クラシックなモーターショー「ノスタルジック2デイズ」の会場から
2018.02.22 画像・写真2018年2月17日、18日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、『ノスタルジックヒーロー』など旧車専門誌のプロデュースによる恒例のイベント「ノスタルジック2デイズ」が開かれた。実車をはじめパーツやオートモビリア(クルマ趣味の小物)などのショップによる展示即売を中心とするこのイベントも、今回で10回目。キャッチフレーズをこれまでの「日本最大級の旧車トレードショー」から「日本最大級のクラシックモーターショー」に改め、自動車メーカーが出展するブースも設けるなどして開催規模を拡大。加えて10周年特別企画となる「ジャパンプレミアム」も実施された。これはショップの出展車両の中でも、特に希少かつ高価なモデル9台をピックアップして展示したものである。このジャパンプレミアムの車両をはじめ、ここ数年続いている国産旧車の相場の高騰ぶりには驚くばかりだが、そんなモデルが並んだ会場で、リポーターの目に留まったモデルを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/30特別展示車両。手前から「童夢P2」「童夢・零」、そして1970年のサファリラリー優勝車である「ダットサン・ブルーバード1600SSS」など。童夢・零は1978年のジュネーブショーで初公開された童夢オリジナルの国産スーパーカー。全長3980mm、全幅1770mm、全高980mmというコンパクトなボディーに日産製L28(2.8リッター直6 SOHC)をミドシップしていたが、型式認定が取れず市販化を断念。童夢P2はアメリカ市場に向けて現地の法規に合わせたモデルだが、こちらも販売計画は頓挫した。後方に見えるのは、はたらく自動車博物館所蔵の「日野HEトラクタ」と「コマツブルドーザ」。
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2/30これも特別展示車両の「ニスモ400R」。「スカイラインGT-R(BNR33)」をベースにエンジンを2.8リッター化するなどして最高出力400psを発生するまでチューンしたコンプリートカー。99台限定販売の予定だったが、1200万円と高価なこともあって55台しか作られなかった。展示車両は、パネルが飾ってあるように、ニスモドライバー松田次生選手の個人所有車両。GT-Rマニアという松田選手はトークショーにも登壇、GT-Rへの熱い思いを語った。
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3/302月18日に行われたレジェンドドライバーのトークショー。かつて日産とトヨタの看板を背負った、星野一義(写真右)と館 信秀(同左)という珍しい顔合わせだったが、同じ1947年生まれで、インパルとトムスというチーム/ブランドの代表ということでも共通点のある2人。マイナーツーリングで火花を散らした若手時代の話を中心に盛り上がった。
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4/30特別展示車両の「トムス・スターレット」。トークショーに登壇した館 信秀率いるトムスから、かつてレースにエントリーされていた、型式名KP47こと初代トヨタ・スターレットのレーシング仕様。もともとは1973年にデビューしたトヨタのワークスマシンで、市販モデルとは異なるDOHC 16バルブのスペシャルエンジンを搭載する。
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5/30特別展示車両である、日産所蔵の「日産チェリー クーペX-1・R」のレーシング仕様。トークショーに登壇した星野一義の愛機として知られるが、この個体は星野ではなく長谷見昌弘がドライブしていたマシンという。
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6/30ここからはメーカーのブース。トヨタは新たにGRカラーをまとった、1965年デビューの通称ヨタハチこと「トヨタ・スポーツ800」と現行の「86 GR」を展示。いずれも水平対向エンジンを積むという共通項がある。
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7/30マツダは1969年に登場したマツダ初のFF車で、唯一のロータリーエンジン搭載FF車でもある「ルーチェ ロータリークーペ」、「コスモスポーツ」、そして2台の「ユーノス・ロードスター(NA)」を展示。
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8/30スバルは1958年に発売された、初の量産市販車である「スバル360」から初代「レガシィ」まで6台を展示。右側のグレーの車両は「スバルff-1 1300G 4WDバン」。「スバル1000バン」から発展した「1300Gバン」をパートタイム4WDとした、スバルAWDの原点といえるモデル。1971年の東京モーターショーに出展され、ごく少数が販売された。
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9/30BMWは2代目「5シリーズ(E28)」をベースに1985年に登場した初代と、2017年秋に発表された現行(6代目)モデルの、新旧「M5」を展示した。
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10/30ボルボはレストアやリフレッシュサービスを行うクラシックガレージで仕上げた「240ワゴン」「960エステート」「780」という3台のクラシックと現行「S90」を並べていた。
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11/3010周年特別企画である「ジャパンプレミアム」。会場中央に希少かつコンディションも抜群、そして極めて高価な国産旧車9台を放射状に展示したコーナー。展示車両は、もちろん購入も可能。手前の1968年「トヨタ2000GT」(出展:ビンテージカーヨシノ)は1億3000万円、左側の1969年「日産スカイライン2000GT-R(レプリカ)」(出展:リバイブジャロピー)は1480万円。ちなみにトヨタ2000GTの新車価格は238万円だった。
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12/30生産台数197台といわれる通称ケンメリのGT-Rこと1973年「日産スカイライン ハードトップ2000GT-R」(出展:ロッキーオート)。これは中でも生産台数7台という赤いボディーを持つフルノーマル車両で、価格は9800万円。新車価格は162万円だった。
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13/301972年「日産フェアレディZ432R」(出展:オートショップタキーズ)。現存数台といわれる、ボディーに薄い鋼板を使ったレース用ライトウェイト仕様。アクリル製のサイドおよびリアウィンドウに経年劣化で入った傷がオリジナルの証しとか。8640万円。
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14/301987年「日産レパード アルティマ」(出展:カーショップフレンド)。TVドラマ『あぶない刑事』の劇用車に使われたこともあって、一部マニアに根強い人気の2代目F31レパード。純正ゴールドのボディーカラーのサンルーフ付きは生産台数30台前後、現存10台以下の希少車とのこと。この個体は内外装フルレストア済みで1512万円。
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15/301972年「いすゞ117クーペ」(出展:ISUZU SPORTS)。俗にハンドメイドと呼ばれる、1968年12月の発売から73年3月のマイナーチェンジまでのモデル。ジャパンプレミアムの中では最も安く、価格は499万円。
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16/30「選ばれし10台」と名付けられた、読者公募による展示車両。1959年「ダイハツ・ミゼットDKA」から1999年「マツダ・ロードスターRS」までの10台が並んだ。
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17/30ショップデモカー走行入場。出展しているショップのイチ押しモデルが自走で入場し、メインステージ前で紹介された。これはロッキーオートの「ロッキー3000GT」。フレームからオリジナルという「トヨタ2000GT」のレプリカ。
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18/30日産系商用車と部品に強いバラクーダは、1975年「マツダ・ポーターキャブ」、1978年「日産シルビアLS タイプS」、1985年「日産プレーリーJW-G」の3台を展示。順に58万円、145万円、120万円という価格はいずれも新車時より高価だが、それでも会場内では比較的リーズナブルなほうだった。
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19/30エンジンをオリジナルのL14からソレックスキャブなどでチューンされたL16(1.6リッター)に積み替え、5ナンバーのワゴンとして公認済みの1971年「ダットサン・ブルーバード1400バン デラックス」(右)と、フルオリジナルのディーラー車という1974年「メルセデス・ベンツ450SLC」(左)。価格は2台とも324万円。新車価格(510バン=60万円前後、450SLC=850万円)を知る身としては驚き以外の何物でもないが、これが現在の市場価格なのだろう。ちなみに1984年「カローラ レビン3ドア1600GTV」(AE86)も同じ324万円だった。オートサークルのブースにて。
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20/30同じくオートサークルが出展していた1975年「三菱ランサー セレステ1600XL」。フルオリジナルの未再生車で、価格は259万円。
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21/30これもオートサークルの1970年「日産スカイライン1800スポーティデラックス」。オリジナルの姿を保ったハコスカ1800の最初のモデルで、価格は270万円。
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22/30ISUZU SPORTSが出展していた1981年「いすゞ・ピアッツァXL」。ドアミラーが認可される前で、デザインを手がけたジウジアーロが激怒したという説もあるフェンダーミラー付きの初期型。特徴的な純正アルミホイール付きのフルオリジナルで、雨天未使用という極上車。
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23/30「トヨペット・コロナライン」。1964年に登場した3代目コロナの、4ナンバーの商用バン。少々ローダウンされているが、今見ると2ドアボディーがなかなかスタイリッシュだ。スラントしたノーズとフロントグリルの雰囲気から、当時は“電気カミソリ”、今では“バリカンコロナ”などと俗称される。
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24/30現役時代の屋号が描かれたままの1960年「ダイハツ・ミゼットDSA」。空冷2ストローク単気筒249ccエンジンを積んだ、バイクのようにまたがるバーハンドル仕様の一つ目小僧で、価格は258万円。Profitの出展。
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25/30これもProfitが出展していた1979年「トヨタ・センチュリーDタイプ」。初代センチュリーの最高級グレードで、見たところフルオリジナル。価格はASK(応談)。
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26/30「スバル・アルシオーネSVX」を常時50台以上在庫するという専門店のK・STAFF。手前のブリスターフェンダー仕様の白いモデルはショップオリジナルという。
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27/30東京オートサロンにも出展されていた、バンザイスポーツジャパンの510ブルーバードの顔を持つ「日産サニー トラック」。カラーリングはBRE風。
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28/30「日産シルビア」(S14)に、L28改3.1リッターのチューンドユニットを積んだ谷島自動車のスペシャル。旧車のエンジンを新しめのものにスワップした例はよくあるが、逆に古いエンジンにコンバートした発想が新鮮。スタッフいわく「L型の音とフィーリングが好きで……今、L型搭載車は高騰しちゃいましたが、この手法ならベース車込みでも300万円くらいで楽しめるんですよ」とのこと。なるほどね。
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29/30日本車が大半を占める会場内で、クラシックポルシェを並べていたオールドボーイ。左端のモデルは、世界に1台という1977年「ルーフNATO」。ルーフが通称イエローバードこと「CTR」の前に作ったプロトタイプとのこと。
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30/30二輪も出展されていた。空冷2ストローク3気筒のカワサキトリプルの最初のモデルである1969年「カワサキ・マッハIII」は320万円。初期型の白いカラーは輸出専用で国内向けはガンメタだったはず、と思ったら速度計がmph表示だった。北米からの里帰りか。