「ニュルブルクリンク24時間 2014」参戦マシン
2014.06.23 画像・写真2014年6月21-22日、世界のGTマシンがドイツの名門サーキットを舞台に戦う「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」が開催された。レースに臨んだ代表的なマシンの姿、そしてサーキットの様子を写真で紹介する。(文と写真=廣本 泉/text&photo=Izumi Hiromoto)

2014年のニュルブルクリンク24時間レースには160台以上のマシンが集結し、スタート直後から激しいバトルを展開。今年も、序盤から脱落者が続出するサバイバルレースが繰り広げられた。
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2014年のニュルブルクリンク24時間レースには160台以上のマシンが集結し、スタート直後から激しいバトルを展開。今年も、序盤から脱落者が続出するサバイバルレースが繰り広げられた。
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6月19日に行われたプラクティスでトップタイムをたたき出したのは、アウディの有力チーム、フェニックスレーシングが投入した「アウディR8 LMS ultra」の4号車だった。抜群のスピードは今年も健在で幸先の良いスタートを見せた。
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6月19日の夕刻にスタートした1回目の予選は気温が低く、ベストタイムが出しやすいことから全チームにとってアタックのチャンスだったのだが、セッション開始からわずか1時間で雨にたたられ、各チームともアタックを行うことなく1回目の予選が終了した。写真は、今回3台がエントリーした、日産の「GT-R」。
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雨の予選1回目を制したのは、2台の「マクラーレンMP4-12C GT3」を投入するドーア・モータースポーツの69号車。計測2ラップ目でベストタイムをマークした。さらに決勝のグリッドを決める「トップ30」でチームメイトの66号車が後続を約4秒も引き離し、ポールポジションを獲得した。しかし、決勝ではともにストップ、リタイアを喫している。
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「フェラーリ458イタリア GT3」もニュル24時間レースにチャレンジ。2回目の予選で20番手タイムをマークしたものの、「トップ30」では29番手と低迷。決勝もマシントラブルにたたられ、スタートから14時間後にリタイアした。
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昨年の大会で序盤をリードした「アストン・マーティン・ヴァンテージ GT3」は、1回目の予選で60番手と低迷。しかし、2回目の予選で21番手、「トップ30」で9番手タイムをたたき出すと、決勝でも安定した走りを披露。5位完走を果たした。
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ATクラスに参戦する「ダッジ・バイパー」も、ニュル24時間レースではおなじみのマシンだ。しかし、今大会ではわずか2周で他車と接触し、リタイアすることとなった。
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GAZOO Racingは4.8リッターエンジンを搭載した「レクサスLFA」(48号車)をSP8クラスに投入したほか、5.3リッターエンジンの「レクサスLFA Code X(コードエックス)」(53号車)もSP-PROクラスに投入。大きなトラブルに見舞われることなく、53号車が日本メーカーとしては最上位となる総合11位でSP-PROクラスを制した。48号車も安定した走りを見せ、SP8クラスで勝利を手にした。
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スバルは新型「WRX STI」でSP3Tクラスにチャレンジ。優れた空力性能を武器に、予選ではクラス2番手のタイムをマークした。決勝でもコンスタントな走りを披露し、スタートから11時間後にトップに浮上したものの、他車との接触で大きく後退、クラス4位でレースを終えている。
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日産は、計3台の「GT-R」を投入した。しかし、日産GTアカデミーチームRJNの30号車がクラッシュでリタイアしたほか、80号車もパンクで出遅れ、総合24位で完走。シュルツモータースポーツの24号車が最高位となる14位でフィニッシュした。
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オペルもニュル24時間レースに積極的なメーカーで、ワンメイクレース「アストラOPCカップ」のカスタマーが多数エントリー。最上位の250号車が総合37位に食い込むなど健闘を見せた。
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今大会にはイギリスに拠点を置くマツダモータースポーツ・チームジョタが「マツダMX-5(ロードスター)」でエントリー。ロードスター・パーティー・レースのチャンピオン、加藤 彰彬もステアリングを握ったものの、クラッシュを喫し、リタイアすることとなった。
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ニュル24時間の常連、キッシリングモータースポーツは、今年も「オペル・マンタ」でチャレンジ。最新デバイスはないものの、安定性が高く、激戦のSP3クラスで3位入賞を果たした。
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「トヨタGT86」や「マツダMX-5(ロードスター)」、「オペル・アストラ」などが集う激戦のV3クラスにはスバルのFRスポーツ「BRZ」がエントリー。往年のWRCドライバー、A.シュバルツらがドライブした。
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「Z4 GT3」を投入するBMW勢は、下馬評ではBMWカスタマーが有利と思われていたのだが、スプリンターをそろえたチームマークVDSの25号車、26号車はリタイア。BMWスポーツトロフィーチームシューベルトの20号車が、最上位の総合6位でフィニッシュした。
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ここ一発のスピードには欠けるものの、メルセデス勢は今大会でも活躍。安定性の高い「SLS AMG GT3」を武器にコンスタントな走りを披露し、わずかに届かなかったものの、昨年のウイナー、ブラックファルコンの1号車が総合2位で表彰台を獲得した。
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サバイバル戦を制したのは、「R8 LMS ultra」を投入したアウディ陣営だった。有力カスタマーチームのフェニックスレーシングの4号車が終始安定した走りを披露。スピードこそ際立ってはいなかったものの、完璧なレースオペレーションで総合優勝を獲得した。
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優勝は「アウディR8 LMS ultra」を投入したフェニックスレーシングの4号車で、メルセデスの有力チームとして「SLS AMG GT3」で参戦したブラックファルコンの1号車が2位入賞。同じくSLS AMG GT3で戦ったローウェレーシングの22号車が3位表彰台にのぼった。
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今大会においてポルシェ勢は苦戦を強いられた。有力チーム、マンタイレーシングの11号車はレース中盤でリタイア。その結果、「ポルシェ911 GT3 R 997」を投入するファルケンモータースポーツの44号車がポルシェ勢の最上位となる総合4位で完走した。
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24時間レースにおいてはドライバーのみならず、メカニックたちの迅速なピットワークがリザルトを左右する。「LFA」「LFA Code X」でクラス優勝したGAZOO Racingは、「トヨタ86」を投入したSP3クラスをも制し、三冠を獲得した。
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ナイトセッションではコースアウトや他車との接触が続出。数多くのチームがマシンを止めている。いかにナイトセッションを走り切るかも、24時間レースの勝敗を分けるポイントとなっている。
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“モリゾウ”こと、トヨタの豊田章男社長(左から2人目)も今年のニュル24時間レースにチャレンジ。「レクサスLFA」48号車のステアリングを握り、SP8クラスで勝利した。写真は、SP3クラスに挑む「トヨタ86」のドライバーとの記念撮影。
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レース中にクラッシュが発生すると、すぐにイエローフラッグが掲示され、自走不可能なマシンは回収される。全長25kmのロングコースながら、オフィシャルの素早い対応で、すぐにイエロー区間が解除されレースは再開されるのだ。
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レースウイークは6月18日、ニュルブルクリンク北部の町、アデナウで行われた「アデナウ・レーシング・ディ」で幕を開けた。これは競技車両のパレードランで例年は金曜日に開催されていたプログラム。今年は水曜日のオープニングイベントとして開催された。数多くの主要チームが同イベントに出場した。
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アデナウ・レーシング・ディでは、競技車両の市街地パレードのほか、ステージ上でのドライバー紹介も行われた。新型の「WRX STI」で挑むSTIのほか、日産GTアカデミーチームRJNなど日本のワークス系チームも同イベントに参加。サインや記念撮影に応じるなど、積極的にファンサービスを行っていた。
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スタート前にはルマン24時間レースを制した「アウディR18 e-tron クワトロ」の2号車がデモ走行を実施。M.ファスラーがステアリングを握った。
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160台オーバーの参加台数を集めるニュル24時間レースでは、パドックもご覧のとおり。各チームのモーターホームがところ狭しと並んでいる。
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ニュルブルクリンクの展示施設「リングブルバード」には自動車メーカーやパーツサプライヤー、タイヤメーカーがブースを出展。モーターショーのような雰囲気になっている。
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ニュル24時間レースは、サポートレースも充実している。中でも、金曜日に決勝が行われる「ADAC 24hクラシック」は名物イベントだ。文字通り、ヒストリックカーの耐久レースで、2クラスに計205台が集結した。
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「ADAC 24hクラシック」のレース形式は3時間の耐久レース。いずれも貴重なヒストリックカーながら、ドライバーはスタート直後からアグレッシブなバトルを展開している。