「第5回アメリカン・ヒストリックカーショー&チャリティーオークション」の会場から
2015.11.17 画像・写真2015年11月15日、山梨県富士吉田市の富士Calmで「第5回アメリカン・ヒストリックカーショー&チャリティーオークション」が開かれた。富士山を臨む広大な芝生広場で、古き良き時代のアメリカ車に囲まれてゆったりとした時間を過ごそう、というのがこのイベントのコンセプトだが、あいにく今回は前日からの雨が開催当日の朝方まで降り続いていた。しかも間が悪いことに、今回はエントリー方法を過去4回の事前受付に代えて、初の試みとして全車当日受付とする段取りとなっていたのである。屋根をたたく雨音で目が覚めた筆者も「いったい何台集まるのだろうか……」と危惧しつつ会場に向かったのだが、到着してみれば予想より多くのアメリカ車がすでに来場していた。最終的なエントリー台数は約100台で、過去最高を記録した前回の170台よりは少なかったものの、天候と当日受付であることを考えたら、まずまずの数字だろう。
雨がほぼ上がった午前9時過ぎに行われたオープニングセレモニーで、主催者は「もう雨は降りません。これから雲も去って晴れわたり、みなさんが富士山を拝んでから帰れるようになります。そういう契約になってますから!」と豪語した。するとどうだろう、午前11時前後から天候は一気に好転、日が差し始めて気温もぐんぐん上昇し、シャツ姿で過ごせるほどになった。主催者は、先の言葉が単なる願望でも、根拠のないハッタリでもなかったことを証明してみせたのである。というわけで、結果的には絶好のイベント日和となった会場から、印象に残ったモデルを紹介しよう。なお、そうした事情により写真のトーンにバラつきがあるのは、ご容赦のほどを。(文と写真=沼田 亨)

-
2台連なって会場入りする「フォード・ブロンコ」。1966年に登場したブロンコは、SUVの先駆けとなるモデル。前を行く女性オーナーの乗る、バイキングレッドなる色名の塗装がオリジナルペイントという74年式は、ピープルズ・チョイス(来場者による人気投票)で1位に選ばれた。
-
「シボレー・ブレイザー」。前出の「フォード・ブロンコ」の対抗馬として1969年にデビューしたモデル。4WDだけでなく2WD(FR)も用意されていた。
-
紅葉の始まった白樺林の背景が似合う1987年「シボレーc/kシルバラード」。フルサイズのピックアップである。
-
1964年「フォード・ファルコン」。ファルコンは初代「マスタング」のベースにもなったフォード初のコンパクトカーだが、この個体は289立方インチ(4.7リッター)のV8を積んだクーペを、レーシングライクにモディファイしている。
-
「早く外に出て遊びたいワン!」とでも言いたげなワンコを乗せた1966年「ポンティアック・カタリナ・ワゴン」。全長約5.5m、全幅約2mに達するフルサイズ。
-
1967年「オールズモビル・カトラス4-4-2」。今はなきGMのブランドであるオールズモビルの、インターミディエート(中間サイズ)の高性能版。4-4-2とは4バレルキャブ、4段マニュアル・フロアシフト、デュアルエキゾーストの意味だが、この年式ではATも選べた。
-
1971年「ダッジ・コロネット」。クライスラーの中間ブランドだったダッジの、インターミディエートの4ドアセダン。
-
1972年「シボレー・モンテカルロ」。シボレー初となる、セダンからの派生モデルではない高級パーソナルクーペで、「ポンティアック・グランプリ」とボディーを共有する。
-
「シボレー・マリブ・クラシック」。1978年にダウンサイズされて登場した、GMの主力モデルである、シボレーのインターミディエートの4ドアセダン。
-
1969年「シボレー・コルベット・スティングレイ」。C3こと3代目コルベットの、427立方インチ(7リッター)のビッグブロック・ユニットを積んだモデル。サイドマフラーがすごみを効かせている。
-
モパーの愛称で呼ばれる、1970年代のクライスラーのマッスルカーである「ダッジ・チャレンジャー」と、「プリマス・バラクーダ」が並んだ一角。
-
日本では非常に珍しい1976年「シボレー・シェベット」。当時GMが推進していたグローバルカー構想の下に開発された「オペル・カデット」や「いすゞ・ジェミニ」の兄弟車で、アメリカ車としては最小の部類となる。これは3ドアハッチバックだが、5ドアハッチバックはいすゞによって日本にも輸入された。
-
1967年「フォード・フェアレーン」。フォードのインターミディエートだが、このコンバーチブルは427立方インチ(7リッター)のV8を積んだ最強バージョンである。
-
1976年「プリマス・ボラーレ・ワゴン」。今はなき、クライスラーの大衆ブランドだったプリマスのコンパクトカーで、この年に「バリアント」に代わって登場した。
-
1979年「ポンティアック・グランドルマン」。前出の「シボレー・マリブ」の兄弟車となるポンティアックのインターミディエート。日本ではかなり珍しい。
-
最高級ブランドの作る最高級パーソナルカーである1973年「キャデラック・エルドラド」。合理的な理由は見当たらないが、67年からFF化されており、71年から76年までは500立方インチ(8.2リッター)というアメリカ車史上最大のV8を積んでいた。
-
1959年に誕生した初代はフルサイズ、64年に登場した2代目以降はインターミディエートのシボレーをベースに作られていたピックアップである「シボレー・エルカミーノ」。ここに並んだ3台は、78年から87年まで作られた5代目にして最終世代。
-
1970年「ポンティアックGTOジャッジ」。元祖マッスルカーといわれるGTOを、さらに強化するオプションパッケージが“The Judge(ザ・ジャッジ)”。オービット・オレンジと呼ばれるこのボディーカラーは、70年式GTOジャッジの専用色である。
-
1972年「ダッジ・ダート」。シンプルさが好ましいコンパクトで、このボディーは67年から76年までという、当時のアメリカ車のセダンとしては珍しく長寿を保った。
-
1978年「フォード・サンダーバード」。コンパクトな2座パーソナルカーとして誕生したものの、次第に大型化した通称Tバード。これはフルサイズからインターミディエートをベースにダウンサイジングした8代目だが、それでも全長は5.5m近くある。
-
イギリスのGTディベロップメント社製「フォードGT40」レプリカ。ガルフカラーのカーナンバー6は、1966年から69年にかけてフォードのルマン4連覇の最後を飾った69年の優勝マシン仕様。
-
往年のトランザムシリーズ参戦マシン風に仕立てた1972年「シボレー・カマロZ28」。ロールケージは室内からエンジンルームまで貫通しており、ドアから前のパネルはすべてFRP製に交換されている(ただし当時のレギュレーションでは、オリジナルの材質・形状からの変更は不可)。
-
これもコンペティション風にモディファイされた「マーキュリー・クーガーXR-7」。初代「マスタング」をベースに1967年に登場した、マーキュリー初のスペシャルティカー。
-
シボレー、フォードおよびダッジのフルサイズバンが並んだ一角。午前11時ごろから空模様は一気に好転、ご覧のような状態となった。
-
すっかり晴れわたった青空の下、退場していく1970年「シボレー・シェベルSS396」。その名のとおり396立方インチ(6.5リッター)のV8を積んだマッスルカー。