旧車イベント「ノスタルジック2デイズ」の会場から
2012.02.28 画像・写真2012年2月25日、26日、パシフィコ横浜で「ノスタルジック2デイズ」が開かれた。旧車専門誌『ノスタルジックヒーロー』がプロデュースする、今回で4回目を迎えたこのイベントのキャッチフレーズは、「日本最大級の旧車トレードショー」。つまり実車をはじめパーツやモデルカー、オートモビリア(クルマ趣味の小物)などのショップが展示即売を行うというものだ。実績のある専門店が自信を持って展示する商品とあって、会場に並べられた車両はいずれも素晴らしいコンディション。それだけにお値段のほうもなかなか立派で、いろいろな意味で興味深かった。
そのほか、かつてサーキットを沸かせたレーシングカーや表紙を飾った車両の特別展示、往年のワークスドライバーのトークショーなどのプログラムが用意されていた。その会場から、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

「KY910 ブルーバード・スーパーシルエット」。1980年代前半に通称「シルエットフォーミュラ」ことグループ5のマシンで争われた「富士スーパーシルエットシリーズ」。そこで大活躍したのが、長谷見昌弘の「トミカ・スカイライン」、星野一義の「ニチラ・シルビア」、そして柳田春人の「コカ・コーラ/オートバックス・ブルーバード」の日産トリオ。今回はこのうちスカイラインと、これまでほとんどイベントに姿を現さなかったブルーバード(写真)が特別展示された。鋼管スペースフレームにアルミパネルをリベット留めしたセミモノコックシャシーに、570psを発生する2.1リッター直4DOHCのターボユニットを搭載、「910ブルーバード・クーペ」風のFRP製ボディーカウルをかぶせている。
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「KY910 ブルーバード・スーパーシルエット」。1980年代前半に通称「シルエットフォーミュラ」ことグループ5のマシンで争われた「富士スーパーシルエットシリーズ」。そこで大活躍したのが、長谷見昌弘の「トミカ・スカイライン」、星野一義の「ニチラ・シルビア」、そして柳田春人の「コカ・コーラ/オートバックス・ブルーバード」の日産トリオ。今回はこのうちスカイラインと、これまでほとんどイベントに姿を現さなかったブルーバード(写真)が特別展示された。鋼管スペースフレームにアルミパネルをリベット留めしたセミモノコックシャシーに、570psを発生する2.1リッター直4DOHCのターボユニットを搭載、「910ブルーバード・クーペ」風のFRP製ボディーカウルをかぶせている。
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左から特別展示された「トヨタ7ターボ」と「トヨタ2000GTスピードトライアル(レプリカ)」。「トヨタ7ターボ」は、1960年代の日本グランプリで日産(プリンス)に勝てなかったトヨタが、70年のグランプリに向け雪辱を期して作り上げた国産初のターボマシン。V8DOHC5リッターエンジンは、ギャレット・エアリサーチ製のターボを2基装着して、当時としては驚異的な最高出力800psをうたった。しかし70年のグランプリが中止されたため、実戦参加は幻に終わったモンスターである。
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1962年「プリンス・スカイラインスポーツ・クーペ」。「ノスタルジックヒーロー」の読者から公募したなかから10台を展示した、「選ばれし10台」のうちの1台。初代「スカイライン」のシャシーに、イタリアのミケロッティが手がけたボディーを架装した、国産初のイタリアン・デザイン導入モデル。クーペ、コンバーチブル合わせて生産台数60台という希少車で、ツリ目のヘッドライトが印象的。「選ばれし10台」は、会場内を半周した後にオーナーがインタビューを受け、それから所定の位置に展示された。
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荷台には屋号がうっすらと残り、いい感じにヤレた1962年「ダイハツ・ミゼットMP5」。これも「選ばれし10台」の1台だが、インタビューを受けているオーナーは左端のミニスカ女子。なんでも映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を見てひとめぼれし、手に入れたそうな。そういえば20年ほど前に映画『稲村ジェーン』がヒットしたときにも、「ミゼット」のプチブームがあったっけ。とはいえ実際に女子が乗り回すとは、旧車趣味も多様化したことよ(詠嘆形)。
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1966年「ダットサン・ブルーバード1300ファンシーデラックス」。ピニンファリーナによるフロントからリアにかけてなだらかな弧を描くラインが、日本では「尻下がり」といわれ不評だった、型式名「410」こと2代目「ブルーバード」。「ファンシーデラックス」は、初代「310」時代の61年に登場した日本初の女性仕様車である。この個体は「選ばれし10台」のうちの1台だが、本職のペインターであるオーナーが自ら仕上げたというボディーは、まるで新車のように美しい。写真ではわかりにくいが、ボディーとルーフは微妙に異なるツートンカラーになっている。
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インパネまでアイボリーで統一された「ダットサン・ブルーバード1300ファンシーデラックス」のインテリア。助手席サンバイザー裏の化粧道具入れ、写真では見えないが足元のハイヒールスタンド(運転用のローヒールに履き替えた際にハイヒールを立て掛ける)、ピクニックテーブル、リアおよびリアサイドウィンドウのカーテンといった専用装備が付く。またウインカーの作動音はオルゴールだった。シートカバーおよびクッションはノン・オリジナル。
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「国産 プリンス自動車」や「プリンス優勝」といった往年のメーカー製販促用ノボリのレプリカを立てた「プリンスガレージ かとり」のブースには、「プリンス・スカイライン1500」のノーズを延ばして「グロリア・スーパー6」用の2リッター直6SOHCエンジンを押し込んだ初代「スカG」が2台並んでいた。左はウェーバーのツインチョークキャブを3連装した1965年「スカイライン2000GT」(後に2000GT-Bに改称)。右は2バレルのシングルキャブを備えた廉価版の1966年「スカイライン2000GT-A」。どちらも新車時からのシングルナンバーを付けている。
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1969年「トヨタ・パブリカ1100SL」。この年にフルモデルチェンジした2代目「パブリカ」のホットモデルで、初代「カローラ」のスポーティー版と共通の1.1リッター直4OHVのツインキャブユニットを搭載する。初期型SLの残存車両は珍しく、この個体はレストア済みということで程度も良好だが、お値段も155万円と立派。ちなみに新車価格は49万円だったから、プレミアがついて3倍以上になっているわけだ。ここまで書いて、これの大滝製1/20プラモデル(未組み立て)が自宅のどこかにあることを思い出した。
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1970年にデビューした日産初のFF車である「チェリー」を得意とする、遠く広島からやってきた「竹口自動車」のブース。新車当時の純正オプションだったサイドストライプやカーボン製の特製ボンネットでキメたデモカーの1971年「チェリーX-1」もカッコイイが、これまた当時モノのデッドストックという日産カラー(トリコロール)のディーラー用看板が泣かせる。
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1972年「スバルR-2ハイデラックス」。ダミーのフロントグリルが付いた「R-2」の後期型で、ノンレストアという。つまりは塗装もオリジナルというわけだが、ポルシェでいうところの「バハマイエロー」、日産ならば「サファリブラウン」に近いこんなボディーカラーが「R-2」にあったとは知らなかった。88万円という値段は新車価格(37万円)の2台分以上で、当時ならば初代「トヨタ・セリカ」の最高級グレードである「1600GT」(87万5000円)に匹敵する。現実的には意味のない比較だが、参考までに。
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1976年「マツダ・サバンナAP GT」。「スカイライン2000GT-R」をレースで破った「RX-3」こと初代サバンナの最強グレードの最終型。小柄な車体に12A型ロータリーエンジンを搭載、抜群のコストパフォーマンスで街道レーサーとしても大人気だった。ゆえに乗り潰されたり、いじり壊されてしまった個体が多く、こうしたフルノーマルの状態で残っているのは、大げさにいえば奇跡に近いかもしれない。よって価格も230万円(新車価格108万9000円)となかなか強気。
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1981年「いすゞジェミニ1800LS/G」。DOHCエンジン搭載のホットモデル「ZZ」ならともかく、SOHCエンジン搭載モデルの、この年式およびグレードの残存車両は非常に珍しい。しかも純正オプションのアルミホイールまで履いたフルオリジナルで、コンディションも見たところでは極上。価格は92万円だが、新車価格は119万1000円だった。ちなみに「1800LS/G」は、77年に追加された当初はクーペ専用だったグレードで、国産で初めてヘッドライトウォッシャーを備えていた。
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1984年「トヨタMR2 Gリミテッド」。初代MR2の初期型の最高級グレードで、見たところフルノーマル。個人的には、ツインカム16バルブの同じ「4A-G」を積む「AE86」や新しい「86」よりも、ずっとオシャレだと思う。78万円という価格も手頃といえば手頃だ。ちなみに新車価格は179万5000円だったから、ほぼ半額。今後は上昇していくかも?
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1980年「日産ホーミー・コーチSGL仕様」。「トヨタ・ハイエース」の対抗馬であるワンボックス「日産キャラバン」のプリンス店向けの姉妹車が「ホーミー」。この個体は80年に登場した型式名E23こと2代目キャラバン/ホーミーの乗用登録(5ナンバー)の「コーチ」だが、本来ロングボディーには存在しないトップグレードの「SGL」仕様に仕立てた、興味のない人にはサッパリわからないマニアックなモデル。ボディーを3インチ(約76mm)ほどローダウン、純正アルミホイール+ホワイトリボンタイヤでキメている。クラシック・ワンボックスを得意とするショップ「バラクーダ」のブースにて。
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元祖ジープである「ウイリスMB」はさすがにコンパクトと思いきや、ちょっと小さすぎる? しかもよく見れば右ハンドルで、シートも新しい。インパネを見ればわかる人にはわかるだろうが、550cc規格時代の1979年「スズキ・ジムニーSJ10」を“ウイリスMB風”に仕立てたレプリカである。「二階堂ボディーワークス」が販売するFRP製のボディーキットは23万8000円で、ここまで仕上げた場合の見積価格は、ベース車込みで174万7200円なり。
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目玉のマークでおなじみのアメリカンカスタムブランド「ムーンアイズ」のブースには、同社によるオールド・クラウン専門ショップの「クラウン・クラシックス」のデモカーが2台。もともと備わっているアメリカンなテイストを、より強調した2代目(左:1964年)および3代目(右:1970年)の「トヨペット・クラウン」のシングルピックアップである。2代目はノーマルの1.9リッター直4OHVエンジンを積んでいるが、3代目は5.7リッターのシボレーV8に換装されている。
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1970年代半ばから80年代にかけて、日産のL型をベースにDOHC4バルブヘッドを持つレーシングユニットを開発した岡山の「OS技研」。知る人ぞ知るその伝説のエンジン「TC24」が、カム駆動をチェーンからギアドライブに変更するなどのアップデートを受けて30年ぶりに復活。「アイテックジャパン」の通称ケンメリこと4代目「スカイライン2000GT」に積まれているのは、JCCA(日本クラシックカー協会)主催のクラシックカーレースの規定に合致する「L20」ベースの2.3リッターのウェーバーキャブ仕様で、10000rpm以上回り、リッターあたり120〜130psは出ているという。
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クロムメッキとゴールドという、ド派手なツートーン仕上げの型式名S30こと初代「日産フェアレディZ」。エンジンスワップを得意とする「ロッキーオート」の出展車で、R32〜R34「スカイラインGT-R」用のRB26DETTからターボを取り去りNA化したエンジンを搭載。隣のハコスカは、「セルシオ」や「クラウンマジェスタ」に積まれていた4リッターV8DOHC32バルブ(1UZ-FE)に換装されていた。
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ポルシェを中心とするレストアガレージ「オールドボーイ」。目下作業中の1973年「ポルシェ911S」(右)は4月中旬完成予定で、販売予定価格は1500万円(ベース車700万円+レストア費用800万円)という。「新車レストア」と銘打つだけあって、ビス1本まで新品を使用したという仕上がりは見たところ素晴らしい。ちなみにナローポルシェのフルレストアにかかる費用は、ベース車の状態にもよるが500万円からとのこと。
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25日に行われた、元チームトヨタのワークスドライバーである細谷四方洋(ほそや・しほみ)氏(右)と鮒子田寛(ふしだ・ひろし)氏を迎えたトークショー風景。ディスプレイに映っている、「トヨタ2000GT」によるスピードトライアルのエピソードなどを披露した。26日のゲストは元日産ワークスの長谷見昌弘氏と柳田春人氏だった。