これぞ「上海ラプソディー」
大矢アキオの上海ショー街角リポート
2017.05.11
画像・写真
思えばボクが初めて上海を訪れたのは、この地で万博が行われた2010年だった。当時、地下鉄では「文明乗車」というスローガンを掲げて、整列乗車やエスカレーターの片側空けといったマナーの啓発がさかんに行われていたものだ。
2年前の2015年に訪れたとき、それらはまだまだ浸透していなかった。しかし、2017年4月、上海モーターショーを取材するために上海を訪れてみると、それらのマナーもなかなか徹底されているではないか。それ以外の面でも、人々の振る舞いがかなりモダンになってきた。細かいことをいえば、街を歩く女性のスカートのフレアひとつ見ても洗練されてきたと思える。
そんなモダン化する街の一角では、建設現場の足場は竹。地下鉄に乗れば、竿(さお)に桶(おけ)を下げたお年寄りがいきなり現れることもある。そうかと思えば、アパートのエレベーターにスクーターと一緒に乗り込んでくるおじさんもいて……。
軽食堂に入ると、隣席の家族が、料理待ちの間に突如トランプを始めた。辺りに、のんびりとした空気が流れる。上海は、新しさと古さが織りなす狂詩曲(ラプソディー)のような街なのである。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)
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1/21外灘近くで出会ったテスラ。上海では、EVをはじめとするエコカーは、環境汚染対策としてクルマの台数を減らすために導入された「ナンバープレートオークション制」の対象外となっている。
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2/21これは、東京から上海に向かう機上のモニター。「エコノミークラス症候群」防止のための“運動ビデオ”に、太極拳が採り入れられている。
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3/21上海・虹橋空港のフリーWi-Fiは、無料であるかわりに、インターネットに接続するまでの数秒間、リンカーンの広告を見なくてはならない。
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4/21「早合点」かと思ったら「会合点」(集合場所)。虹橋空港にて。
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5/21上海地下鉄の自動改札機。乗車用ICカードは、日本の「Suica」やパリの「NAVIGO」のようにパスケースに入れたままでは反応せず。
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6/21“神戸”はブランドです。
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7/21こちらは本物。筆者が滞在中食べていたブルガリアヨーグルト。
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8/21日本でもおなじみの和民。中国では、居酒屋というよりファミリーレストランの位置付け。
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9/21アパートの高層階で。廊下には、住人のものと思われるスクーターが。
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10/21マクドナルドの朝食メニューに粥(かゆ)。
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11/21日本食ブームはまだまだ続く……。
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12/21若年層が目立つ上海だが、そろそろアラサー&アラフォーをターゲットにした化粧品の広告も目立つようになってきた。
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13/212017年4月21日、期間限定でオープンした可可小姐(ココ・シャネル)のカフェには、長い行列ができていた。
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14/21地下鉄の駅で。「降りる人が済んでから」の文明乗車(マナー乗車)は、それなりに浸透してきた。
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15/21「老上海酸梅湯」。ふたが固すぎてストローが刺さらず、慣れたお姉さんにブスリと開けてもらう。
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16/21工事現場の足場は今も竹製。モダンなパビリオンかと錯覚する。
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17/21昔ながらの商店が無数に軒を連ねる田子坊にて。上海五香豆腐(シャンハイウーシャントーフー)は1杯15元(約240円)。
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18/21同じく田子坊にて。メーカー非公認キーケースの数々。メルセデス・ベンツ、ジャガー、アウディなどに交じってトヨタや日産があるのは人気ブランドの証しか。
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19/21地下鉄車内の椅子には、チラシが勝手に置かれていることが少なくない。これは週末にまかれていた分譲アパートの広告。90平方メートルで55万元(906万円)。
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20/21上海のアイスクリームは脂肪分の量が絶妙。イタリアのジェラートとは別次元の、こってりしたうまさがある。
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21/21貸しアパートのトイレで、唐突に現れた「ルノー・フロリド」の写真。欧州のヒストリックカー界では比較的“若い部類”に入るモデルだが、上海の人々にとっては、れっきとした古典車なのだろう。