「ニュルブルクリンク24時間 2013」参戦マシン
2013.05.21 画像・写真世界のGTマシンがしのぎを削る「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」。その2013年大会決勝が5月19-20日に開催された。レースで注目されたマシンを、写真で紹介する。(文と写真=廣本泉)

2013年のニュルブルクリンク24時間レースで幸先の良いスタートを切ったのはアウディ陣営だった。リアウイングの変更で空力性能を高めた「R8 LMS ultra」を武器に、フェニックスレーシングの4号車が好タイムをマーク。1回目の予選こそ21番手に沈むものの、2回目の予選で4番手、上位40台で争われる「トップ40」ではトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。
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2013年のニュルブルクリンク24時間レースで幸先の良いスタートを切ったのはアウディ陣営だった。リアウイングの変更で空力性能を高めた「R8 LMS ultra」を武器に、フェニックスレーシングの4号車が好タイムをマーク。1回目の予選こそ21番手に沈むものの、2回目の予選で4番手、上位40台で争われる「トップ40」ではトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。
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20日(月)がドイツでは祝日にあたることから、2013年大会の決勝は19日の日曜日にスタート。小雨がぱらつくなか、20日のチェッカーを目指してスタート直後から激しいバトルが見られたのだが、ナイトランに入ると、レースは思わぬ展開に……。
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レース序盤で主導権を握ったのが、アストン・マーティン レーシングが投入する7号車の「ヴァンテージGT3」だった。1回目の予選こそ30番手に沈んだものの、V12エンジンのパワーを武器に2回目の予選で7番手、「トップ40」で2番手に浮上。決勝でも安定した走りを披露し、スタートから3時間でトップに浮上した。
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ナイトセッションに入ると激しい雨がコースをぬらす。さらに濃霧にたたられたことから、スタートから約6時間後の22時41分、レースは2007年の大会以来となる赤旗で中断されることに……。その後、翌20日の8時20分、ローリングスタートで再開された。
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予選でニッポン勢のトップに着けたのがシュルツ・モータースポーツの「日産GT-R」だった。GT3マシンとしては初のニュル24時間レースだったが、予選で26位を獲得。しかし、決勝ではレース序盤で冷却系のトラブルにたたられてオーバーヒート、総合136位、SP9クラスの22位にとどまることとなった。
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20日の8時20分にレースが再開されるとアストン・マーティンの7号車を抑えて、フェニックスレーシングの1号車がトップに浮上。しかし、その1号車も独走態勢を築くことはできず、後半で失速。その後も目まぐるしいトップ争いが展開されることとなった。
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今大会で注目を集めたのは「アストン・マーティン ラピードS」だ。こちらは水素ハイブリッドシステムを搭載。6リッターV12ツインターボで燃費性能は低いものの、燃料にガソリンのほか水素も使うことができる。ドライバーのひとり、桂伸一氏によれば「今まで乗ったなかで一番速いマシン」とのことだ。総合115位、E1-XP2クラス1位で完走を果たした。
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SP3Tクラスの3連覇を目指すSTIは、今年も熟成を極めた「WRX STI」を投入。トラブルやミスを許さない完璧なレース運びを見せるものの、レイダー・モータースポーツの「アウディTT RS」を捉えることができないまま、日本勢の最高位となる総合26位、クラス2位でフィニッシュした。
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トヨタの社員で構成されているGAZOO Racingは今年もSP8クラスに「レクサスLFA」をエントリー。細部の熟成を図ることにより、予選ではSP9クラスのGT3マシンを抑えて30位に。決勝でも大きなトラブルに見舞われることなく安定した走りを披露。総合37位、クラス2位で完走した。
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GAZOO Racingのドライバーとして“モリゾウ”こと、豊田章男社長がエントリー。「レクサスLFA」を精力的にドライブした。濃霧と雨の影響でレースが10時間も中断される過酷な大会となったが、落ち着いた走りを見せ、最終ドライバーとしてチェッカーを受ける大役も果たした。
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GAZOO Racingは「レクサスLFA」のほか、2台の「86」をSP3クラスに投入。135号車は2回目の予選でクラッシュを喫し、スタート前にリタイアすることとなったが、もう1台の136号車が安定した走りを披露し、総合64位、クラス2位で完走した。
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ポルシェのセミワークスとして、SP7クラスおよびSP9クラスに「911 GT3 R」を投入するマンタイレーシングも、上位争いを展開。予選では50号車が4位に着け、決勝でも2台そろってポディウム圏内のポジション争いを繰り広げたが、結局勝利には結びつかず、18号車の7位が最高となった。
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今大会にはプジョー陣営が3台の「208GTi」を投入した。小排気量のSP2Tクラスながら、予選から格上のマシンをしのぐ走りを披露した。決勝でも目を見張る走りを見せており、216号車が総合32位、208号車が総合37位、215号車が46位で完走。SP2Tクラスで1-2-3フィニッシュを達成した。
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ニュル24時間レースの魅力はなんといっても豊富な車種バリエーションである。225台がエントリーした今大会にも、日本のレースシーンでは見られない“珍車”がそろった。写真はSP10クラスに参戦した「ロータス・エヴォーラGT4」。他に「ジネッタGT4 G50」も同クラスから出走した。
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ニュル24時間レースの参加チームは、最新モデルで挑むワークスチームのみならず。地元のプライベーターが、旧型モデルでエントリーする。常連の「オペル・マンタ」(写真)のほか、今大会では懐かしの「メルセデス・ベンツ190E 2.5-16」も参戦、数多くのギャラリーの注目を集めていた。
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悪天候で10時間の中断を受けるなど過酷なレースとなった今大会ではメルセデス陣営が躍進。アウディやポルシェなどのライバルが相次いで脱落するなか、ブラック・ファルコンの9号車「メルセデスベンツSLS AMG GT3」が終盤でトップに浮上。初の優勝をきめた。
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目まぐるしくトップが入れ替わるなか安定した走りを披露したのが、BMWスポーツ・トロフィー・チームの「BMW Z4」。予選7位から着実にポジションアップ。2位表彰台を獲得した。
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予選で最速タイムをたたき出したフェニックスレーシングの4号車が、マシントラブルでトップ争いから脱落。同3位に着けたマメロウレーシングの2号車も後退するなど、苦しい展開となったアウディ陣営。フェニックスレーシング1号車の5位(完走)を最上位に、2013年の戦いを終えることとなった。
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激しい雨と10時間の中断が影響したのだろう。スタート時にはギャラリーで埋まっていた名物コーナーも一夜明けるとご覧のとおり。レースが再開したあとも、コーナーやキャンプ場の周辺は寂しい雰囲気のまま。例年とは異なる大会となった。
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ニュル24時間レースは、F3やポルシェカレラカップなどのサポートプログラムも充実している。中でも注目度の高いレースが、ニュル24時間クラシック。写真の「フォード・アングリア」のように、往年のヒストリックカーが勢ぞろい。グランプリコースで激しいバトルを展開していた。