-
9/22フォルクスワーゲングループでチェコを本拠とするシュコダのブースで。「ヴァルタヴィア」は、かつてブランドにおけるベストセラーだった1969年「オクタヴィア コンビ」をもとにEV化した2023年のコンセプトカー。
-
10/22ダカールラリーの企画展示から。「シトロエンDSブレーク」を70cm短縮して製作したピックアップトラック仕様。1980~1981年に出場した。
-
11/22会期2日目、ダカールラリーの思い出を語るジャッキー・イクス氏。「エゴイストでなければならなかった」と同時に「すべての規律を熟知している必要があった」との言葉に、ドライバーとしての深い精神性をうかがわせた。
-
12/222024年は二輪車の展示の充実も図られた。1968年「ヤマハ100 YL1」は、走行わずか4760kmで4700ユーロ(75万円)。
-
13/22ある英国車専門ショップのブースで。1963~1974年に存在したMINIカスタマイズ工房、ラドフォードによる1970年「ドヴィル・クーパーS」。
-
14/22「一口3.9ユーロ(約620円)でクジを買ってもらい、総額が一定に達すると、抽選で『ルノー・フエゴ』が当たる」という企画。この業者は、すでに同じ方法で「メルセデス・ベンツ190E」や「ホンダCR-Xデルソル」などを景品にし、当選者の手に渡しているという。
-
15/22米国を発祥とするモス・ヨーロッパは、もともと英国車の部品ショップ。近年は唯一の例外として「マツダMX-5」(日本名:マツダ・ロードスター)のパーツも扱っている。「ブリティッシュ・ライトウェイトとミアータには共通のファンが少なくないため」と、ウィリアム氏(写真左)は説明する。
-
16/22取材中の筆者。背後には「フィアット・ヌオーヴァ500」と「MINI」のショップが。現行モデルが売れれば売れるほど、こうしたオリジナルの人気も上昇する。
-
17/22以下3点は、恒例「2万5千ユーロ(約400万円)以下の自動車即売コーナー」から。今回は低走行距離をアピールする個体が目立った。「ルノー21TXE」は走行3600kmで1万2900ユーロ(約205万円)。
-
18/221988年「シトロエンAX」は、なんと走行51km。1万4900ユーロ(約238万円)をどう捉えるかは、人それぞれだろう。
-
19/22もはや本国でも希少な1985年「ポンティアック・フィエロ」は1万4850ユーロ(約237万円)。ベルギーの業者が出展していた。
-
20/22電気ケーブル類の専門店。その光景は、かつての秋葉原ラジオ会館をほうふつとさせる。
-
21/22ボディー補修用ペンの実演販売。こうした売り方が珍しいこともあり、意外にも多くの来場者が吸い寄せられていた。
-
22/222023年とは異なり、シトロエンの各愛好会は自主参加となった。しかし、ノクターン(夜間開館日)における盛り上がりは通常どおり。筆者を安堵(あんど)させた。これはSMクラブ・ド・フランスの皆さん。左手前は名物会長のフラルー氏。