モデルカーの新製品がずらり! 「第52回全日本模型ホビーショー」
2012.10.12 画像・写真日本プラモデル工業協同組合主催の毎年恒例のイベント「第52回全日本模型ホビーショー」が、2012年10月11日に千葉・幕張メッセで幕を開けた。ショーの開催規模は残念ながら年々縮小していくようで、今回は出展を中止したと思われるなじみのブランドもいくつかあった。とはいうものの、まるで開催規模と反比例するように、並んでいるモデルカーはますます“先鋭化”しており、ひととおり取材を終えたときには、これまでどおり、おなかいっぱいになっていた。そんな会場から、プラモデルとミニカーの新製品を中心にリポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。なお、一般公開は10月13日(土)と14日(日)で、開催時間は9:30〜17:00(14日は16:30)。会場は幕張メッセの9ホールで、入場料は1000円(中学生以下無料)である。(文と写真=沼田 亨)

幕張メッセ9ホールの会場全景。
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幕張メッセ9ホールの会場全景。
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毎回同じことを記しているが、創業以来ハイペースで、しかもマニアックな製品をリリースし続けているミニカーメーカーのエブロ。今回もこれでもかとばかりに並べられたニューモデルのなかで、個人的にもっともシビれたのがコレ。1962年の全日本自動車ショウ(東京モーターショー)に出展された「パブリカ・スポーツ」。65年に発売される通称ヨタハチこと「トヨタ・スポーツ800」のプロトタイプで、ドアはなく、乗降は戦闘機のようにキャノピーを後方にスライドさせて行う。モデルの出来はすばらしいが、特に仮ナンバーの表現には感涙。1/43のレジン製、2013年2月発売予定で価格は6090円(以下断りのない場合、価格はすべて税込み)。
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しばらくエブロ製品が続くが、この不思議な一つ目小僧は「フジキャビン」。1955年に富士自動車(富士重工業とは無関係)がリリースした、日本初のFRPモノコックボディーを持つ前二輪、後ろ一輪のキャビンスクーターである。実車の生産台数は85台と言われる。現存車両はごくわずかで、バブルカーマニアの垂ぜんの的だが、これなら6090円さえ出せば誰でも入手可能。レジン製で発売予定は2013年1月。
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1954年にデビューした「トヨペット・ライトトラックSKB」。後に「トヨエース」のペットネームが付けられ、「トラックの国民車」と呼ばれたヒット作だが、これはおいしいシューマイ、もといシウマイの崎陽軒で実際に使われていたバンをモデル化したもの。ダイキャスト製、2012年11月発売予定で価格は5040円。
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スポーツカー、レーシングカーの新作もいっぱい。これは「フィアット・アバルト1000ビアルベロ」。1965年に船橋サーキットで開かれた、浮谷東次郎の「トヨタ・スポーツ800」と生沢徹の「ホンダS600」の名勝負が語り継がれる「全日本自動車クラブ選手権レース大会」で、トップを快走するもエンジントラブルでリタイアしたマシン。レジン製、2012年10月発売予定で価格は7140円。
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1967年の第4回日本グランプリにエントリーしたものの、惜しくも予選基準タイムを上回れず決勝出走はならなかった「ダイハツP5」。1.3リッターツインカムをミドシップしたプロトタイプスポーツで、翌68年のグランプリでは総合10位、クラス優勝して雪辱をはらした。ダイハツもこんなマシンを作っていたことがあるのだ。レジン製、2012年12月発売予定で価格は7140円。
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さらにマニアックな「ホンダR-1300」。ホンダの国内モータースポーツを統括していた「RSC」(レーシング・サービス・クラブ、後にレーシング・サービス・センターに改称、現在のHRCの前身)で作られ、1969年の鈴鹿1000kmに出走したマシンをモデル化したもの。「ホンダ1300」用のDDAC(二重空冷)という特異な空冷エンジンを横向きにミドシップしている。レジン製、2012年11月発売予定で価格は7140円。
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才能と環境に恵まれ、若くしてアメリカのカンナムやヨーロッパF2に参戦、将来を嘱望されたレーシングドライバーだった風戸裕。1974年の富士グランチャンピオンレース第2戦で起きた多重事故により25歳の若さで他界するが、その最後のレースで駆った「シェブロンB26 BMW」。特徴的なロングテールが巧みに表現されている。レジン製で、発売時期・価格ともに未定。
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これも非運のマシン。空冷エンジンに固執していた本田宗一郎の肝いりで造られた、冷却ファンがない自然通気の空冷V8という特殊なエンジンを積んだ「ホンダRA302」。1968年のF1フランスGPに、フランス人ドライバーのジョー・シュレッサーのドライブでスポット参戦したが、クラッシュして炎上、シュレッサーは死亡。以後二度と実戦を走らなかった。レジン製、2012年10月発売予定で価格は7560円。
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これまで紹介したモデルはすべてミニカーの国際スケールである1/43のレジンまたはダイキャスト製だが、これは1/24のプラスチック製で組み立て式……つまりプラモデルである。エブロは今年から「ロータス72C」でプラモ業界にも参入を果たしたのだが、これは新製品の「ロータス49」。1967年のF1オランダGPに、これまた実戦初投入だったフォード・コスワースDFVを積んで参戦、ジム・クラークのドライブで見事デビューウィンを飾ったモデルである。6090円で近日発売予定。
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業界の盟主であるタミヤの新作は、1/20グランプリコレクションの「レッドブル・ルノーRB6」。2010年にセバスチャン・ベッテルが自身初、そして歴代最年少の若さでF1ドライバーズタイトルを、レッドブルとしても初のドライバーズ、コンストラクターズのダブルタイトルを獲得したチャンピオンマシン。抜群の速さをもたらしたFダクトなども再現されており、マーク・ウェバー仕様のパーツやデカールも付属。2012年11月発売予定で価格は5670円。
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ディテールアップのためのエッチングパーツとシートベルトを新たに付属してスポット生産(再販)される1/12ビッグスケールシリーズの「ヤードレー・マクラーレンM23」。化粧品メーカーであるヤードレーのスポンサーを得て、1974年にマクラーレンに初のコンストラクターズタイトルをもたらしたマシンである。2012年12月発売予定で価格は9660円。
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1/12オートバイシリーズの新製品は、1984年のロードレース世界選手権でフレディ・スペンサーが駆った「ホンダNSR500」。水冷2ストロークV4エンジンの上にチャンバー、下に燃料タンクを配した独特のレイアウトを忠実に再現している。2012年12月発売予定で価格は4200円。
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時ならぬHY戦争勃発? タミヤがNSRなら、ウチはYZRで、というわけでもないだろうが、ハセガワからは1988年のロードレース世界選手権で、エディ・ローソンが自身3度目の王座を獲得した1/12「ヤマハYZR500(OW98)」が新製品としてリリースされた。2012年10月発売予定で価格は4410円。
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ロボットやメカものの専門メーカーである「やまと」から、サプライズ的にリリースされた1/6ミュージアムモデルの「カワサキZ1」。1972年に登場した、通称「火の玉タンク」の最初期型である。写真では伝わりにくいが、リアルな仕上がりは半端ではなかった。それだけにお値段も立派で、完成品で9万3240円(2013年1月発売予定)。完成品とはいえ、すべてボルトとナットでバラすことができるというので、「ではキット販売は?」と尋ねたところ「考えてはいるんですが、なにしろ組み立て式のチェーンまで含めるとパーツが1000点以上あるので、インストラクションがすごいことになっちゃうんですよ」とのこと。黒タンクに集合管の「岩城仕様」(岩城滉一が暴走族映画で乗った「Z2」)っぽいカスタム仕様も展示されていた。
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トミカと同じ1/64スケールで、マニアックな国産旧車をリリースしているトミカリミテッドヴィンテージ。これは派手なカースタントで熱烈なファンが存在するTVドラマ『西部警察』の劇用車をモデルにした、型式名から「430」と呼ばれる5代目「日産セドリック」の白黒パトカーと覆面パトカー。白黒パトカーのこだわりのポイントのひとつが、赤色灯の取り付け方法というのだが……。なお、発売予定は2013年で価格は未定。
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ブースに展示されていた『西部警察』マニアが仕立てた劇用パトカーレプリカを見ると、こだわりのポイントがわかるという。なんでもホンモノのパトカーの赤色灯がルーフにじか付けされているのに対して、劇用車ではルーフラックの金具に取り付けられているというのだ。そう聞いてモデルを見ると、たしかにそうなっている。マニアにしかわからないこだわり……個人的な趣味のベクトルは異なるが、その心情にはいたく共感する。
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これもトミカリミテッドヴィンテージの新製品で、初代「三菱コルト・ギャラン」と通称ハコスカこと3代目「日産スカイライン・バン」を使った往年のTBSラジオのラジオカー。もちろん車種選定やカラーリングは、局から提供された資料に沿っている。もしかしたら、かつては毒蝮三太夫らも乗っていたのだろうか? などと想像が膨らむ。2013年3月発売予定で価格は未定。
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こちらは文化放送の「トヨタ・ランドクルーザー50系」。このほか文化放送のラジオカーには「三菱コルト・ギャラン」と「日産セドリック(230)」もラインナップ。発売時期、価格とも未定。
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街道レーサーやドレスアップカー、デコトラなどを得意とするアオシマの1/24「スバル・サンバー赤帽仕様」。今はなきイマイからアオシマに金型が引き継がれた、1980年代の「サンバー・ハイルーフ4WD」をベースにしたモデル。2012年10月発売予定で価格は2310円。
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アオシマといえば、やはり外せないのが街道レーサー。1/24グラチャン’89シリーズの「110シルビア」は、正月仕様っぽい屋根ブッタ切りのピンク仕上げ。ワークスオバフェンの無理やり加減が、とてもリアルだ。2012年12月発売予定で価格は3150円。
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1960年代の人気特撮番組『サンダーバード』シリーズのプラモが、現在アオシマからリリースされている。1/32「ペネロープ号」は、60年代にリアルタイムで出ていたイマイ製の初版と同じ、故・小松崎茂画伯によるボックスアートがうれしい。オーナーのペネロープ嬢と運転手のパーカーのフィギュアがないのが、ちょっとさびしいが。2012年10月発売予定で価格は2625円。
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レジン製のミニカーの登場によって、数量の望めないマニアックなモデルも続々と製品化されるようになった。レーヴコレクションからリリースされている1/43「トヨタTOM'Sスターレット」は、1978年に富士マイナーツーリングに参戦していた星野薫のマシンをモデル化したもの。7300円(税別)で発売中だが、80年シーズンの「ADVANスターレット萩原光仕様」も近日発売予定とか。
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これもレーヴコレクションの1/43レジンモデルで、1986年の香港-北京ラリーで2位に入賞したグループB仕様の「三菱スタリオン4WD」。7300円(税別)で近日発売予定。
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1989年に登場した6代目「マツダ・ファミリア」の限定車として、91年にリリースされた「フルタイム4WD1800DOHCターボGT-Ae」。ブランドはイクソ。マイナーなモデルながらダイキャスト製のため価格は4200円(税別)で、2013年1月発売予定。