「オートモデラーの集い in 横浜 2017」出展作品(前編)
2017.02.07 画像・写真2017年2月4日、神奈川県横浜市にある日産自動車の横浜工場ゲストホールで、「オートモデラーの集い in 横浜 2017」が開かれた。このイベントは、日産グループの車両開発会社である日産テクノの社内同好会「日産テクノモデラーズクラブ」が、モデルカー愛好家同士の交流を深めることを目的に、2012年に始めたものである。平和利用の自動車(二輪含む)の模型ならば、スケールや材質を問わずOKで、参加予約も費用も不要。当日作品を持ち寄って展示し、趣味人同士が存分に模型談義をして過ごすという、オープンかつフレンドリーながら、マニアックでレベルの高いイベントである。いわばトライアルとして開かれた初回から数えて6回目となる今回は、作品持参で集まった参加者は約370名、出展台数はおよそ900台。会場にびっしり展示された力作・傑作の中から、前編ではプロモデラーの作品やコンペティションマシンのモデルなどを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
→「オートモデラーの集い in 横浜 2017」出展作品(後編)につづく
-
1/28主催する日産テクノモデラーズクラブのメンバーの手になる、1982年のサファリラリーで総合3位に入った日産チームの「S110シルビア」と「430セドリック バン」のサービスカー。前者はフジミ製1/24キットをラリー仕様に、後者はアオシマの「430セダン」をベースに改造。ジオラマはリアアクスルの交換風景である。
-
2/28前述の「S110シルビア」(写真右)と「430セドリック バン」のサービスカー(左)。2台ともエンジンをはじめ、各部が細かく作り込まれている。
-
3/28日産テクノモデラーズクラブのメンバーが、1/12スケールで製作(スクラッチビルド=プラ板などの素材から自作すること)中の「日産R382」。6リッターV12 DOHC 48バルブのGRX型エンジンが、ほぼ出来上がっていた。
-
4/28著名なプロモデルフィニッシャー氏の手になるアオシマ製1/24「トヨタ・センチュリーLタイプ」(写真右)と、そのキットを2個使用して作り上げたトヨタ純正リムジンである「センチュリーHタイプ」(左)。ノーマルより高いルーフは、パテを盛って成形している。
-
5/28これもプロモデルフィニッシャー氏によるフジミ製1/24の2代目「トヨタ・ソアラ」(写真上)と、実車同様それをベースに仕立てた限定車の「ソアラ エアロキャビン」(下)。さすがに美しい仕上がりだ。
-
6/28プロモデルフィニッシャー氏の作品第3弾は通称ジャパンこと5代目「日産スカイライン」。ベースはフジミ製1/24「2000GT-E・L」で、右側は前期型のキットに入っているエアロパーツやホイールを後期型に移植して大人のストリートカスタム風に、左側は前期型をショートノーズ化して「1600TI」に仕上げた。
-
7/28最後に紹介するプロモデルフィニッシャー氏の作品は、「ホンダ・ビート スピードスター」。隣にチラッと見えるアオシマ製1/24「ホンダ・ビート」をベースに、“メーカー純正のカスタムパーツを組み込んだシングルシーター仕様”を想定して製作。そのためノーマルと異なる部分は、あえて後付けに見えるようにしてある。
-
8/28型式名310こと初代「ダットサン・ブルーバード」。かつてディーラーの定番ノベルティーだった、アンチモニー製のシガレットケースから型取りしたボディーをベースに各部をディテールアップしている。高名なプロモデラー氏の作品。
-
9/28型式名250こと2代目(個人的には初代のビッグマイナーチェンジ版だと思うが)「日産プレジデント」もシガレットケースが原型。ただしスケールが1/22前後だったため、1/24に近づけるべく各部を縮小するなど、大幅に手を加えている。これもプロモデラー氏の作品。
-
10/28プロトタイプだけで終わった“幻の軽スポーツ”である「ホンダ・スポーツ360」。1/1では近年、ホンダがレプリカを製作したが、これはタミヤ製1/24「ホンダS600」をベースに改造されている。同じくプロモデラー氏の作品。
-
11/281966年に誕生した、ダイハツ初の軽乗用車である「フェロー」。これは大滝から出ていたスポーティーバージョンである「フェローSS」の1/20キットをベースに、「デラックス」仕様にアレンジ。同じくプロモデラー氏の作品。
-
12/28これまたプロモデラー氏の手になる「ホンダTN-V」。1960年代にイマイからリリースされ、後にバンダイに金型が移った1/20「ホンダTN360」をベースに、デュアルヘッドライトを持つTN-Vに変身させている。
-
13/283社(3者)3様の、型式名C130こと「日産ローレル ハードトップ2000SGX」。いずれも1/24で、手前からマルイ、アオシマ、ニチモ製。作者もそれぞれ異なる。中央のアオシマ製が幅広に見えるが、作者によればこれでも車幅を詰めているとのこと。
-
14/28もともと1960年代にアポロというメーカーから発売され、後に二ットーに金型が移った1/20「トヨタ・スポーツ800」。ヘッドライトを作り直したほかは、ほぼキットのまま組んでいるそうだが、プロポーション、雰囲気ともにすばらしい。
-
15/28イマイ~バンダイ製 1/16「ポルシェ・カレラ6(906)」をベースに、1967年の第4回日本グランプリで生沢 徹が駆ったウイニングマシンに仕立てたモデル。1960~70年代の国内レースで活躍したマシン、および国産メーカーのワークスカーのエキスパートであるモデラー氏の作品。
-
16/28同じモデラー氏の手になる、1968年の日本カンナムで4位に入った福沢幸雄の「トヨタ7」。翌1969年にテスト中に事故死した福沢の、最後のレースを走ったマシンである。ベースはバンダイ製1/20キットで、グッドイヤーのブルーストリークタイヤやウインドシールドに貼られた車検証など、芸が細かい。
-
17/28これも同じモデラー氏による、1977年のサザンクロスラリーで優勝した「ダットサン160J」(輸出名称)。ベースは大滝製1/24「日産バイオレット ハードトップ1600SSS-E」で、マーキング類は最近の主流であるインクジェットプリンターによる自作デカールではなく、版下を自作して特注したインレタを使用。自作デカールより発色がよく、下地の塗装が透けることもないという。
-
18/28同じモデラー氏が製作途中の、日産ワークス仕様の「チェリー クーペX-1」。ベースはプロポーションは良好だが、残念なことに1/28という半端なスケールのエーダイ製キット。このように完成品でなくても飾れるところも、このイベントの魅力のひとつだ。
-
19/28スケール違いの2台の型式名A73こと初代「三菱ランサー」のサザンクロスラリー仕様。左側はもともとラリー仕様の1/20フジミ製「1600GSR」のキットで、ドアの開閉方法を実車に近く改造。右側は大滝製1/28「1600GSL」をベースに、ラリー用パーツをスクラッチ。デカールは1/20用をスキャニングして縮小したという。
-
20/28往年のラリーカーを続々とモデル化しているアオシマ/BEEMAXの1/24「日産240RS 1983 ニュージーランドラリー仕様」を使ったジオラマ。ライトを点灯式とし、土ぼこりを上げて爆走する姿を表現している。ウェザリング(汚し塗装)のテクニックがお見事。
-
21/28「240RS」と同じ作者による、アオシマ/BEEMAXの1/24「TA64 トヨタ・セリカ 1985 サファリラリー仕様」。こちらは泥水をはね上げて走る姿を表現。
-
22/28ヒストリックレーシングカーが製作対象で、それも大半はスクラッチビルドしているモデラー氏の作品。今回の出展は2台のカンナムマシンで、左側は1968年シーズンを戦った「ポルシェ917PA」(PAはボディーに描かれている、北米で同じインポーターが扱っていたポルシェ/アウディの略)、右側は1968年の日本カンナムで2位に入った「ローラT160」。ポルシェは仏エレールの1/24「ポルシェ917」をベースにしているが、ローラはタイヤを除きフルスクラッチである。
-
23/28ボディーカウルを外した「ポルシェ917PA」(写真上)と「ローラT160」(下)。すばらしい出来栄えで、特にスクラッチビルドされたローラにはうなるばかり。
-
24/28タミヤ製1/24「BMW320i Gr.5」をベースに、エンジンルームや内装を徹底的に作り込んだ作品。シルエットフォーミュラと呼ばれた、1977年のグループ5選手権を戦ったマシンである。
-
25/28童友社製1/24「ロータス・ヨーロッパSPサーキットの狼」を使い、ヨーロッパをベースとしたグループ4のレーシングカーである「ロータス47」に仕立てたモデル。フルスクラッチされたエンジンとギアボックスの出来栄えに感動。作者いわく「妄想では、筑波サーキットを1分を切って走るマシン」。
-
26/28タミヤ製1/24「アルファ・ロメオ155 V6 TI」。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を戦ったアルファ・コルセのワークスカーである。もともとロールケージやパワートレインなども再現されていたキットだが、この細密さは製品の比ではない。
-
27/28アオシマ製1/20「ブラバムBT46B」。鬼才ゴードン・マレーが設計した、F1史上に残る問題作の“ファンカー”である。ご覧のとおり作り込まれているが……。
-
28/28……ギアボックス部分に小型モーターが内蔵されており、Fan(ファン)が回転するというFunな(おもしろい)作品。