旧車イベント「第2回 関東工大クラシックカーフェスティバル」の会場から
2016.05.06 画像・写真2016年4月30日、埼玉県鴻巣市にある関東工業自動車大学校で「第2回 関東工大クラシックカーフェスティバル」が開かれた。これはタイトルのとおり昨年に続いて2回目となる、自動車整備の専門学校が主催する旧車イベントである。参加資格は20世紀(1999年まで)に製造された三輪車・四輪車と、一般的な旧車イベントに比べて年式の縛りがゆるいのが特徴といえば特徴で、それもあってか昨年は初回にもかかわらず240台が集まったという。今回はそれより100台以上も多い、380台もの車両とオーナーがエントリーリストに名を連ねた。あくまで参加台数だけの比較だが、これは近年のJCCAニューイヤーミーティングと同等か上回る規模であり、今後の展開が注目される。幸い絶好のイベント日和に恵まれた会場から、リポーターの目にとまった車両を紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
-
1/28グラウンドに並んだ参加車両の一部。写っているクルマをざっと数えたところ150台くらい。全体ではこの倍以上が集まった。
-
2/289台そろったイタリアはピアジオ社製のマイクロ三輪トラックである「アペ」(輸出名称は「ベスパカー」)。背景のオレンジ色の壁のおかげで「ここはイタリアか!?」という雰囲気。
-
3/28わざわざ新潟から参加したという2台の1970年「日産フェアレディZ432」。「スカイライン2000GT-R」用のS20型2リッター直6 DOHC 24バルブエンジンを搭載する。
-
4/28極上コンディションの1990年「オーテック・ザガート・ステルビオ」。最大の特徴であるフェンダーミラーをボンネットに埋め込んだデザインは、オーテックの初代社長である櫻井眞一郎氏のアイデアと言われている。
-
5/28これもすばらしい状態の1963年「ダットサン・ブルーバード1200ファンシーデラックス」。日本初(世界初かも?)の女性仕様車で、36点もの専用アクセサリーが装備されていた。装備のひとつとして、方向指示器を作動させるとクリック音の代わりにオルゴールが鳴るのだが、今回、初めてその音を耳にすることができた。これまで数台の同型車を見たことがあるが、みな経年劣化でオルゴールが鳴らなくなっていたのだ。
-
6/28「ダットサン・ブルーバード1200ファンシーデラックス」の専用装備の一部。左上から時計回りに一輪挿し用の花瓶とカーテン、カーテンと傘立て、上部にぼかしの入ったフロントガラス、ハイヒールでも踏みやすいオルガン式アクセルペダル(通常はつり下げ式)、グローブボックス下にあるハンドバッグ入れと助手席足元にあるハイヒール掛け。ほかにもピクニックテーブルやコートハンガー、化粧品入れなどが備わっている。
-
7/281963年「ダットサン1200トラック」。初代「ブルーバード」の顔を持つダットラだが、荷台には当時風の、しかし新しいキャンパーのシェルが載っている。聞けば、建築士であるオーナーが、現場で余った端材などを利用して自作したものという。
-
8/28新車以来のナンバーを付けたワンオーナー車という1979年「日産スタンザ」。2代目A10「バイオレット」の内外装を高級化した、いわば“ミニ・セドリック”。
-
9/281969年「マツダ・ルーチェ ロータリークーペ」。67年に登場した「コスモスポーツ」以来、マツダのロータリーエンジンはローターの厚みと数(2または3)で排気量を増減していたが、唯一の例外となるのが、これが積む13A型。より大きな径のローターを持ち、マツダ・ロータリーとしてはこれまた唯一のFFだった。
-
10/282台並んだ「ダイハツ・コンパーノ スパイダー」。右は中期型(1966年、本来はフロントグリル中央にエンブレムが付く)で、左は後期型(70年)。ちなみに前期型は中期型とほぼ同じだが、ウインカーが角形ではなく楕円(だえん)形だった。
-
11/28新車以来の「埼」ナンバーを付けた1968年「三菱ミニカ デラックス」。62年に発売された三菱初の軽乗用車だった初代ミニカの最終型である。
-
12/282台並んだ同色の1982年「ホンダ・シティ」。右側の前にはシティと同時にデビューした、ラゲッジルームに収まる原付バイクである「モトコンポ」の姿も。
-
13/28使い込まれ貫録十分の1957年「ダイハツSKC7」。751cc空冷Vツインを積んだ、バーハンドル式の三輪トラック。
-
14/28ドイツの「ハインケル」をイギリスでライセンス生産した1963年「トロージャン」。同じ前開きドアを持つバブルカーの「イセッタ」が、乗降しやすいようステアリングがドア側に付いているのに対して、ハインケル/トロージャンでは固定式であることがわかる。
-
15/281965年「ASA1000GT」。フェラーリが企画したものの、諸事情により生産化を断念したフェラリーナ(小型フェラーリ)の製造権を買い取ったASAが100台ほど生産したモデル。スタイリングはベルトーネ時代のジウジアーロ、シャシー設計はフェラーリ出身のジオット・ビッザリーニ、1リッター直4 SOHCエンジンの設計も元フェラーリのカルロ・キティというオールスターキャストによる珠玉のGTである。
-
16/281974年「ジェンセン・ヒーレー」。「オースチン・ヒーレー」の生みの親であるヒーレー親子が、英国製オープンスポーツの衰退期だった70年代に送り出したオープン2座スポーツ。ロータス製2リッター直4 DOHCエンジンを積む。
-
17/281968年「ポンティアック・ファイアーバード」。初代「シボレー・カマロ」の兄弟車だが、日本の旧車イベントではめったに見かけない。
-
18/281969年「フォルクスワーゲン・カルマンギア1600」。通称「タイプ3」(1500/1600)がベースで、「タイプ1」(ビートル)のカルマンギアと比べ生産台数、残存数ともケタ違いに少ない。
-
19/28こちらは屋内展示場。この一角にはテーマカーだったAE86をはじめ、歴代「カローラ」などのトヨタ車が展示されていた。
-
20/281966年「トヨタ・カローラ1100スペシャル」。カローラは今年生誕50周年を迎えるが、この個体は66年11月に発売された初代の最初期型。「埼5」のナンバーも新車以来のものだ。
-
21/281971年「トヨタ・カローラ1200 2ドアデラックス」。70年にフルモデルチェンジして、ひとまわり大きくなった2代目カローラの初期型。フェンダーミラーはスポーティー版の「SL」用に替えてある。
-
22/281972年「トヨタ・スプリンター トレノ」。型式名TE27こと初代「レビン/トレノ」の、最初のマイナーチェンジ後のモデル。鉄チン(スチール)ホイールを含め、オリジナルの姿を保っている。
-
23/281986年「トヨタ・カローラ レビン 2ドア1600GT」。AE86「レビン2ドアGT」の後期型だが、こちらも珍しくオリジナルのスチールホイールを履いている。
-
24/281980年「トヨタ・セリカ リフトバック2000GT」。2代目「セリカLB」の後期型で、「習志野56」のナンバーは新車時からのもの。当時モノのクロモドラAタイプ・マグホイールを履いている。
-
25/281961年「プリンス・スカイライン デラックス」。「クラウン」のライバルだった初代「スカイライン」の、いうなれば中期型。日本車で初めてデュアルヘッドライトを採用したボディーに、1.5リッター直4エンジンを積んでいる。
-
26/28特別展示車両。右は吉田茂元首相が愛用したという、ワクイミュージアム所蔵の1937年「ロールス・ロイス25/30HPスポーツサルーン」、左は1924年「T型フォード」。
-
27/28閉会式を前に、参加者による人気投票の上位入賞車をはじめ各種の表彰が行われた。プレゼンターを務めたのは、ゲストであるモータージャーナリストの竹岡 圭さん(写真左)。
-
28/28閉会式を終え、会場をあとにする参加車両。