「第10回 クラシックカーフェスティバル in 桐生」の会場から
2015.11.08 画像・写真2015年11月1日、群馬県桐生市にある群馬大学理工学部 桐生キャンパスにおいて「第10回 クラシックカーフェスティバル in 桐生」が開かれた。今や関東圏では質・量ともにトップクラスとなったこのイベントも、今回で区切りとなる10回目。しかも今年は会場を提供している群馬大学工学部(理工学部の前身)が、創立100周年を迎えた記念すべき年であるという。となれば、いやが上にも期待は高まるが、これまで何度も見る者を驚かせてきた主催者は、今回もダブルアニバーサリーにふさわしいサプライズを用意して、見事にその期待に応えてくれた。
一昨年はホンダコレクションホール所蔵の2台の第1期「ホンダF1」、昨年は「スバルP-1」と「オオタOC型フェートン」という2台の幻の国産車を並べた、目玉企画である特別展示車両。今回はトヨタ博物館所蔵の「トヨタ2000GTボンドカー」「トヨタ7ターボ」という、これまた門外不出の2台の展示を実現したのである。メインプログラムである一般参加の車両展示は、車種のバラエティーに富んだ内容で、しかもそれぞれレベルの高いモデルが300台以上並んだ。会場にはそれらの展示車両に交じって、カーショップの出店あり、フリーマーケットあり、フードコートありで、いずこも大盛況だった。そんな会場から、リポーターの印象に残ったモデルとシーンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

300台以上の出展車両のうち約60台は、赤木山麓から渡良瀬川に沿った全行程70km前後の“ラリー”と呼ばれるツーリングに参加した。これらはスタートを待つ参加車両。
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300台以上の出展車両のうち約60台は、赤木山麓から渡良瀬川に沿った全行程70km前後の“ラリー”と呼ばれるツーリングに参加した。これらはスタートを待つ参加車両。
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午前9時、正門前からラリーがスタート。レッドカーペット上で紹介された後、ギャラリーに見送られて発進するカーナンバー1の「アルファ・ロメオ・ジュニアZ」。
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絶好のオープンカー日和の下、駆け抜けていく「ダイハツ・コンパーノ・スパイダー」。数少ない前期型である。
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車齢90年を数える「ブガッティT13ブレシア」も、2台がラリーに参加した。
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ラリーに向かう「シボレー・コルベット・スティングレイ(C3)」と、少々遅れて会場にたどり着いた「メッサーシュミットKR200」が正門前でコンニチワ。
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特別展示車両。手前からトヨタ博物館所蔵の「トヨタ7ターボ」と「トヨタ2000GTボンドカー」、ボンドカーつながりで「アストンマーティンDB5」、そして(ほとんど見えないが)白い「ロータス・エスプリSr1」。
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1970年の日本グランプリに向けて開発されたものの、グランプリが中止となり一度も実戦を走ることがなかった「トヨタ7ターボ」。日本初のターボエンジン搭載レーシングカーで、ツインターボを備えた5リッターV8 DOHC 32バルブエンジンの最高出力は800psといわれた。
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会場周辺に設けられたギャラリー用駐車場と会場の往復、および市内巡りに供されたボンネットバス。1959年に登場した「日産U690型」で、日産ディーゼル製3.7リッターの2ストローク3気筒ディーゼルエンジンを積む。
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恒例となっている子どもお絵描き大会。画伯は「アストンマーティンDB2/4Mk3」を描画中。
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クルマ関係のショップやフリーマーケットのほか、フードコートには飲食物の出店が20軒以上。来場者はお祭り、あるいはピクニック気分で楽しんでいた。
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英国車が並べられた一角。つり目の「トライアンフ・ヴィテス」が3台並んだ光景は、筆者も初めて見た。
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1960年代の英国製スペシャリストカー(少量生産車。もっぱらスポーツカー)の中で、最もスタイリッシュな部類だった「マーコスGT」。フォードやボルボの直4エンジン搭載車が多かったが、この個体はフォード製3リッターV6を積んだ最速バージョンの「3000GT」である。
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1960年「ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー」。同名の現行モデルの初代となる最高級スポーツサルーン。6.2リッターV8エンジンを搭載する。
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「群5」のシングルナンバーを付けた1966年「アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTヴェローチェ」。当時のインポーターだった伊藤忠モノの正規輸入車で、新車から親子2代にわたって乗り続けられているという逸品。
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バルサ材でフェラーリのモデルをスクラッチビルドしているアマチュアモデラー山田健二さん(エンジン模型を手にしている方)の作品展も、昨年に続いて実施された。
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3台並んだヨタハチこと「トヨタスポーツ800」。赤とシルバーはデビュー当初から用意されていた純正色で、ブルーメタリックは後期型から加えられた純正色。つまりオリジナルのヨタハチには、これら3色(前期型は2色)しかないのだ。
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1966年「日産パトロール」。パトロールは「ランドクルーザー」のライバルだったヘビーデューディー4WD。それ自体珍しいが、この個体は左側に観音開きドアを備えた(右側は前ドアのみ)特注仕様。なんと以前は某官庁にあって、やんごとなきお方が乗られていたかも……というヒストリーを持つそうだ。
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ラリーバージョンに仕立てられた初代「三菱ランサー1600GSR」。手前が1973年サザンクロスラリー仕様、奥が77年ケベックラリー仕様とか。
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珍しい「マツダ・ロータリー・ピックアップ」。1トン級ボンネットトラック「プロシード」のノーズに13B型ロータリーエンジンを積んだ対米輸出専用車。1973~1977年に1万6000台強が作られた。
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「ホンダSシリーズ」や「ダットサン・フェアレディ」などの国産スポーツカーやスポーティーカーが並んだ一角。
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正門から歩いてすぐの駐車場にサテライト会場が設けられ、メイン会場に収まりきらない軽自動車やマイクロカーなどが展示された。
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閉会後、エントリー車両は小旗を振るギャラリーに見送られて退場する。珍しい、つり目のデュアルヘッドライトを持った「フェラーリ330GT」。
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日が落ち始める中、往年のフランス車の特徴だったイエローバルブのヘッドライトが映える「シトロエン・アミ8」。
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「リンカーン・コンチネンタル」に「キャデラック・フリートウッド・ブルーアム」。アメリカ車が最も大きかった、1970年代中頃の最高級ブランドが2台続いて退場。
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「トヨタ2000GTボンドカー」に続いて「トヨタ7ターボ」を積載車に積み込む。撤収作業も終わりに近い会場における、最後の見せ場?