「オートモデラーの集い in 横浜 2017」出展作品(後編)
2017.02.07 画像・写真2017年2月4日、神奈川県横浜市にある日産自動車 横浜工場ゲストホールで開かれた「オートモデラーの集い in 横浜 2017」。フォトリポートの後編では、製作プロセスに独自のアイデアやセンスが光る作品を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
→「オートモデラーの集い in 横浜 2017」出展作品(前編)はこちら
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1/28「男30、GTアゲイン」というキャッチコピーを掲げて1980年に登場した「トヨタ・セリカ カムリ2000GT」。はて、初代カムリのキットなんてあったっけ? と思いきや、フジミ製1/24「トヨタ・チェイサー(GX71)」をベースに改造されたものという。
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2/28初代「カムリ」と同じモデラー氏の手になる、カムリよりさらにマイナーな「マツダ・カペラC2アンフィニ」は、フジミ製1/24「トヨタ・ソアラ3.0GT」からの改造。と言われても、ソアラの面影はまったく残っていない。
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3/28“こんなキットあったっけ?”シリーズ第3弾は、同じモデラー氏による「三菱デボネアV3000 ロイヤルエクストラ」。作者いわく「突貫工事のため出来があまり良くない」とのことだが、ベースはこれもフジミ製1/24「トヨタ・チェイサー(GX71)」だそう。
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4/282016年にハセガワからリリースされた1/24「ホンダN360(NII)」(写真左側)をベースに改造された、ライトバン仕様の「LN360」(右側)。これまた前出の3台と同じモデラー氏の作品。
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5/28「三菱クライスラー オムニ024」。1980年代に三菱が輸入販売していたアメリカ車。米国MPC製1/25キットをベースに日本仕様に仕立てたものの、「あまりに細かすぎて伝わらない上に、そもそもクルマ自体ほとんど知られていないという誰得な一台」と、前出の4台と同じ作者は言う。だが、会場でこれを見つけて喜んだ人間が、少なくともひとりはいる。
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6/28型式名VB110こと「ダットサン・サニー1200バン」。2ドアと4ドアの双方がラインナップされていた2代目サニーの商用バン、その4ドアの「スタンダード」仕様である。2014年にハセガワから発売された1/24の2代目「サニー トラック」に続くバリエーション……ではなく、そのサニトラをベースに改造された作品。キットが存在しているとしか思えない、出色の出来である。
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7/28「ホンダ・アコードSiR」。一見したところでは見過ごしてしまいそうな6代目「アコード セダン」のモデルだが、これもキットは存在しない。アオシマ製1/24「アコード ワゴンCF6」から、セダンにコンバートされたものである。
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8/281977年「キャデラック・フリートウッド リムジン」。米国ジョーハン製1/25「キャデラック・クーペ ドヴィル」、すなわち同じ顔を持つ2ドアクーペのキットを2台使って製作。製作方法は往年のアメリカの模型雑誌に掲載されていた記事に倣ったという。
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9/28初代「トヨタ・ライトエース バン」。かつてアオシマからバニング仕様やデコバン仕様がラインナップされていた1/20キットを、ノーマル仕様に戻したモデル。ノーマルのキットをカスタムやレーシング仕様に改造する一方で、こうしたカスタム仕様からノーマルへのコンバートも、モデラーにとっては定番の手法である。
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10/28『webCG』でリポートした、2016年末にいすゞ自動車藤沢工場で開かれた「いすゞヒストリックカー撮影会」にも登場した「シボレー・ラブ」。いすゞ製の小型ボンネットトラック「ファスター」のOEMモデルだが、これも背景にボックスが置かれた、米国モノグラム製1/24のリフトアップ仕様を、ノーマル仕様に戻して製作中である。
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11/28写真データを元に、3Dプリンターで作られたというホイール類。右上部にある乳白色のものが塗装前の状態。3Dプリンターの登場時からパーツ製作の可能性が期待されていたが、モデラーにとって、これは朗報だろう。
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12/283Dプリンターで作られたホイール「エンケイ・マグレーシング」。「バイオレット」や「シルビア」など日産ワークスのラリーカーが履いていたホイールである。あるモデラー氏は、「このホイールがないためにあきらめていたモデルも、これでようやく作ることができる!」と喜んでいた。
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13/28グンゼ製1/24「ロータス・エランS3」を「S1」に改修したモデル。ホイールとホイールキャップ、円形テールランプは3Dプリンター製とのこと。
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14/281960年代の『CAR GRAPHIC』誌によく広告が掲載されていた、フジミ製1/30「ロールス・ロイス・ファンタムV 1961」。昭和天皇の御料車としても使われていたモデルだが、初めて完成品を見た。
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15/28スクラッチビルドされた「アウトビアンキ・ラナバウト」。1969年のトリノショーでベルトーネが出展した、「フィアットX1/9」の原形といわれるコンセプトモデルである。スタイリストはガンディーニで、「アウトビアンキA112」用のパワートレインをミドシップしていた。2016年は製作途中で展示されていたが、今年は完成した姿を拝むことができた。
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16/28アオシマ製1/20「ホンダ・ライフ ステップバン」をベースにしたアバルト仕様? リアエンドからエンジンがのぞいており、フロントグリルも取り除かれていた。
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17/28タミヤ製1/24「レクサスLFA」と、それをベースにした実在するD1(ドリフト競技)仕様。D1仕様のエンジンはNASCAR用のV8にスワップされている。
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18/28映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、アインシュタイン(ドクことブラウン博士の愛犬) がタイムトラベルのテストから帰還した際の、車体が凍りついた状態を再現。ベースはアオシマ製1/24「デロリアン」の劇用車。
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19/28『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンのベースカーが「ランボルギーニ・カウンタック」だったら、というマシン。キットはアオシマ製1/24「ランボルギーニ・カウンタック5000QV」を使用。
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20/28スイスのある湖底に沈められており、2009年に73年ぶりに引き上げられたという「ブガッティT22ブレシア」。そのサルベージ時の状態を、1/43のメタルキットをベースに再現したモデル。
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21/28サビサビで、朽ち果てる寸前の廃車体状態を再現した「ホンダNIII360」。ベースはタミヤ製1/18キット。ボンネット下辺の虫食い状態の表現が見事だ。
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22/281/4スケールでスクラッチビルドされた「ヤマハYZR-M1」(MOTO GP用ワークスマシン)のエンジン。パーツの材質は一部にアルミなど金属を使っているが、大半はレジンやアクリルなどの樹脂。それらからNCルーターで削り出したという。
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23/28「ヤマハYZR-M1」のエンジンパーツ。門外不出の内部構造のデータをどうやって手に入れたのかと思うが……。聞けば「レギュレーションで排気量(1リッター)は決められており、最高回転数は公表されている。それらからピストンスピードを推察し、そこからストロークを決定、ストロークが決まればボアが……」といった具合に想像で仕様を決定したという。いやはや、恐れ入りました。
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24/28「ヤマハYZR-M1」と同じモデラー氏がやはりフルスクラッチした「ドラッグZ」。想像上のドラッグマシンのシャシーで、エンジンは(実在しない)日産製の大排気量V8ツインターボ。「フェアレディZ」のボディーが載ることを想定しているという。
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25/28これも驚愕(きょうがく)の作品。1/24スケールでフルスクラッチされた「ポルシェ935」のシングルターボエンジン。ネットで得たデータを元に型紙を作成、それを板厚0.2~0.3mmのプラ板に貼り付けて切り出し、積層して成形……という、想像しただけで気が遠くなるような、いや想像すらできない手法で製作したという。
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26/28左側は前出の「ポルシェ935」のシングルターボエンジン、右側は同じくポルシェ935のツインターボエンジン用のギアボックス。製作方法はエンジンと同じくプラ板の積層……ため息しか出てこない。
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27/281/6スケールの精密エンジンモデルを製造販売している、鳥取の日下エンジニアリングがゲスト出展していた。左側は「スカイライン2000RSターボ」用のFJ20ET(価格4万3200円)、右側は「スカイライン2000GT-R」用のS20(5万9400円)。このほか「スカイラインGT-R」用のRB26DETTやそのチューンドユニットなどがラインナップされている。
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28/28これらはキットではなく、1/24の完成品。フランス版「国産名車コレクション」のようなシリーズだそうで、左から「パナール・ディナZ1」「シトロエン・アミ6」「ルノー4パリジェンヌ」という、個性豊かな往年のフレンチ大衆車のモデル。プロポーション、雰囲気ともに、とてもいい感じ。