「オートモデラーの集い in 横浜 2018」出展作品(前編)
2018.02.07 画像・写真2018年2月3日、神奈川県横浜市にある日産自動車 横浜工場ゲストホールで、「オートモデラーの集い in 横浜 2018」が開かれた。このイベントは、日産グループの車両開発会社である日産オートモーティブテクノロジー(2018年1月に日産テクノから社名変更)の社内同好会「日産オートモーティブテクノロジーモデラーズクラブ(NATMC)」が、モデルカー愛好家同士の交流を深めることを目的に、2011年に始めたものである。平和利用の自動車(二輪含む)の模型ならば、スケールや材質を問わずOKで、参加予約も費用も不要。当日作品を持ち寄って展示し、趣味人同士が存分に模型談義をして過ごすという、オープンかつフレンドリーながら、マニアックでレベルの高いイベントである。8回目となる今回は、作品持参で全国から集まった参加者は約380名を数え、なかには著名なプロモデラーの姿も。出展台数はおよそ850台だった。それら力作の中から、前編ではロードカーのモデルを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/25スクラッチビルド(プラ板やパテなどの材料からモデルを作ること)されたマツダのコンセプトカー「RX-VISION」。作者は過去にも「ユーノス500」や「ランティス クーペ」などをスクラッチで製作したマツダ愛好家で、今回はこのほかにも現行型「ロードスター(ND)」のバリエーションを5台並べていた。
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2/25同じ作者による「マツダ・ロードスターRF」。いつの間にRFのキットが発売されていたのだろうと思いきや、タミヤ製1/24「ロードスター(ND)」を改造したもの。キットが存在するとしか思えない見事な出来栄えだが、驚くのはまだ早い。その秘密は、展示台の右下方に見える黒い横長の出っ張り部分にある。
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3/25写真右端に見える黒い部分はスイッチになっており、押すと「ロードスターRF」に内蔵されたモーターによって、実車同様にトップが開閉するのだ。写真は時計まわりに4段階の状態を紹介しているが、実際の動きは実にスムーズで、最後のおさまりもパーフェクトだった。
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4/25「マツダ・ロードスターRF」と同じモデラー氏によるタミヤ製1/24「ロードスター(ND)」。雨傘の素材を使ったというソフトトップの開閉は、運転席に座ったドライバーのフィギュアが自ら行う。駆動はやはりモーターである。
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5/25マツダつながりで、次は著名なプロモデラー氏がスクラッチした1/24「マツダ・ロードペーサー」。実は世に出なかった幻のキットがあり、それを組み立てた……と言われたら、信じてしまいそうな仕上がりだ。
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6/25毎回、キットの存在しない車種を数台抱えて、北海道から飛んでくるモデラー氏の作品。今回の1台目は初代「トヨタ・カリーナ ハードトップ2000GT」。ベースはアオシマ製1/24初代「セリカ リフトバック」とのことだが、使えるのはホイール/タイヤと内装の一部ぐらいだろう。
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7/252台目は「三菱ギャランΣハードトップ2000VR」。ベースはフジミ製1/24「トヨタ・マークIIハードトップ(GX71)」。「突貫工事のため出来がよくない」とのことだが、Σ以外には見えませんよ。
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8/253台目は「ダットサン・ピックアップ1500デラックス」。型式名620ことダットラのダブルピックだが、ベースは米国MPCの1/25「ダットサン・ピックアップ」。車名はピックアップとはいえ、日本でいうダットラである。それをダブルピックに改造したのだが、同時にアメリカ独自の1/25スケールから国際スケールである1/24への微妙な拡大も行っている労作。
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9/254台目はモデラー氏の愛車(1/1)という「日産スカイライン ハードトップ1600スポーティGL」。通称ケンメリのショートノーズこと直4エンジン搭載車である。ベースはLSの古い1/24「ハードトップ2000GT」で、ショートノーズ化してボンネットやドアをフル開閉とし、エンジンルームにはスクラッチした直4 SOHCクロスフローのG16型エンジンもおさめた。
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10/25違う作者による、これも「こんなキットあったっけ?」という感じの「日産クルー」。ベースはフジミ製1/24「日産セドリック(Y31)」というが、実際には使える部分はほとんどなかったのだそう。こうした大胆なモディファイを行う際のベースのことを、モデラー諸氏は「芯にする」という。「ほとんど作り替えるにしても、例えば左右対称などを確認する際の基準として、芯があったほうがいいんですよ」とのことだった。
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11/25作者は異なるが、これまたそんな一台。“赤いファミリア”をモデル化したフジミ製1/24「マツダ・ファミリア1500XG(BD)」をベースに作られた「日産パルサー3ドアハッチバック(N13)」。モデラー氏いわく「ファミリアの直線的なラインを見て、似てるからイケるんじゃないかと思った」とのこと。
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12/25ベースになった「ファミリア」(右)と並んだ「パルサー」(左)。完全に生まれ変わっている。
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13/251/24「トヨタ・スターレット1300 5ドアS」。見たところ市販キットとしか思えない、型式名KP61こと2代目スターレット。だが、ボディーはプライベーターが製作した原形から複製したものだそうだ。内装はフジミ製「トヨタ・カローラ1600レビン(TE27)」、ホイールは同じくフジミ製「ダットサン・フェアレディ2000レーシング(SR311)」からの流用という。
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14/25「ホンダ・シビック セダン1600Si」。これも見慣れないモデルだが、タミヤ製1/24「ホンダ・シビック3ドア25i」、つまりワンダーシビックの3ドアハッチバックをセダンに変身させたものだ。
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15/25「トヨタ・マークIIセダン グランデ」。一見キットを組んだだけのように見えるGX71マークIIのセダンだが、兄弟車であるフジミ製1/24「トヨタ・クレスタ」からモディファイしたもの。高名なプロモデルフィニッシャー氏の作品だけに、仕上がりの美しさはピカイチ。
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16/25エブロ製1/24「シトロエンDS19」をベースに、フランスのコーチビルダーであるアンリ・シャプロン謹製のコンバーチブル「DS19デカポタブル」にコンバート。
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17/25フジミ製1/24「トヨペット・コロナ マークIIグランデ」とアオシマ製1/24「トヨタ・セリカ リフトバック」をそれぞれ北米仕様にモディファイ。元のキットがマークIIは街道レーサー仕様、セリカLBはモーターライズで、双方ともホイールアーチの形状がオリジナルとは異なっており、その修正に苦労したという。ちなみにマークIIの北米での名称は「クレシーダ」だった。
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18/25ていねいなディテールアップが施された、アリイ製1/32「マツダ・キャロル」と「マツダR360クーペ」。双方ともにサイドウィンドウが途中まで開いているところも凝っている。
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19/25同じくアリイ製の1/32「プリンス・スカイライン2000GT-B(S54B)」。小粒ながらプロポーションの優れたキットだが、ディテールアップしてより魅力を増している。
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20/25英国エアフィックス製1/32「トライアンフ・ヘラルド」。古いキットだがプロポーションは良好で、ディテールアップも効果的だ。ちなみにこのシリーズには、ほかにもサンビームやボクスホール、MGなど1960年代の渋い英国車がラインナップされていたはず。
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21/251/35の「フィアット500Bジャルディニエラ」。通称トッポリーノのワゴンだが、ブロンコモデル製の500Bのパネルバンをベースに改造。リアサイドウィンドウを開け、ドア、ボンネット、テールゲート、ルーフをフル開閉式としている。作者いわく「今朝まで作業したけれど、タイムアウトで未完成」とのことだが、塗装で表現したウッドトリムなど、雰囲気はとてもいい。
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22/25初代「日産キャラバン(E20)」。ベースとなった1/22という半端なスケールのアオシマ製キットは、1970年代に流行(はや)ったアメリカ西海岸風のバニング仕様。クオーターウィンドウは埋められてから丸窓が開けられ、太いホイール/タイヤを履いていた。それをノーマル状態に戻したわけである。ホイールはイマイ~アオシマ製の1/24「ロンドンタクシー」用とか。
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23/25ニチモ製1/18「スバル・レオーネ スイングバック4WD」。大柄だがシャシーに4WD走行ギミックを内蔵している関係で、室内は半上げ底。チェック柄のシートは、インストラクションに記されているとおり筆塗りで仕上げたという。
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24/25往年のイマイ~バンダイの1/16「ピニンファリーナ/フェラーリ365P」。1966年のパリサロンで、ピニンファリーナのブースに展示されたショーカー。スタイリングは「ディーノ」に通じるものだが、「マクラーレンF1」のようなセンターステアリングを持つ3シーターである。版権意識が希薄だった当時は、こうしたモデルもけっこうキット化されていたのだ。ちなみに作例では、ボディーを拡幅するなどのモディファイが加えられているという。
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25/251/24「いすゞ・ジェミニ イルムシャーDOHC(JT190)」。これもモデル化されていない車種のため、ベースはいったい……と思いきや、ハセガワから近日発売予定のキットの、先行展示とのこと。歴代ジェミニ初のキット化であり、プロポーションも雰囲気も良好だが、個人的には長年愛用した初期型「イルムシャー ターボ(JT150)」でないのが残念!